ことばで遊んでます

yuri
に、改名しました。
詩や短歌をかいています。
内容は、フィクションだとおもってください^^

~光の中の粉々な時~

2014-05-06 14:25:26 | 2007・4~2009・3に、かきました



また
あの公園へ向かってる
ふかぶかとした花びらに沈んで
(涙なんてでないから
せめて花びらに噎せたい
のかもしれない
入ったばかりの大学、ずる休み
した



∞∞


あの日
桜並木は先生が言った通りオクターブのトレモノみたいに花びらを落としてた
(猛烈な春風の不規則性のせい
そしてその日はそっくり光の中にあったからその花びらは綺羅綺羅と粉化した光を握って舞ってた
その舞へ、先生は(こんな風に散りたいの、と、突然、舞いって、それはまるで膨大な花びらに掴まれた光の粉へと透けていってしまうみたいに僕にはみえて
おもわず
せんせー

叫んでしまった
あぁ
中学最初のクラス会の日のこと



∞∞∞


あれからあの桜並木は三度なだれ(ていたんだろうとおもう)僕はあなたの入院を知った、断られ断られやっと見舞えたんだ

やっぱり先生は美しかった

瞳にはいつもの炎が点ってた
すこし火照った視線
を窓の向こうに放って
(白い花はいや、と
呟いた
誰にともなく
ちいさく
けれども
いつものように
きちっと



∞∞∞∞


実は
一度きりしか会ってもらえなかったのだけれど
僕はピンクのカトレアで見舞い続けた
(病室の入り口に置いてある消毒スプレーの横に置いてゆくだけ、だけれど、名前とお見舞いの一言だけは必ず書いた
(へたくそって云われた子供っぽい字で

そして、
その日、
癖になってた
静かな大股で
向かってた
病室の
扉に
裂けた傷に似た
遠めのその模様が
面会謝絶

固く
ぶら
さがっ

僕は
立ち尽くした



∞∞∞∞∞


まっ白い世界

廊下を縁取るガラス壁が集めた光
を粉々に砕いて光
の中にあったあの
日が舞いだした
舞のなかへ
舞いいって
(こんな風に散りたいの

あなたは
透けてゆく
のだろうか
僕はせんせーと
声なく
叫んだ



∞∞∞∞∞∞


その後も僕はピンクのカトレアを贈り続けた
どうでもいいようなことばかりを書いたカードを添えて
こんな風に一生が終わってもいいなー、と思ったりもしてた
(生死の前には、愛はちいさくならなければならないのですか



∞∞∞∞∞∞∞


桜は散り終えてた、黒い土によこたわってしまった膨大な花びらはもう光を握らない(こんな風に散りたいのといった先生とも舞わない、
でも、僕はまたここへくると思う、なにもできなかった自分を悔みに、忘れられないあなたを、耐えに、またきてしまうと思う















(画像は季節の花300さんからお借りしました。いつも有難うございます。)