大阪に“コロナ専門病院” ほかの患者は転退院

2020年04月27日 17時10分24秒 | 医科・歯科・介護

4/27(月) 12:12配信 FNNプライムオンライン

大阪市立十三市民病院は、27日から再診の受付を休止し、事実上、新型コロナウイルス専門の病院となる。

大阪市は4月14日、市立十三市民病院を、新型コロナウイルスの中等症患者専門の病院にすることを決め、病院は急きょ、2日後から救急と初診の受付を休止した。

さらに27日から再診も休止して、病棟の整備を進めている。

患者は、「肺を定期的に4~5年前から診てもらっている。(転院するのに)電話が全然つながらなかったから、直接来ないとだめなのかなと思って、きょうはしんどかったけど、無理してきたんですよ」と話した。

新型コロナウイルス以外の入院患者は、すでに100人ほどが転院や退院をしていて、病院は、残る24人の患者についても転院準備を進めている。

最終更新:4/27(月) 14:30
フジテレビ系(FNN)


都内39人新規感染 今日も2桁

2020年04月27日 17時03分28秒 | 医科・歯科・介護

4/27(月) 日本テレビ系(NNN)

関係者によりますと、東京都内で27日、新たに39人が新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました。これは先月30日以来の低い水準です。

ただ、土日は医療機関が休みの場合が多く、検体数が減るため、月曜日は感染者数が、少なく出る傾向があります。

都内の感染者はこれで、3947人となり、4000人に迫っています。

最終更新:4/27(月) 16:22
日本テレビ系(NNN)


新装版 星々の悲しみ

2020年04月27日 15時04分29秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
「受験勉強など、もうどうでもよくなってしまったのだ」
「きょう一日だけ、好きな本を読も」
なじみの図書館で小説を読みふける浪人生も「ぼく」。
そこで知り合った仲間との交流を通し、何物にも代え難い友情を結んでいく。
 
喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋―。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
目次 星々の悲しみ 西瓜(すいか)トラック 北病棟 火 小旗 蝶 不良馬場 解説・田中和生
「成熟へのこだわりこそが宮本輝の独創であり、
(中略)いつも成熟へと向かう言葉に耳を閉ざしたがる若い世代がもっとも切実に必要としているのは、やはりその成熟へ向かう言葉なのである」(解説より)
 
 
高校時代、現代国語の教科書の中で出逢った「星々の悲しみ」。
わたしの若いこころは瞬く間に悲運の(登場人物)有吉に奪われてしまい、
初夏の大樹のそばで眠る彼を何度も思い浮かべた。

その後、文庫本を手に入れ、暗記するほど読んだのでボロボロになった。

大人になって、懐かしくって、アマゾンでまた新しく買った。
ページをめくるときのペリリ…という音。インクの匂い。
有吉の美しさとわたしの青春が、優しい風が吹きよせるようにして戻ってくる。
読み進めると、あのころと同じように、胸の奥が甘く痛む。
やはり宮本輝の青春小説は、時を超えて素晴らしいと思った。
 
 

「星々の悲しみ」って、なんて素敵なタイトルなのだろう。この言葉に惚れ込んで愛読しています。大好きな本です。年をとると一年って早く感じるものですが、18才の時には茫洋とした長い期間に感じられるものです。それまで規律正しく高校生活を送っていた者が一年後の目標に向かって自分自身でその時間管理をしなければならない期間であり、結果として一部の受験生には隙間の時間がうまれてしまいますが、そんな少しばかりの自由な期間に起こった若者達の素晴らしい経験を物語にしたものです。
ぼく、こと志水は予備校を図書館でサボっている時、牛乳瓶に小石を投げ込んで競っている有吉と草間と知り合い意気投合する。喫茶店じゃこう、には10号の星々の悲しみと言うタイトルの絵画が掛かっており、三人はここで珍事を起こしてしまう。その絵画のタイトルの由来を話し合ったり、その珍事は記さないけど、とてもユニークで宮本氏ならでは思いもつかない展開になり、何度もワクワクしながら読み返してしまう。
有吉が腰が痛いと言うあたりかたは、宮本氏の先の意図が想像することが出来るが、この後どう言う展開をするのだろうか?と言う興味に変わるから、まるでマジックの様でした。
志水の妹は、無垢で純粋な美しさを引き立たせ有吉、草間の注視の的になる。兄、志水はやきもきするわけだが、顔立ちも良く勉学にも優れた有吉のやるせない様な意外な気持ちをラストで描いていて秀逸な作品でした。本当に良い作だと思います。
「西瓜トラック」
高校を卒業して市役所に勤めるボクが以前に西瓜売りのトラックでアルバイトをしていた時、西瓜売りの男から男の情欲の話を聞かされ精気が抜けてしまった事を大人になった今、それを懐かしむと言う話で、若い頃には些細な事で性に関心を持ってしまう姿が描かれています。
「北病棟」
今では結核と言う病気は完全に治る病で今では患者数こそ少ない。この作より古い話では結核=死病であったが、ちょうど結核と言う病が死から生へと医学の進歩のなかで中間の位置にある時の話で、人により病弱の大小があり、その病棟に住まう人の悲喜こもごもの様子を描いた悲しい話でした。
「火」
新しく入った古屋と言う社員は、啓一から見たらいつも洟を啜って愛想のない人物だった。が、夜中にマッチを擦り炎を見て快感に浸る奇癖があった。啓一から見た大人の男の異常さを表し、その癖によって再会を確信する事になる。
「小旗」
家族を放り出し他の女と暮らしていた父が精神病院で死んだ。病院に向かう途中道路にバス会社の制服を着た男が交通整理の為に赤い小旗を振っていた。父の生前病院には父の女も見舞いに来ていたが、父は三角や~三角や~と喚いた。これは女が他の患者と出来た事を感づいたからだった。この小旗振りの男はバスを上手に捌き三角関係を順調に切り替えている様に思えました。
「蝶」
国電のガード下にパピオンと言う理髪店があり店内は蝶の標本で一杯だった。暫く休むと張り紙をした店主は、何時までたっても戻らなかった。不安になって大家と共に店内を覗くと、電車の振動で蝶が一斉に羽ばたいている様に見えると言う神秘的な話で「蛍川」のラストを思い起こされ感動しました。
「不良馬場」
肺病の寺井を見舞った河野は決して寺井には話せない秘密が有った。寺井は久し振りだからと言って競馬に行こうと誘う。馬場の状態は悪く不良だったがレースは始まり先頭を走っていた一頭が落馬してしまい大穴の配当しなってしまう。脚を折った馬の姿が痛々しく書かれ「優駿」を連想させる名作でした。

本書は昭和54年11月から昭和56年1月に各種雑誌に掲載された7編の短編集です。表題作「星々の悲しみ」を始め内容の濃い宮本文学を象徴する様な一冊です。

 

病は思い描いた将来を突然奪っていく。
なってしまったものは仕方ない、とは思えないのは、人間が複雑な心と思考を持つからなのかな。
このやるせない気持ちは、考えることを得たのと引き換えに持ち続けなければならない悲しみ。

 

宮本輝 短編集の傑作。何度も何度も読み返しました。
少年の心の描写をうまく描いた青春モノ。懐かしい風景のようにやさしい余韻がいつまでも残る作品である。
喫茶店から「星々の悲しみ」という1枚の絵を盗み出し、薄命の画家に想いをはせる若者を描いた表題作と、「西瓜トラック」が中でも非常に印象に残っている。
表紙の佐藤忠良氏のスケッチもよく合っている。

 

『星々の悲しみ』は氏の少年時代から青年期の自叙伝とも言える短編の数々を集めたものです。現実感に溢れていて関西弁のセリフも非常にリアルでウイットに満ちています。短編冒頭の「星々の悲しみ」は誰もが味わう思春期の甘酸っぱくほろ苦い想いを登場人物たちの絡みで自然に醸し出しています。この短編集の白眉ともいえる作品だと思います。「小旗」は氏の父親に対する思いが伝わる秀作で思わず目が潤みました。宮本輝ワールドの魅力を味わえる、これぞ短編小説の醍醐味という宝石を集めたような一冊です。

 

星々の悲しみ
予備校時代の密やかな話。そして、友人の死。
こころが不安定な時期に 沈殿する青春の苦さ。
死んだように本を読んでいる青年の絵が こころを揺さぶる。
それを 3人で盗もうとする。
それがきっかけで 妹に焦がれる友人。
頭も良くて 美青年に 何となくいらだつ。

西瓜トラック
スイカ売りのアルバイトをしたが。
そのオトコの奇妙な振る舞いが 印象的。

北病棟
死を予感する人の せつない想い。
雨の中で、影絵をじっと見る 夫が、沁みていく。
 

蓄膿症と マッチの火をつけるオトコ。

小旗
父親が精神病院で死んだ。
流転の海の 熊吾が モデル。


蝶々好きな理髪師が 行方不明になった。
標本の蝶が怪しく羽ばたく。

不良馬場
肺病棟。死に選ばれる人と復活する人。
競馬場に気晴らしに行くが。

『死』を じっと見据えて 静かに描いていく。

 
 

村上春樹の文学特性

2020年04月27日 12時56分00秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

たぶん僕のような職業の人間にとって、人の頭の良いが悪いかというのは、さして大事な問題ではないからだろう。そこで頭の良さよりむしろ、心の自由な動き、勘の鋭さのようなものの方が重用される-村上春樹


「心の自由な動き、勘の鋭さ」が、既存の文学を打ち破る際に必須だったのは明らかだ。個人的な「日本文学離れ」の欲求が、表現の歴史的転換と合致したことは興味深い(大井浩一)
なぜ村上春樹という人が現代日本の作家で一人、これほど世界中で読まれる特別な存在になったか。
―このテーマに関し、ちょっと意外なとことからヒントを記してみたい。

日本の文壇の傾向、私小説的なものとは全く異なる作風、文体を引っ張って現れたのが1979年デビューの村上さんだった(大井浩一)


「結局、それまでの日本の小説の使っている日本語には、ぼくはほんと、我慢ができなかったのです。我(エゴ)というものが相対化されないままに、ベタッと迫ってくる部分があって、とくにいわゆる純文学・私小説の世界というのは、ほんとうにまつわりついていくような感じだった」(村上春樹、河合隼雄に会いにいく-より)

村上春樹の文学について
ツラポウア・ナルギーザ


村上春樹は現代日本文学の作家であります。しかし彼の文章スタイルはこれまでの作家
のスタイルと大きく異なっている。村上春樹の小説と物語は約 20 年にわたって欧米や韓
国の人々を魅了してきました。
村上春樹は1949年1月12日に京都で生まれ、子供時代を工業の発達した港町神戸で
過ごしました。彼は本が好きだったので、青年時代の多くの時間を本を読むことで過ごし
ました。その時代英語ができる日本人はあまりいませんでした。アメリカの船が神戸港へ
入港するたびに船員が読み終えた本が二束三文で古本屋に売られました。
村上の両親は教師でした。二人とも国語の先生ということで、家では共通の話題として
「枕草子」とか「源氏」が出てきました。小さい村上にとってはあまり面白くない状況で
した。それで、村上は十代を通して 2 つのことを憎むようになりました。つまり、一つ
は教師、一つは日本文学です。
そして、Raymon Carver,Truman Capote などの作品をよく読んだ村上はお父さん
としばしば議論し、日本文学には非常に現代化が必要であるという思想が頭の中に強くな
ってきました。結局それらの議論が息子と父を引き離す原因となりました。
1966 年に早稲田大学に入って、自分も何か書きたいと思った村上はそこでパラドック
スに突き当たりました。というのは、日本語で小説なり短編なりを書くと、それは日本文
学になるからです。しかし、村上は日本文学を憎んでいましたので、結局、何も書けませ
んでした。それで大学時代は書くことをあきらめていました。
村上の大学時代は政治混乱に見舞われた時代でした。アメリカがベトナムで戦争を行っ
た時代で、日本の若者はアメリカ軍の基地のフエンスに飛びかかっていました。1968 年
の安保闘争の時は、大学生も自分たちの意見や主張を強く前面に押し出しました。しかし、
大学生の反乱は失敗しました。そのため、失望した若者たちは、ひたすら個人内部の調和
を目指すようになりました。
村上は「日本は参戦しなかったが、戦争をやめさせることが自分たちの義務であり夢で
あると感じられた」と思い出しています。
村上は早稲田大学でギリシアのクラシック劇を専攻して卒業し、結婚してから仕事を始
めました。20 代の間ずっと働いて、29 歳のある日突然小説を書きたいと思った村上はそ
の時のことをよく覚えています。1978 年 4 月東京で暖かい風の中に揚げたひらめの匂い
が空気に広がっていました。29 歳の村上はスタンドでニホン対アメリカの野球の試合を
見ました。選手は上手にボール打ち返して、そしてもう一つそんなふうに打ち返しました。
スタンドが荒れ狂いました。その時村上は小説を書くことができると思いました。彼がど
うしてそう感じたのか今もはっきり言うことができません。“私はただそれがわかっただ
けです。”と村上は言っています。

村上春樹は現代第一の作家であり、若者に今の時代の英雄を提案しています。最近 20
年の間に日本社会は経済的・社会的問題を多く抱えるようになりました。そのため若者も
自分を見失っています。それらを村上は作品の中に書いています。
現在村上の作品の読者や評論家は 2 つグループに分かれています。一つのグループは
作品をよく読んでおり、もう一つのグループは村上の作品を理解できていません。年輩の
文学研究者は村上のことを”現実を見ない夢想家”と呼びました。
1996年までに村上春樹はアメリカのプリンストン大学で日本文学の講義をしました。
子供のころに日本で暮らしたことのある、Alfred Birnbaum という人は、村上春樹の作
品を数多く英語に翻訳しています。村上春樹の作品はアメリカの若者の中で人気があるそ
うです。
村上春樹の作品はこれからも世界の多くの人々に読みつがれていくことでしょう。




安倍政権のコロナ対策、ますます「世界の常識」から遠ざかっている…!

2020年04月27日 12時35分31秒 | 社会・文化・政治・経済

4/27(月) 7:31配信 現代ビジネス

 世界の一部では、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に成功し始めているところが出てきた。しかし、日本ではいまだ先行きが不透明で、安倍政権によるコロナ対策への不満が高まっている。「世界を比較すると日本政府のコロナ対応は不十分と言わざるを得ない」と指摘する専門家も少なくない。

【写真】安倍よ、ただで済むと思うな…菅官房長官「最後の逆襲」が始まった

 では、日本のどこが問題で、これからなにをすべきなのか――。公衆衛生のスペシャリストで、現在はキングス・カレッジ・ロンドンで教授を務める渋谷健司氏は、「日本ではより抜本的なコロナ対策が必要だ」と指摘する。WHO事務局長の上級顧問も務める渋谷氏が、世界のコロナ対策の最前線から日本の「いま」と「これから」について緊急提言する。

「検査」と「隔離」の基本が無視されている

 いま日本では新型コロナウイルス対策は正念場を迎えています。

 「非常事態宣言」が全国に広がったのは歓迎すべきですが、遅すぎました。そして、そこにどうしても政策がついていけていないように思います。

 ここに私がはっきりと申し上げたいのは、日本はすぐに厳格なロックダウンをして感染連鎖を抑えて、WHOが示している「検査」と「隔離」を徹底することです。これは私の住む英国が初動に失敗し、被害が拡大したことからの教訓です。

 また、「ステイホーム(家にいましょう)」のための強力なメッセージが必要です。東京オリンピックを1年後に開催すると決めた以上は、日本が国際的にもイニシアチブをとってほしいということです。

 私はWHO事務局長の上級顧問ではありますが、WHO職員でもありませんし、WHOの肩を持つつもりもありません。WHOにも色々と問題はあります。しかし、WHOがいまやっていることは感染対策の基本中の基本を示しているにすぎません。このことをご理解いただき、新型コロナウイルスにおける現状をしっかり踏まえて、今後のことに思いを巡らせてほしいと思います。

 私は「検査」を増やすべきだと訴えてきました。これまでは厚労省のクラスター対策班の尽力でどうにかこの数か月を持ちこたえてきましたが、フェーズが変わりました。

思い切った「PCR検査の拡充」を…!

 すでに感染者は日本が示している数字よりも、もっと広がっていることが予想されます。もう皆さんご存知でしょうが、この新型コロナウイルスは感染していても症状が出ない人も多く、そうした探知できていない感染者がいま感染を広げています。

 今後はますます感染が広がり、発症する患者も急速に増えていくことが懸念されます。

 医療崩壊を抑えるためには、もうクラスターだけを潰しに行くフェーズは終わり、誰がどのように感染しているのかを察知するために、検査を増やしていくフェーズに入っています。

 その体制を早急に整える必要があるでしょう。その中心になる政策は、医療機関の外に検査センターを設置することです。

 風通しを良くした大きなテントのようなものでもいいし、韓国などのようにドライブスルー方式でも可能です。これと遠隔診療の組み合わせで医療機関の院内感染も防げます。こうして感染者を割り出して、すぐに「隔離」することです。

 今までは、検査が陽性となればすべて入院させていたことから、病院のベッドが一杯でした。検査を増やす際に大切なことは、軽症者に自宅やホテルなどの代替施設で療養していただくことです。病院に入院する必要はありません。それによって、本当に治療が必要な方への病院での対応が可能になります。

 医師会の方々が頑張ってくれて、初診から電話・オンライン診療が始まっていますし、自治体レベルで検査の拡充するところも増えてきています。いまこそ思い切った検査拡充をするときだと思います。

 一方で、「家にいましょう」を徹底するために、政府はもっと徹底的な休業のための補償を組み立てるべきです。

 また、日本で言われているように「外出禁止」の法的要件が日本にないことが盛んに指摘されていますが、実はあまり関係がないと私は思っています。

 たとえばイギリスではまず、最初にパブやレストランなどの店舗を補償付きで閉鎖した後、ロックダウンを宣言しました。パブやレストランを閉めることで社会的隔離を進めると同時に、さらに「家にいましょう」を徹底させたのです。店が閉まったことで国民に危機意識が芽生え、そこにロックダウンと畳みかけていったことは、強力な一貫したメッセージとなりました。

「3月の休校措置」はあまり効果がなかった

 一方で日本では自粛をお願いしたり、非常事態宣言を出したあとに、どの店は開けてもいい、どの店はダメという議論をしています。

 国民に家にいてほしいなら、一気に店は閉めてしまったり、交通も制限したりしないと明確なメッセージにはなりません。また店のほうも政府が売り上げの補償をしないから、閉めたくても閉められない。この問題をクリアにしていかないとならないでしょう。

 強力なメッセージを発するために、一貫した政策をどの順で繰り出していくか。戦略的な見地が必要です。

 たとえば、学校の3月時点での休校はあまり効果を示しませんでした。いまの日本政府の対策を見ていても変わらずちぐはぐでスピードが遅く、政府に長期的な戦略があるようには見えません。

 この要因は、国家非常事態にもかかわらず平時のペースでやっていること、そして、政治と科学が独立していないことから起こっているように思います。

 専門家会議の位置づけが不明瞭で、政治的判断に強く影響されているように見えます。的確な政治決断のためには、正しいデータと科学的知見に基づいて提言を行い、またそれをどの優先順位で実行していくか戦略を練る独立した組織を作る必要があるでしょう。

科学的データを信用すること

 中国の武漢の例を見ても、2~3ヵ月で感染爆発を終息させている。ロックダウンと徹底した「検査と隔離」があったからです。

 もう皆さんは忘れているかもしれませんが、この武漢や中国で起こった状況をWHOと中国政府が調査した『WHO-中国合同ミッション報告書』が出されたのは、2月下旬のことでした。その調査には日本の感染症研究所の専門家も参加しました。

 そこにはアウトブレイクのある国の取るべき政策として「積極的かつ徹底的な症例発見、即時の検査と隔離、綿密な接触者追跡、および濃密接触者の厳密な隔離を優先する」ことと示されています。つまり、「検査と隔離」の徹底が一番大事であると明記されています。



 この新型コロナウイルスについては、少なくともいま得られる確実かつ大規模な調査によるデータはこの報告書しかありません。実に累計7万5000件もの症例をもとに示されており、これ以上の実証データは存在しないのです。

 ところがこの「報告書」は、「中国寄り」とか「数字が疑わしい」という理由で、データを疑問視する論調もあります。

 しかし、見誤ってはならないのは、ここで示されている対策を実施することで、武漢はもとより、韓国、台湾やドイツの例のように確実に効果が見られてくるということです。

4/27(月) 7:31配信 写真:現代ビジネス

「東京五輪」と「グローバルヘルスリーダー」

 いまスケープゴートのようにWHOは相次ぐ批判を受けていますが、いま世界中が協力してこの感染対策に取り組まなければならないときです。もちろんWHOも完璧ではありません。しかし、WHOにイニシアチブをとってもらうことなしには、その見通しは立ちません。

 実は2014年に起こったエボラ出血熱のアフリカでの大流行のときもWHOの初動が遅れたことが批判されました。そこで、当時の塩崎恭久厚労大臣の尽力で日本を含む、7か国やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の財団、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」などが資金を出して、G7伊勢志摩サミット後にCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations感染症流行対策イノベーション連合)というパンデミック・ワクチン開発の基金を作りました。

 安倍晋三首相はサミットでグローバルヘルスを主な課題として取り上げ、CEPIを「積極的にバックアップする」と言ってくれた。実は日本は世界からは「グローバルヘルスのリーダー」として高く評価されているのです。

 日本は1年後に東京オリンピックを開催することを念頭に置いています。しかしワクチン開発はWHOも、そして、今新型コロナウイルスのワクチン開発に全力を注いでいるビル・ゲイツ氏も早くても18ヵ月という見通しを示しています。

一刻も早く鎮静化させるために

 新型コロナとの戦いは、厳格な対策をとって先進国で武漢のような成果を見ても、まだ新興国に広がっていきます。

 先進国のような対策が取れない、アフリカ諸国ではまだまだ長期間の対策を強いられることになるでしょう。

 そうすると世界から人を集める五輪を開くためには、世界規模で感染が抑制される状況を何とか作っていかないとなりません。

 そのとき東京オリンピックを開催したいと願う日本は動機も鮮明で、グローバルヘルスリーダーとして国際的にもイニシアチブをとれる立場にあります。是非そうしてほしいと願ってやみません。

 そのためには、いまの状況を一刻も早く鎮静化するために、抜本的な感染対策を行う必要があると思います。日本にはそれができる力があると信じています。

渋谷 健司(英キングス・カレッジ・ロンドン教授 WHO(世界保健機関)事務局長上級顧問)

 

最終更新:4/27(月) 9:01
現代ビジネス


看護師を再び使い捨てにするな 崩壊の危機に国がやるべきこと

2020年04月27日 12時30分46秒 | 医科・歯科・介護

 連日の新型コロナウイルス報道に接しながら、改めて気づくことがある。リーダーの器量の大小である。

【写真】中国の医師や看護師の女性たちが丸刈りにされる

 首相、大臣ら政府関係者、自治体の首長らが連日、テレビに登場する。マスクで顔を隠していても、表情や語り口から、熱意や決断力の有無、誰のために政治をしているのかが伝わってくる。

 それにしても、出てくる人、出てくる人、都知事を除いて男性ばかりだ。官僚も、医療の専門家たちも。制度を作り、運用し、この国を動かしているのは男性なのだ。

 対照的なのが、切迫した医療の最前線で働いている人たちだ。看護師の多くは女性だし、押し寄せる市民の相談に応じて、検査の可否を判断し、次のステップにつなげる仕事をしている保健師も、ウーマンパワーが支えている。

 看護師や保健師はもともと女性の職業だったが、近年は男性の参入が増えた。といっても、厚労省の調査(2018年末)によると、男性比率は看護師7.1%、准看護師6.3%、保健師2.5%で、あいかわらず女性が中心だ。

 ついでに言えば、働く女性たちを支えている保育園や学童保育、訪問介護の担い手も、ほとんどが女性である。それらの現場から悲鳴があがっている。

 中でも、いま最も深刻なのが看護師不足である。コロナ感染症の重症患者を治療するとき、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)を装着すると、一般病床の患者に対するときに比べ、何倍もの人数の看護師が必要だという。

 体力的にも精神的にも厳しい状況であるため、看護師たちの免疫力が落ちて感染する危険も高まる。院内感染が起これば、感染の可能性がある人は現場を離れざるを得ず、ますます人手が不足する。この負の循環は、各地の病院で既に始まっている。

 市中感染や、自身から家族への感染を恐れて車中泊をしている人までいると聞くと、何とかならないかと胸が痛む。

 人手不足解消のために、日本看護協会(福井トシ子会長)が離職中の看護師たちに復帰を呼びかけている。

 看護師不足は、いまに始まったことではない。毎年、新卒者が就職している一方で、離職者が多いからだ。看護協会の「2019年 病院看護実態調査」によると、離職率は正規雇用看護職員全体で10.7%、新卒の場合で7.8%もある。再就職者に至っては17.7%にのぼり、6人に1人が採用された年のうちに離職しているという。

離職の大きな理由は「仕事がきつい」「賃金が安い」「休暇が取れない」といったブラックな労働環境にある。夜勤の繰り返しなど過重労働の結果、十分な看護ができていると感じられず、達成感がないというのも離職理由にあがる。患者によるセクハラ被害も多い。

 解決するためには、ワークライフバランスを重視する方向に転換し、働き方の多様化・柔軟化を認める必要がある。それが離職を防ぎ、看護師らの復職につながると指摘されながら、なおざりにしてきたツケがまわってきたといえる。

 国会会期中である。離職している看護師や保健師に戻ってほしいのなら、議員立法によってでも、待遇を改善する法律を早急に作り、危険な労働に応じた手当や、安心して働けるような感染対策を十分に講じてほしい。

 新型コロナに対する緊急経済対策について安倍首相は「世界的に見ても最大級」と胸を張るが、規模を誇るより、こうした緊急に必要なところにお金をかけるべきではないか。

 もう一つ気になるのは、感染症との闘いを戦争にたとえ、「国難」とか「非常時」という言葉が飛び交っていることだ。「こんなときだから国に尽くすべきだ」という声がどんどん大きくなり、離職看護師を追い詰めることにならないか心配だ。

 かつて、日中戦争から太平洋戦争敗戦時まで、日赤看護婦(日本赤十字社看護婦養成所を卒業した者)を中心に、5万人以上が従軍看護婦として戦地に赴いた。「忠君愛国」をたたき込まれた女性たちが、「女の兵隊」である従軍看護婦を志願したのだ。

 白衣の天使、崇高な女性ともてはやされ、「女ながらもあっぱれ」という賞賛の声が後押しした。だが、軍隊組織のなかでは最下層の傭人(ようにん)として扱われた。激戦地に送り込まれて命を落した看護婦も多いが、戦死者の総数すら、いまも詳らかでない。

 戦後補償も遅れた。兵隊には軍人恩給(年金)が支給されたが、「女の兵隊」は対象から外された。ねばり強い要求に応じて慰労給付金の支給が始まったのは、戦後30年以上たってからで、金額も少なかった。労に報いられることもなく、使い捨てられたに等しい。

 いま国難だからと、離職看護師たちの義侠心に訴えて、命の危険をともなう“戦場”に再び召集し、ゆめ使い捨てにすることがあってはならない。
(女性史研究者・江刺昭子)

 

最終更新:4/27(月) 12:11
47NEWS


アフターコロナで「日本が一人勝ち」するかもしれないのはなぜか

2020年04月27日 12時14分52秒 | 社会・文化・政治・経済

コロナショックで世界の経済活動をストップした。IMFは2020年の実質GDP予測を-3%に下方修正。アメリカは-5.9%、中国は1.2%、日本は-5.2%となっている。すでに日本でもリストラ始まっており、大恐慌の様相をみせる。しかし、アナリストの馬渕磨理子氏は「日本が一人勝ちする可能性がある」と指摘する――。

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■コロナとの戦争に悪戦苦闘する政府

 リーマンショックは金融危機から端を発したトップダウン型のショックならば、コロナショックは感染拡大を防ぐために実経済が止まるというボトムアップ型のショックでしょう。このショックを生き抜く最大のポイントは、中央銀行や国の支援はもちろん重要ですが、『地方自治・国民性・医療制度』がキーワードになってきます。日本はこの3点において誇らしい優位性があるのです。

 国内では、東京都の小池百合子都知事や大阪府の吉村洋文知事など、自治体の首長の存在感が増しています。一方で、国は「コロナとの戦争下」での政権運営に悪戦苦闘しています。「減収世帯に30万円の支給措置」を朝令暮改に撤回し、「国民一人あたり10万円の支給」へと変更するなど、財政規律のバランスなどにご苦労が伺えます。

 そんな中、自治体の首長はなんとも力強いです。「命を守る」と発信し続ける小池知事は15日、新型コロナウイルス対策の第4弾となる緊急対策を発表し、総額約8000億円を打ち出しています。中小・零細事業者への支援を拡充し、融資枠の拡大、飲食店への助成、休業要請に応じた事業者への協力金支給などを2020年度補正予算案に盛り込みました。休業や営業時間短縮は経営に大きな影響を与えており、要請に応じた事業者への対応として、1店舗のみ経営する事業者には50万円、2店舗以上の場合は100万円を配るとしています。これらの受給申請の受け付けを22日に始め、5月上旬にも支給が始められるようです。

■自治体の首長こそ、アフターコロナの光

 また、大阪の吉村知事と、大阪市の松井一郎市長が、新型コロナウイルス感染拡大で逼迫する医療現場で不足する防護服の代用として、緊急に「雨がっぱ」買い取りを表明したことも話題に。これに対して10万着の無償提供が寄せられるなど多くの共感を得ながらにして、医療現場を守りました。

 加えて、吉村知事はソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が18日に発したツイッターに即座に反応しています。孫会長が医療用フェイスシールドと医療用メガネを緊急に調達できる可能性に言及し、このツイートに吉村知事が「是非、大阪府で買取りさせて頂ければと思います」と申し出ています。孫会長は「一緒にコロナとの闘い頑張りましょう」と返答するなど、官と民が一体となれば、これだけ早い対応が出来ることが如実になっています。地方自治の首長の牽引力、泥臭さこそ、withコロナを耐え忍び、アフターコロナでも日本が力強く生きていける「光」となっています。

■集団で均衡を保つ日本の国民性

 今回の新型コロナで、日本が今後、評価されるかもしれない点は、時期尚早かもしれませんが、日本人的性質かと思ってます。渋谷のスクランブル交差点を誰もぶつかることなく綺麗に渡りきる感覚。言葉では説明しきれないですが、あのような均衡を保ちながら進む感覚を日本人は持ち合わせているのです。法的な禁止措置を取らず、都市封鎖を行わないまでも外出の自粛に従う国民性は長年積み重ねられたDNAすら感じます。

 まだまだ中小企業ではリモートワークの移行が難しいとも言われており、緊急事態宣言も遅すぎるとの意見はありますが、ある程度の効果を出していると言って良いでしょう。また、3月21日と22日にお花見を楽しむ人の姿が散見され日本人の行動に疑問が寄せられましたが、背景にはその直前の安倍首相の記者会見で「政府の専門家によれば、取られた対策はウイルス拡大防止に効果があった」と話し、安心感を与えてしまった点は否めません。

 しかし、日本が諸外国の様に、いきなり緊急事態宣言を出していたら、どうなっていたか?  3月下旬から4月第1週目あたりは、各国の都市封鎖の情報から、日本でも「緊急事態宣言=都市封鎖」との誤った情報が出回っていました。国は、緊急事態宣言=都市封鎖ではないという情報がある程度行きわたるまで時間を要し、買い占めなどの混乱を招かないように時期を見計らった意味では、「タイミングは良かった」という見方もできなくはありません。デマが出回っていたあの状況下での緊急事態宣言は回避して正解なのです。群集心理が暴走した末は恐ろしいものです。ある意味国民を、混乱に陥れることなく、自粛に移行できたのではないでしょうか。

 内閣官房が4月14日に、JR東日本、JR西日本、JR九州、東京メトロがまとめた主要駅の改札通過人数の推移を発表しています。20年4月12日と前年同期と比較して、改札通過人数は、東京駅84.0%減、新宿駅86.0%減、渋谷駅81.0%減、池袋駅81.0%減、横浜駅82.0%減、千葉駅71.0%減、東京メトロ全駅82.0%減、大阪駅93.0%減、三ノ宮駅80.0%減、博多駅(在来線)83.0%減となっています。法的な規制なしに効果を出していることが伺えます。

■絶望的な医療崩壊寸前も、歯止めか

 ニューヨークでは1日の死者数が約700~800人となり、イタリアでは死者数がなお約600人となっています(4月18日時点)。各国と比べて日本は明らかに、感染者数と死亡者数が少ない点についてPCR検査をしていないからだとの意見も多いです。しかし、ニューヨークやイタリアのように、葬儀崩壊、死者が溢れている事態には陥っていないことからも、死者数のデータにはある程度の信憑性があると言えるでしょう。

 まだ、多くのことは分かっていないですが、4月2日にミシガン州の保健社会福祉省が人種別の死者数の内訳を発表したデータによると、ミシガン州において新型コロナウイルス感染者の黒人が占める割合は33%・白人は25%、死者数は黒人が41%・白人は28%だったことが公開されています。アフリカ系アメリカ人の人たちはベースとして、高血圧、脳卒中、糖尿病の割合が高くなっており、こういった健康格差は貧富の格差から生まれていると考えられます。日本は国民健康保険制度で長い年月の中で医療に守られている国であり、医療格差が元々ないことも、今回の致死率の低さに関係してる可能性も考えられます。貧富の差と医療に日頃からアクセスできていたかどうかが、数字を通して顕著に現れています。

■日本が誇る技術「アビガン

 日本の技術が世界を救うかもしれません。富士フイルムホールディングスが開発してる「アビガン」について、新型コロナウイルスに感染した患者の症状を改善させた例が複数報告されています。日米で治験を開始しており、最短で6月末までに治験を終え、年内にも市場に出てくるとの観測もあります。また、大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授と阪大発バイオベンチャーのアンジェスは、新型コロナウイルスの予防用ワクチンなどで共同開発に乗り出しています。この治験薬の開発を早めるために、大阪府と大阪市は4月14日に大阪大や府立病院機構などと連携して治験や研究を行う協定を結んでいます。これにより、アンジェスのワクチン治験は2カ月前倒しの予定となっています。

 コロナショックが訪れ、今まで繁栄してきた資本主義や都市構造のあり方への歪みが一気に露呈しました。世界では米中の覇権争いが続きますが、その狭間で、日本は独自の『地方自治・国民性・医療制度』の3つの点で“異質な輝き”を放っているのです。


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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
テクニカルアナリスト
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、株式会社フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。ロイター・ブルームバーグ・yahoo!ファイナンス、雑誌プレジデント、テレビCMなど多数出演。
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テクニカルアナリスト 馬渕 磨理子

 

 

最終更新:4/27(月) 12:10
プレジデントオンライン


ホームレス増 仙台で相談続々

2020年04月27日 07時39分06秒 | 社会・文化・政治・経済

4/27(月) 9:38 河北新報

仙台でホームレス増加 若年層の相談が相次ぐ河北新報967
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化の影響で、仙台市内で路上生活者(ホームレス)が増えつつある。低所得者が職や住まいを失うケースが目立ち、市内の支援団体には若年層からの相談が相次ぐ。関係者は「セーフティーネットセーフティーネットからこぼれ落ちる人が出ないよう、生活支援の拡充が必要」と訴える。

【写真】パチンコ店に客次々 仙台の2店舗、休業要請を無視 県境越えの愛好者も

 NPO法人仙台夜まわりグループ(仙台市)は毎週食料を配布している。23日朝、市内で実施した際は約20人が列を作った。用意したおにぎりやパンなどの詰め合わせは、10分足らずでほぼなくなった。最近はこれまで見掛けなかった若者の姿が目立つという。

 「新型コロナのせいで、ようやく見つけた仕事がなくなってしまった」。列に並んだ男性(46)は肩を落とした。今月上旬から市中心部で路上生活を続けているという。

 男性は昨秋、職を求めて南相馬市から仙台市に移った。冬に東京都内で建設業の仕事を見つけて寮生活を始めた。

 今年3月になると一気に仕事がなくなった。貯金は早々に底を突き、歩いて6日かけて仙台に戻った。支援団体にもらったマスクを着け、感染におびえながら路上で暮らす。

 同法人の支援を受けて自立しようとしているが「今の状況で仕事を見つけるのはかなり難しいと思う」。不安を拭い切れない。

 新型コロナの影響が深刻になった4月以降、同法人には生活困窮を訴える声が続々と寄せられている。

 「ネットカフェで暮らし、日雇いや週単位の仕事でつないでいたが、次の仕事が見つからない」「県外の宿泊業者に就職する予定が破談になりそう。既に家を引き払い行き場がない」。相談者の多くは20、30代の若年層だという。

 厚生労働省の調査によると昨年1月、仙台市内で85人の路上生活者が確認された。厳冬期の調査だったこともあり、直近の数は大幅に膨らむとみられる。

 同法人の関係者によると市中心部で4月以降、路上生活者が従来より多く見られるようになった。今後も、突然の派遣切りや雇い止めなどで、路上生活を強いられるケースが増える恐れがある。

 路上生活者が住まいを確保し、生活を安定させるにはかなりの労力と費用が必要だ。同法人の青木康弘事務局長は「路上生活に陥らないよう、家賃援助など生活を保つための支援が大切になる」と訴える。

 仙台夜まわりグループは無料の電話相談を受け付けている。午前8時~午後9時半。連絡先は050(5539)6789。

河北新報
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最終更新:4/27(月) 11:31
河北新報


なぜ村上春樹は世界中の人々に「ささる(強い衝撃を受ける・刺激がある)」のか

2020年04月27日 07時39分06秒 | 社会・文化・政治・経済

村上作品の英訳者・ルービン氏、大いに語る

ジェイ・ルービン : ハーバード大学名誉教授

「村上さんには早くノーベル賞をとってほしい」というハーバード大のルービン名誉教授。もし村上氏と出会わなかったら「今とは違う頭脳構造を持っていた」と賛辞を惜しまない(撮影:梅谷秀司)
米ハーバード大学のジェイ・ルービン名誉教授は、作家・村上春樹氏の翻訳者としても知られる。実は、村上氏が世界で幅広い読者を獲得しているのは、ルービン教授なくしては語れない。翻訳者・研究者、そして友人として、なぜ村上作品が世界で愛されているのかを語る。(聞き手:井坂康志)

当初は村上作品に何の期待もしていなかった

――村上さんとの出会いは?

作品を知ってから四半世紀の付き合いになります。最初に出会ったのは1989年、『羊をめぐる冒険』がアルフレッド・バーンバウムの翻訳で、アメリカで話題になる少し前のことでした。

僕は村上さんの世界に入る前は、夏目漱石、芥川龍之介、国木田独歩など明治期の文学者を研究してきたのですが、特に漱石に見られるように心理の深いところにもぐりこみ、機微に触れる作家が好きでした。

1989年、『羊をめぐる冒険』の英訳が刊行される数か月前のこと、アメリカのヴィンテージという出版社から、村上さんのある長編作品が翻訳に値するか見てほしいとの依頼がありました。「世間でどんな駄作が読まれているかを知るのも、まあおもしろいだろう」と考え引き受けたのです。率直に言いますと、最初は何の期待もありませんでした。

しかし、読んでみて、度肝を抜かれました。ある長編作品とは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』でした。僕は日本人による作品で、これほど大胆かつ奔放な想像に恵まれた「小説の世界」は見たことがありませんでした。結末近く、一角獣の頭骨から大気へ放たれる夢の色彩が目の前にありありと浮かんだのを、今も思い出します。

僕としては、この作品は是非自分の手で翻訳を行いたいと思い、出版社にその旨を希望したのですが、残念ながら願いはかなえられませんでした。しかし、この経験以来僕は村上さんの世界から二度と出られなくなりました。作品はすべて手に入れて読みましたし、大学の授業でも取り上げました。

言葉が「読み手の心に直接飛び込んでくる」

――村上作品は、何が読者の心を刺激するのでしょうか。

僕もずっと考えてきたことなのですが、実は今も一つの謎です。いろいろな国の人と話しましたし、さまざまな説明が可能だと思いますが、正確な答えはわかりません。少なくとも言えるのは、彼の鮮やかでシンプルなイメージが直接的に読者に訴える。気取ったわざとらしいようなものがなく、読者の心にストレートに届くのです。

ジェイ・ルービン 1941年ワシントンD.C.生まれ。ハーバード大学名誉教授、翻訳家。芥川龍之介、夏目漱石など日本を代表する作品の翻訳多数。特に村上春樹作品の翻訳家として世界的に知られる。著書に日米同時出版となった長編小説『日々の光』(柴田元幸、平塚隼介訳)などがある。

たとえば、『パン屋再襲撃』という短編がありますね。海底火山の比喩があります。主人公が突如襲われた「特殊な飢餓」を説明するために次のような記述があるのです。

① 僕は小さなボートに乗って静かな洋上に浮かんでいる。②下を見下ろすと、水の中に海底火山の頂上が見える。③海面とその頂上のあいだにはそれほどの距離はないように見えるが、しかし正確なところはわからない。④何故なら水が透明すぎて距離感がつかめないからだ」(『パン屋再襲撃』集英社文庫、15ページより)

なぜ海底火山をわざわざ入れたのでしょうか。解釈はいろいろあるでしょう。何かの象徴なのでしょうか。

実は、かつて僕はある授業で、村上さん本人がゲストのディスカッションのリード役をしたことがあります。僕は学生に、小説の中の海底火山は何の象徴と思うかと質問したのですが、村上さんは誰かが答えるより前にいきなり口を挟み、「火山は象徴ではない。火山はただの火山だ」と言ったのを覚えています。

村上さんの言葉は、彼らしい率直なものでした。「あなたはお腹がすくと火山が思い浮かびませんか? 僕は浮かぶんです」と。単純明快な主張です。

海底火山が象徴するのは――僕の解釈では――未解決のまま残されてきた過去の問題だと思います。無意識にとどまりながらも、いつ爆発して現在の静かな世界を破壊するかもしれない「何か」です。

しかし、村上さんからすれば、そんなふうに定義すると、本来の言葉のパワーが失われてしまう。火山はただの火山としてその他の説明をいっさいしないのです。結果として読者一人ひとりの心中で純度の高いイメージが出来上がるのです。国、宗教、政治的立場にかかわりなく、同じイメージとして読者の心に飛び込むのです。

――海外の読者も、日本人と同じように感じているのでしょうか。

僕はたくさんの読者からメールや手紙を頂戴しています。もちろん大半は僕の英訳を読んだ読者で、日本人でない人たちです。必ず書かれているの

が、やはり「私のためにだけ書いてくれた」という一文です。実は僕自身も同じように感じてきました。「なぜ村上さんの作品は、僕たちの心の深いところにあるものをそんなにはっきりと描くことができるのだろう。わかってくれるのだろうか」と。 

やはり理由は分かりませんね。イメージのシンプルさ、鮮やかさ、そして意外性もある。先ほどの「海底火山」がそうですが、村上さんに直接的に聞いても、本人さえ海底火山がどこから出たのかはわかっていないのですから、他の人がわかるはずがない。

よい文学とは、日常生活に響くもの

――ルービンさんが村上作品から学んだ最大のものは何でしょうか。

その問いは、僕にとっては「よい文学とは何か」という問いに置き換えられると思います。よい文学とは、僕に言わせれば、日常生活に響くものです。ごく当たり前の日常生活―――買い物をしていても、車を運転していても、料理をしていても――何をしていても、ふと微妙な関係で瞬間的に頭をよぎるものです。すべての生活に関わりを持っている。

村上さんの作品は、僕のいう「よい文学」の条件をパーフェクトに満たしています。とはいっても、僕が村上さんから具体的に何か教訓のようなものを得たか、それはよくわかりません。

ただ、はっきり言えるのは、もし僕が村上春樹という作家を知らずにいたら、まったく違う人生を送っていただろうし、このインタビューを受けることもなかっただろうということです。

もっと言えば、村上さんを知らずにいたら、今とは異なる頭脳構造を持っていただろうとさえ言ってよいと思います。もちろん仕事もまったく違うものになっていたでしょう。

村上さんを翻訳したおかげで、新しい経験を持つことができました。

ノーベル賞受賞なら村上氏と読者の頭脳が直接つながる

――村上さんがノーベル賞を取ったら贈りたい言葉はありますか。

実は、10年以上前に朝日新聞のためにエッセイを書いたことがあります。結局、そのままどこかで埃をかぶっているのでしょう。僕としてはなるべく早く村上さんにノーベル賞をとってほしい。シーズンになると毎年日本の新聞から、「もし村上さんが受賞したら?」というコメントの依頼も来ますしね。

もし実際にとられたら、僕は心からほっとするでしょう。というのも、毎年恒例のように、世界中が大騒ぎになることは村上さんにとって気の毒ですからね。ご本人はクールな態度をとりつづけていますが――。

それに現実の問題として、日本の作家として可能性がある作家は村上さんのほかにはたぶんいないでしょう。世界中の人に読まれていて、世界中の人々の心の中のことを書ける希有な作家ですから。受賞すべきだろうと思います。もちろん受賞したら、「おめでとうございます」と言いたいですね。

――村上さんを通して世界の相互理解が進む面もあります。

もちろんファンの人々が互いに理解し合う喜びもあります。僕には直接的に村上さんの頭脳と読者の頭脳がつながる「文学的なインパクト」の方を重視したい。

つながるのは読者対読者というよりも、村上さんと読者です。横につながっているというよりも、縦につながっているように見えます。

実は、漱石なども同じだと思います。漱石の言葉に、「還元的感化」という言い方があります。彼の「文芸の哲学的基礎」という講演をもとにまとめられた論文に出てくるもので、僕は最初に読んだとき、強い印象を受けました。

還元的感化とは、作家と読者の間に「純粋かつ個人的な関係」が構築されるたぐいの感化を言います。作品そのものが、読者の心にストレートに飛び込んでいく。

村上作品には、人々に内省をさせる力がある

――今回ご自身も小説『日々の光』(新潮社)を刊行されました。第二次大戦中のアメリカの強制収容所を描いています。

クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

村上さんも『波』(新潮社)にありがたい言葉を寄せてくださいました。うれしいことです。

『日々の光』のモチーフは戦争なのですが、本来アメリカの読者のために書いたものながら、日本の読者にも受け入れてもらえると期待しています。大昔から反戦文学や映画作品がつくられてきましたが、戦争はなかなか終わらない。いくら反戦のことを書いても意味がないと否定的に考えることもできますが、もっと積極的な態度を保ちながら書いていきたいし、読んでほしい。

実はこの作品は今から30年前の1985年に書き始め、2年ほどかけて仕上げました。当時いくつかの出版エージェントに声をかけたのですが、採用されませんでした。強制収容所についての作品ですし、「第2次大戦後70年」ということもあって、今回採用されたのだろうと思います。

70年とは一つの人生に匹敵する時間です。この機に出せなければ永遠に出せないのだろうと思ったわけですね。

村上さんも戦争に敏感な作家ですが、彼の作品は読者に考えさせてくれます。内省させてくれます。戦争を始める政治家には、その内省が必要だと思う。文学の持つ力は想像する以上に大きいのですから。


河野防衛相「安倍総理抜く」 フォロワー増呼びかけ

2020年04月27日 07時39分06秒 | 社会・文化・政治・経済

 「安倍晋三首相超え」へ協力して――。河野太郎防衛相は26日夜、インターネット番組で、ツイッターのフォロワー数を増やすよう視聴者に呼びかけた。「ポスト安倍」をめざし、次の自民党総裁選に立候補すると公言している河野氏だけに、まずは得意のSNSで首相超えをうかがう。

【写真】河野太郎防衛相(左)と安倍晋三首相=福留庸友撮影

 河野氏は「防衛大臣 河野太郎と話そう」と題して、定期的にニコニコ生放送などで肉声を伝えている。この日はノーネクタイに、高市早苗総務相から贈られたというマスク姿。ラジオの生放送さながら、事前に募るなどした視聴者からの質問に答えていった。

■「安倍首相190万、河野太郎150万」

 河野氏はツイッターでの自らの発信が「引用リツイート」される極意を尋ねた質問を「国家機密」とかわした後、自身のフォロワー数の話題に脱線。「安倍総理が190万で河野太郎が150万」と指摘し、「私のフォロワーが1人1フォロワーを増やすと総理を抜く。ぜひ明日からご協力いただきたい。めざせ、安倍総理」と呼びかけた。言い過ぎたと思ったのか、「あまりこれ以上言うと、不穏になってもいけませんからあれですが……」と口を濁す場面もあった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、夜の会食などの日程がなくなるなか、歴代の米国防長官の自伝を読んで過ごしていることも明らかにした。

 26日午後10時半の時点で、安倍首相のフォロワーは約198万人、河野氏のフォロワーは約152万人。(寺本大蔵)

朝日新聞社

 

最終更新:4/27(月) 1:33
朝日新聞デジタル


新型コロナ、感染すれば免疫はできるのか? 免疫が数カ月もつのか、数年もつのか、または終生続くのかはまだ分からない

2020年04月27日 07時12分46秒 | 医科・歯科・介護

4/20(月) 17:20配信

(c) BBC News

新型コロナウイルスのワクチン開発に取り組むイギリスの研究チームは、来週後半にも臨床試験を開始したいとしている。

ワクチン開発チームを主導する英オックスフォード大学のサラ・ギルバート教授によると、これまでの研究の結果、新型ウイルスに繰り返し感染する可能性があると考えられているという。

19日のBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演したギルバート教授はさらに、自然感染で獲得する免疫よりも、ワクチン接種による免疫の方が長続きする可能性があると話した。

 


新型コロナをめぐる、日本人の危機意識の「ばらつき」について

2020年04月27日 06時22分46秒 | 社会・文化・政治・経済

4/27(月) 5:31配信 現代ビジネス

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東京五輪は延期され、イベントの自粛が始まった3月に入っても、日本人にはまだまだ危機意識が薄かった――10年前に書かれた「予言の書」として今、爆発的に読まれている『首都感染』の著者・高嶋哲夫氏が、「新型コロナと日本人」について書きおろすドキュメント連載第2回! 
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【写真】コロナ危機で、じつは日本が「世界で一人勝ち」する時代がきそうなワケ

 第1回:10年前の予言書『首都感染』著者が振り返る「新型コロナ騒動」前夜

「予言の書」を映像化したい

 2月27日、安倍首相は全国のすべての小中高校、特別支援学校を対象に、「3月2日から春休みまで、臨時休校」を行うよう要請した。前日には、「今後2週間の大規模イベントの中止や延期」を要請している。

 この日、2人の知り合いが僕の仕事場に来た。

 『首都感染』を映像化したいというのだ。一人の方とは20年来の知り合いで、退職はしているがテレビ関係の方だ。去年の暮れ、彼の古希のお祝い会でお会いしている。

 『首都感染』が「予言の書」として話題になり、売れていると言うが、僕には実感はなかった。僕に入っている情報は、2000部の増刷が2回だけだ。後は、本屋にないので個人的に欲しいと言うもの。神戸でも田舎に住んで、あまり多くの人と話さず、本屋にも行かないと情報には疎くなる。

 「予言の書」と言われていることには興味がなかった。フェイスブックとツイッターは書いているが、自分への備忘録と、知り合いへの近況報告、居場所報告だと思っている。その他のサイトは、仕事上の検索以外はほとんど見ない。

ハリウッドを目指して

 映像化については、「よろしくお願いします」と答えた。

 実はこの手の話は、ほとんど期待していない。本を出すと何冊かには映像化の話は来る。千三つという言葉を聞いている。千ある話で三つ実現すればいい。映像化はそれほど難しいという譬えらしい。僕の本で映像化されたのは、三つしかない。

 「高嶋さんの本を映像化するには、お金がかかります」……そう言われたことがある。僕もそう思う。でも、そうでもないモノもあるはずだ。ようは、売れていないのだ。日本での映像化は諦めていた。

 『メルトダウン』『命の遺伝子』『乱神』は、英語出版、ハリウッドでの映画化を目指して書いた。『乱神』をのぞいて、舞台は外国。日本人は日系人しか出ない。もちろん、日本語なので、まず英語にしなければならない。

 『メルトダウン』は、『FALLOUT』というタイトルでアメリカで出版されたが、ほとんど売れていない。『命の遺伝子』は中国の南京大学で翻訳して出版してくれた。現代に生きるナチス、謎の遺伝子を持つアマゾンの少女、バチカンの秘密、スピルバーグさんが読めば、飛びつくと信じている。しかし彼は、日本語も中国語も読めないだろう。

 ハリウッドでの映画化。誰も本気で考えてくれないので、自分でやることにしたのだ。

 翌日、金曜日は、全国ほとんどの小中高校で学年最後の登校日になった。

 小学生の子供を持つ親には、働き方を変える大問題だ。マスコミはこぞって、学校現場や保護者の混乱ぶりを取り上げている。

 首都圏、大阪など感染者が多い県では納得するが、まだ多くの県で感染者は一桁、二桁で、ゼロの県もいくつかあった。

雪まつり、ダイヤモンド・プリンセス号
 「イベントの自粛」「全学校休校」要請の前段には、いくつかの「兆候」と言えるものがあった。

 まずは札幌の雪まつりだ。1月31日から2月11日まで行われている。例年、約200万人以上の人を集める大イベントだ。

 1月25日、中国で春節が始まった日、武漢から来た中国人女性が感染していることが分かった。北海道での最初の感染者だ。

 中国人団体客の来日が停止されたこともあり、前年度の273万人からは大きく減少した。それでも、約202万人の来場者があった。

 結果的には、北海道では3月8日に、感染者が100人を超えた。知事が週末一律の外出自粛を促す、「緊急事態宣言」を出すに至っている。

 「雪まつりで感染が拡大した可能性は完全には否定できないが、一方、現時点で裏付けるものもない」との声もあるが、運営側から感染者も出ている。

 さらに大きな話題を呼んだのは、2月3日に横浜港に停泊したクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号だ。

 その日に行われたウイルス検査で31人中10人が陽性だったのだ。以後、日を追って感染者は増えていった。

 国立感染症研究所の報告では、7日の発症者が最高で、クラスターの発生は2日と推測している。その日は船内で、乗客、船員が集まり、「さよならパーティ」が開かれている。

 連日、マスコミは感染者の数と船内の様子を、推測を交えて伝えた。

 日々増えていく感染者の数と巨大な豪華客船の姿は対照的で、新型コロナウイルスの象徴的な存在となった。

 しかし、感染力の強いウイルスが発生している船内で、夫婦が同じ部屋にいれば、2人の感染は確実だ。

 感染対策の経験者がDMATの一員としてクルーズ船に入ったが、1日で追い出されたような記事も読んだ。彼は、船内では安全、危険ゾーンの区別など、感染対策がほとんど取られていないことを述べていた。

 初期のうちに、もっと集中管理の出来る広い施設に移すことも考えるべきだったのではないか。
強行された格闘技イベント
 船内隔離が始まって2週間後の19日、約500人が隔離を解かれて自宅に帰っている。多くがバスで横浜駅まで送られ、公共交通機関で帰宅している。以後、数名の方が帰宅後発症している。

 アメリカのチャーター機で帰国した人は、帰国後2週間隔離されている。

 27日に全乗客が下船したが、最終的に、乗船客3711人中、感染者712人、死者14人を出した。その感染対策には、世界の評価は低かった。

 やはり、最初から感染病対策の専門家がリーダーとなり、計画的に対応すべきだった。

 この大量感染も、元をたどれば香港で下船した武漢出身の一人の男性から始まった。感染を防ぐには、早期の封じ込めしかない。

 22日には、政府のイベント中止要請が出ているにもかかわらず、さいたま市で6500人規模の「格闘技イベント」が行われている。県は中止の意向を示したが、強行された。

 マスクの配布、体温測定器の設置、会場の扉の開放、感染者が出た場合に感染経路をたどれるよう来場者に名前、住所、電話番号の提出を義務づけた。「最大限の予防策を講じた」と主催者側言う。しかし、興奮すると大声を上げたりマスクを外したりする観客もいたという。

 この時点の世界での感染者は、約8万2600人、死者数約3000人だった。

 日本人の感染者は約919人だ。この中にはクルーズ船の感染者が含まれているので、202人だ。

 感染は東京や大阪など、人口密度が高い大都市に集中している。その他の県では一桁か二桁の感染者数、ゼロの県もある。

 やはり、ウイルスの感染は後で言われる「三密」で発生するのだ。だが、多くの日本人にとって、緊張感はなかったのだ。

新型コロナをめぐる、日本人の危機意識の「ばらつき」について
通勤ラッシュは最大の危険(photo by iStock)
ばらつく危機意識
 実を言うと、僕の危機感も高いとは言えなかった。

 東京での集まり、授賞式の中止や延期のメールはいくつも入っていた。にもかかわらず、2月には神戸を中心に、沖縄、東京、岡山と行き来していた。

 WHOが発表していた致死率の低さと、世界に比べて日本での感染者数が少なかったことが理由だ。

 東京に行くときは、家から神戸空港まで車で行って、飛行機で羽田に飛ぶ。朝一番の飛行機だが満席に近い。ほぼ全員がマスクをして、会話はない。

 神戸から東京に着くと、人の多さに圧倒される。いつもとさほど変わらない日常の姿だ。羽田も品川も、電車も相変わらず人は多い。

 首都圏最大の感染源は「東京一極集中」で、避けなければならないのは、「電車のラッシュアワー」だ。特に電車はヤバい。マスクをして、押し黙って吊り革や手すりを握ったり、座っている乗客は、最大の危険の中にいる。

 ウイルスは、何もない所から湧いては来ない。だがもし、そこに一人の感染者がいれば――。

 ウイルス自体については、我々一般国民は多くは知らなかった。過剰反応を示す者と、無関心な者とに分かれているような気がする。僕も現状がピークで、ひと月もすれば落ち着いてくると思っていた。

 2月の終わりの時点での世界での感染者は、韓国、約3000人、イタリア、約1000人、フランスとドイツは100人以下。アメリカは70人だった。トランプ大統領も楽観的なことを言っている。

 目に見えないモノに対しては、人は必要以上に恐怖を抱く。ウイルスは放射能に似ていると思う。

 マスク不足やトイレットペーパーの買い占めは、その表れだろう。もっと、「新型コロナウイルス」そのものを知って、冷静になることが重要だった。
動き始めたハリウッドプロジェクト
 3月に入った。

 1日には東京マラソンが行われている。市民ランナーの参加は中止して、選手のみが参加している。オリンピックの選手選考がかかっているので、中止はできなかったのだろう。観客は7万人。この日、日本新記録が出ている。

 この時期になっても、総理は、「オリンピックとパラリンピックについては様子を見て決める」と、やる気満々なのには正直、呆れていた。この引き延ばしが、中止ではなく、来年への延期につながったのであれば、何とも寂しい。IOCの幹部の見識を疑う。新型コロナウイルスは、イタリア、スペインを中心にヨーロッパにも感染が広がっていた。

 「全小中高校休校」「東京マラソン実施」は対照的だが、決断を誤れば、大きな悲劇を生む。幸い、表に出るような「悲劇的なこと」が起こらなかったからよかったものの、これは運でしかない。

 このころ、僕にとっても多くのことが起こった。

 3月2日、岡山で母の法要と納骨があった。岡山県はまだ感染者はゼロで、表面上はコロナ騒ぎはほとんどなかった。町でも、マスクをしている人はほとんど見られない。

 このとき、中学2年生の孫に会った。彼はインターナショナルスクールに通っている。学校は休みになっているが、週明けから、パソコンを使ったオンライン授業を受けるという。宿題も出て、忙しくなりそうだと言っていた。日本では4年計画で小中高校生に、一人1台のパソコンを導入する計画がある。しかし、遅かったわけだ。

 8日の日曜日に、雑誌「FRIDAY」の取材を受けた。『首都感染』についてだ。

 取材はトータルビューティー・プロデューサー、アケミ・S・ミラーさんの計らい
で、大阪の彼女のスタジオで行われた。アケミさんは、長年ニューヨークで活躍したファッションデザイナーで、トランプタワーに住んでいたという。アメリカの多くの著名人と知り合いだ。

 ハリウッドプロジェクトを話すと、協力を約束してくれた。彼女の知り合いの中に、ハリウッド関係者がいるという。ジョージ・マーシャル・ルージュ。『紅い砂』の英語版ができた段階で、送ってくれるという。

 彼の名前も知らなかったが、帰って調べると、「ロード・オブ・ザ・リング」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ロボコップ」などのアクション監督だ。プロデューサーともある。

 このころから、『首都感染』についての取材が入り始めた。

 10日には、『首都感染』の映画化の話を持ってきた二人に連れられて、東京に行った。新宿の高層ビルで、ある有力者に紹介された。

 近くの本屋さんに行ったが、『首都感染』はなかった。そのころ、本屋さんには、ほとんど見られないというメールや電話が相次いでいた。17日に、12刷1万部が出来ることを伝えた。

 18日に『紅い砂』のショートフィルムを作ってくれる夜西監督さんと、最終打ち合わせをした。彼とは2年前、『スティール・アンジー』という彼の監督作品の試写会で会っている。すでにアクションを主体にした映画を2本撮って、いくつかの賞を受賞している。ニューヨークで表彰されている写真を見て、羨ましいと思っていた。

 彼に『紅い砂』のテーマやストーリーを説明した。昼過ぎからお互いの夢を夜の12時近くまで話した。

 やっと、「ハリウッドプロジェクト」が動き始めた。僕の頭はハリウッドでいっぱいだった。

 そんなときにも、「新型コロナウイルス」は日本に、そして世界に広まっていた。

 世界の感染者数約18万人。 都内と名古屋市で感染者数100人を突破し、日本国内の感染者数約1600人になっていた。

 アメリカの娘や友人から電話があったが、日本の状況を心配する方が多かった。

 〈第3回へ続く〉

高嶋 哲夫(作家)

 

最終更新:4/27(月) 5:31
現代ビジネス


群馬4歳男児死亡、母親の元交際相手の妻を逮捕

2020年04月27日 06時17分41秒 | 事件・事故

4/27(月) 0:52 TBS系(JNN)

群馬県高崎市で4歳の男の子が意識不明の状態で病院に運ばれ死亡した事件で、母親の元交際相手の妻が暴行の疑いで新たに逮捕されました。

 この事件は、高崎市の接客業・土屋聡美容疑者(25)と元交際相手の武藤一貴容疑者(27)が、土屋容疑者の息子の翔雅ちゃん(4)に暴行を加えた疑いで逮捕されたものです。翔雅ちゃんは今月22日、武藤容疑者の家から救急搬送され、翌日、外傷性ショックで死亡しました。

 体には20か所以上のあざがあり、警察は日常的に虐待を受けていた疑いがあるとみて捜査していましたが、26日、新たに武藤容疑者の妻の千夏容疑者(23)を暴行の疑いで逮捕しました。

 土屋容疑者は出かける際に武藤容疑者らに翔雅ちゃんを預けることがあったということで、警察は3人による暴行と翔雅ちゃん死亡との因果関係について調べを進めています。(26日19:33)

最終更新:4/27(月) 0:52
TBS系(JNN)


休業要請中のスポーツ施設利用者が陽性 全国で新たに209人が感

2020年04月27日 06時15分39秒 | 事件・事故

4/27(月) 0:39配信 FNNプライムオンライン

栃木県では、新たに2人の新型コロナウイルス感染が確認され、このうち80代の女性は4月16日と21日に大田原市のスポーツ施設を利用していた。

この施設は、4月18日からの栃木県の休業要請の対象となっていたが、営業を続けていた。

また、兵庫・明石市では、救急隊員の40代の男性が感染していたことがわかった。

男性は4月、頭痛を訴えた70代女性の救急搬送に携わっていて、その後、女性の感染が判明している。

富山県では、集団感染が起きている富山リハビリテーションホームの入所者の90代の女性が死亡した。

この施設の入所者で死亡したのは3人になった。

26日は、全国で209人の感染が確認され、国内の感染者はあわせて1万3,407人となっている。

また、全国で12人が亡くなったことがわかった。

最終更新:4/27(月) 0:39
フジテレビ系(FNN)


都内の感染判明数 100人割る 検査少ない? 自粛要請効果?

2020年04月27日 06時09分36秒 | 社会・文化・政治・経済

4/26(日) 18:09配信

FNNプライムオンライン

26日も各地で新型コロナウイルスの感染者が相次いでいる。

東京都では、72人の感染が確認され、新潟市では赤ちゃんの感染が明らかになった。

都内で新たに感染が確認されたのは72人で、都内の1日の感染者数が100人を下回ったのは、4月13日以来、13日ぶり。

週末のため、検査の件数自体が少なかった可能性もあるが、専門家は先週、都内の増加傾向が「鈍化している」と指摘し、小池知事の外出自粛要請の効果が出ているとみられるとの見解を示している。

一方、福岡・久留米市では、新たに2人の感染が判明した。

2人は、集団感染が発生している、クラブ・マビニの利用客で、マビニの従業員や客などで感染が確認されたのは、これで20人となった。

新潟県では、乳幼児の女の子を含む4人の感染が判明した。

女の子の感染経路は不明で、24日に38度から39度台の発熱があったが、すでに熱は下がったという。

また沖縄県では、3人の感染が判明していて、このうち10代の男性など2人は、家族内での感染とみられる。

26日は午後5時現在、全国で127人の感染が判明していて、国内の感染者はあわせて1万3,325人となっている。

最終更新:4/26(日) 19:39
フジテレビ系(FNN)