○大雪山系遭難:「出発、無謀だった」…生存者証言
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090718k0000m040095000c.html
久しぶりの大型遭難事故。
原因の究明と責任追及が始まるのかと思うと気が重い。
原因が分かろうが責任の所在が分かろうが、なんにしろ死者は還ってこないのだから、自分ならそこらへんの始末はどうでもいいかもしれない。
「お金はどうでも良いんです。原因をはっきりさせたいだけなんです」といいつつ数千万の請求をする遺族を見たりしてるからかもしれない。
損害賠償という話になると、感情がお金に換算されるので、事故が途端に生臭いものになってしまってイヤだ。
もう10年以上前だけど、今回のツアーの会社のガイドの仕事をしたことがある。
東京から30人ほど来ていた。
久住、阿蘇、祖母に加えて由布山に立て続けに登る、深田百名山つぶしのツアーだった。
日程が短いので、移動も含めるとかなりハードな計画だった。
祖母山に登り着いた頃から天候が悪化、雨が降り始めた。
祖母山は樹林が多いので、少々風が吹いても平気だが、それでもちょっと気になる程度の風が吹くようになり、雨も強くなった。 視界も悪く、足下もよく滑る。 あの辺りの稜線はスズタケのやぶが多いので、雨に濡れたそれを踏むとよく滑る。
30人の年寄り(実際30代が1名いた他は全員60~80歳だった)が縦走をするには厳しいコンディションだったが、そのまま撤退するのは、「仕事」として憚られた。 建前を言えば「全員を安全に下山させること」が仕事な訳だが、お金をもらってやっていると、これに「ルートをすべて歩いた上で」という条件が自動的についてしまう。誰も口に出さないが、実際はそうだ。
これが危ない。
金をもらってるのだから、多少の無理はOK と言う、冷静に見たら馬鹿な理屈が通ってしまうのだ。
最終的には、縦走路の悪場にて、添乗員に撤退を提案して、引き返して下山した。
結果は「だれもけがをせずに無事に下山」なんだが、これが後味の悪いこと。 お金を受け取る時にはさらにきまりが悪かった。 ちゃんと祖母山の山頂には行ってるんだけどね。
今回の事故のあったツアー。 悪天候でも退けない状況があったんじゃないかと思う。
ガイドが「これくらいなら大丈夫」と判断ミスをしたのかもしれないし、「危ないからやめた方が良い」と思っても、客の視線や意見によって強行せざるを得なかったのかもしれない。 その辺りは、ガイド本人含めてたくさん死んでるから、真相は分かりにくい。
ガイド山行は難しい問題を沢山含んでいる。
客は客で問題があったりもするのだ。
山岳会の先輩が、この会社のツアーの説明会にオブザーバーとして出席した際、ある花を目的にしたツアー山行について客から質問があったそうだ。
「当日、花が咲いてなかったらお金は返ってくるんですよね?」
これは聞いた時に絶句した。
おとなしく家で図鑑かテレビ見てろ。 おれの2倍も生きてて、どんだけ愚かなんだ。
こういうのが混ざっている客を連れて山を歩くなんて、実に恐ろしい。
でも、こういうツアーは人気があって、年中、多くの中高年がずらずらと歩いてるのを見かける。
結局、今回のような遭難事故は、これから何度でも起こる。
今のところ、なくなる理由はない。
その証拠に、中高年登山者が激増したにも関わらず、山岳保険の保険料はちっとも下がらないのだ。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090718k0000m040095000c.html
久しぶりの大型遭難事故。
原因の究明と責任追及が始まるのかと思うと気が重い。
原因が分かろうが責任の所在が分かろうが、なんにしろ死者は還ってこないのだから、自分ならそこらへんの始末はどうでもいいかもしれない。
「お金はどうでも良いんです。原因をはっきりさせたいだけなんです」といいつつ数千万の請求をする遺族を見たりしてるからかもしれない。
損害賠償という話になると、感情がお金に換算されるので、事故が途端に生臭いものになってしまってイヤだ。
もう10年以上前だけど、今回のツアーの会社のガイドの仕事をしたことがある。
東京から30人ほど来ていた。
久住、阿蘇、祖母に加えて由布山に立て続けに登る、深田百名山つぶしのツアーだった。
日程が短いので、移動も含めるとかなりハードな計画だった。
祖母山に登り着いた頃から天候が悪化、雨が降り始めた。
祖母山は樹林が多いので、少々風が吹いても平気だが、それでもちょっと気になる程度の風が吹くようになり、雨も強くなった。 視界も悪く、足下もよく滑る。 あの辺りの稜線はスズタケのやぶが多いので、雨に濡れたそれを踏むとよく滑る。
30人の年寄り(実際30代が1名いた他は全員60~80歳だった)が縦走をするには厳しいコンディションだったが、そのまま撤退するのは、「仕事」として憚られた。 建前を言えば「全員を安全に下山させること」が仕事な訳だが、お金をもらってやっていると、これに「ルートをすべて歩いた上で」という条件が自動的についてしまう。誰も口に出さないが、実際はそうだ。
これが危ない。
金をもらってるのだから、多少の無理はOK と言う、冷静に見たら馬鹿な理屈が通ってしまうのだ。
最終的には、縦走路の悪場にて、添乗員に撤退を提案して、引き返して下山した。
結果は「だれもけがをせずに無事に下山」なんだが、これが後味の悪いこと。 お金を受け取る時にはさらにきまりが悪かった。 ちゃんと祖母山の山頂には行ってるんだけどね。
今回の事故のあったツアー。 悪天候でも退けない状況があったんじゃないかと思う。
ガイドが「これくらいなら大丈夫」と判断ミスをしたのかもしれないし、「危ないからやめた方が良い」と思っても、客の視線や意見によって強行せざるを得なかったのかもしれない。 その辺りは、ガイド本人含めてたくさん死んでるから、真相は分かりにくい。
ガイド山行は難しい問題を沢山含んでいる。
客は客で問題があったりもするのだ。
山岳会の先輩が、この会社のツアーの説明会にオブザーバーとして出席した際、ある花を目的にしたツアー山行について客から質問があったそうだ。
「当日、花が咲いてなかったらお金は返ってくるんですよね?」
これは聞いた時に絶句した。
おとなしく家で図鑑かテレビ見てろ。 おれの2倍も生きてて、どんだけ愚かなんだ。
こういうのが混ざっている客を連れて山を歩くなんて、実に恐ろしい。
でも、こういうツアーは人気があって、年中、多くの中高年がずらずらと歩いてるのを見かける。
結局、今回のような遭難事故は、これから何度でも起こる。
今のところ、なくなる理由はない。
その証拠に、中高年登山者が激増したにも関わらず、山岳保険の保険料はちっとも下がらないのだ。