アメリカ合衆国は、統計上イスラエルを抜いて最大のユダヤ人居住国家である。 2007年時点でその数660万、アメリカの人口全体に占める比率は、2・2%にすぎない。 しかし上位金持ちの40%、医者の10%、弁護士の20%、大学教授の30%、を占める。 そして第2次世界大戦では、ユダヤ系アメリカ人の男性50万人(18歳~50歳)の約半数が徴兵された。
ユダヤ系の著名人では、 ニューヨーク市長M・ブルームバーグ、L・サマーズ国家経済会議議長。 映画監督 S・スピルバーグ、W・アレン。 作家 N・メイラー。 男優 H・フォード、P・ニューマン。 女優 G・バルトロー、B・ストライサンド。 指揮者 C・バーンスタイン。 作曲家 G・ガーシュイン。 等々が名を連ねる。
ごく少数のユダヤ系移民が、アメリカに大きな影響力を持つほどの、多数の優能な人材を、どうして輩出できたのか? 誰もが興味を引かれる。 その解として私は、祖国を持たず、流浪の民として、世界中で迫害を受けてきたこの民族は、「常に脅かされてきた」 からではないかと仮説する。
怨念ほど強い力は無いはずだ。 願望、意思、執念、 人を駆り立てる動機はさまざまだが、怨念に勝るものはない。 極限まで脅かされてきたこの民族は、脅えが怨念の領域まで達し、他者の何倍もの勉強や、努力をしてきたに違いない。
大きく成長できたオーナー企業も、多くは零細からスタートしている。 そして売り上げが伸びていく過程で、例えば10億規模のときの人材が、100億まで残れるのは稀だ。 何故なら会社の成長と個人の成長がイコールではないからだ。 しかしトップだけは成長し続ける。 何故か? それは会社の誰よりも脅かされているからだ。 同業、銀行、得意先、ときには自社の役員、社員からの脅えにも耐えながら、ひたすら努力して、功成り名を残す。
個人にも同じことが言える。 人は順境が続けば、自己改革などするはずが無い。 逆境の中に身を置いた時期、 脅えと闘いながら、必死に自分の道を切り開く努力をするのだ。 逃げずに、「ウェル・カム」 で逆境に立ち向かおう。