鋼質のゼンマイをくるくる巻きあげながら雨はいってしまってどろってとろけてしまった光は地場へとなだれながれておびただしい朝を芽吹かせた
すべての(きょうの発芽(鋭角にならぶ新芽たち
に噎せる涙
(花になってしまった母
私は旅にでる
∞
旅は、妹の瞳の潤みみたいな空の潤みだからみあげる
∞
突っつく
そして身を縮める
だってセリの涙はいつも滂沱で
えっ?でも?流れてこないよ
みあげたら
七色の大きなラジアンの弧になってうるうるうるうると大気にわたってた
(瞳のように
∞
(大きな七色の瞳
の潤みは静かに堪えてるみたいに循環してるでもたぶんすごいスピードで光子は七色へと点滅してるんだそのエネルギーの余波で七色の内側錐形に穿たれてる
あの日の妹のおなかみたいに
小さな拳で
小さなおなかを
貫いてた
あの日の
妹の
おなか
蹴られて
メチャメチャに蹴られて
妹は死んだ
そして
(母は花になった
∞
うるうるうるうる錐形が吠えた
かなしい
まただれか理不尽に殺されたんだ
七色の涙がもう一環
空に結晶した
∞
私の旅は
(もういいよ
(もういいから
って
隠れてしまった妹に
(どうしていいの
(?
(どうして許せるの
って
ききたい旅
(妹をみつけたい(そしてほんとは連れて帰りたい
∞
二曲の七色の内側に妹はきっといる
錐形の潤いのなかへ、とびこむ
∞
パッリンと痛みだけで方位が割れて浮かぶ心もとなさはとても寒くて足を抱えて丸くなりたいのに水煙へと注入されて膨大な湿りに開かれたまま通り過ぎられてただ薄凍った嵐の塊に浮かべられてる
それはとてもくるしくて肺胞を一粒捥ぐ音色はグラーブェ命の暈は予想以上に減ってた
∞
自然を逆行するって産まれた時とおんなじなんだ記憶にはしるされないけど命はこんなにも費やされてしまうその過程しるされないまま私は地場へひとりで戻ってた
∞
みあげてみる
空は泳ぎはじめてる
横たわったままゆーるりとちいさくした七色の潤み銜えて
まるで理不尽とむらうみたいに
静かに
母が
花びらになってしまった手
を合わせた
あす
朝が
芽吹いたら
妹の膝小僧みたいなあの山へ
私は
いく