◆セスナ172操縦訓練日記&GB350C

軽飛行機操縦訓練の記録と写真

ウイングロー

2005年10月31日 | 航空祭

今日は新しい飛行技術への挑戦である。その名は

=ウイングロー=

この方法は横風を受けながら着陸する時、飛行機が流されないよう、風上側の翼を下げて進入する技術。

専門的な話になるが、ウイングローとは、偏流を相殺して前後軸と滑走路中心線とを一致させることで、すべったままの状態で滑走路の中心線上に進入するという、かなり高度な操縦操作のことである。

高度3500フィートの上空で水平飛行の状態から教官が操縦輪を右に切って、機体を右に傾ける。通常なら同じ右方向へラダーを踏み込んで旋回させるところを、逆の左足を踏み込んでみるよう指示された。

目標を遠くの山に合わせラダーを踏み込んでいくと、右へは旋回せずに機体は直進する。

教官が機体の傾きを少しずつ増やしているようだが、私は目標である前方の山に目を見据えて機首を合わせようと、ラダーの踏み込み操作だけに必死で専念する。

どんどん、どんどん力を入れて目一杯のところでしまいには機首を山に合わせられなくなった。 そこがセスナ172の限界なのだと教わる。最終的にラダーを踏み込んだ位置は目一杯で、足に感じる風圧はかなりなものだった。

なるほど、これがウイングローのラダーの使い方かと体験し、うれしくなった。 飛行機の操縦とは、こうしてさまざまな技術が結集して構成されていくのだということを実際の訓練をとおして学んだ。

飛行機の操縦に限らず熟練者の持つ磨かれた技術は時に感動的でさえある。 高校生のとき、英語教師が授業の一部として『幸せの黄色いハンカチ』という曲のカセットを教室に持ち込んではしばしばその曲を流した。

たしか『ドーン』というグループの曲だったと思う。 今思うと生徒の授業としてというよりも、先生自身が楽しむために流していたような気がしないでもない。それでも繰り返し繰り返し聞いているうちにその歌が好きになり、覚えてしまった。

I,m coming home I,ve done my time ~ If you recieved my letter・・

卒業して約30年という月日が経過しているので歌詞は怪しいがそのメロディーは忘れていない

着陸の時、滑走路左横に見えるPAPIの赤白ランプを見ていた時、不思議なことに突然、この歌のメロディーがどこからともなく聞こえてきた。

一航空ファンの私がフライトシュミレターによる仮想の世界で飛んでいたのは今からちょうど1年前。ジョイスティックから本物の操縦輪に持ち替え、曲がりなりにも飛行機をまっすぐに飛ばせるようになったのは

 自分に厳しく訓練生には優しい

わが恩師・教官のおかげである。 そう、今日はその赤白ランプがさしずめ『幸せの赤白ハンカチ』のように見え、最高にハッピーでハイな気分になれた不思議な一日だった。

ちょうど節目となる訓練10日目、ハイハイからやっとつかまり立ちくらいの時期へとさしかかった私の訓練日記に刻まれた今日のフライトは、一緒に飛んだ訓練生Aさんと私と教官の3人で大空の魅力を目一杯楽しんだ秋の思い出として残る

 とても感慨深い日

になるに違いない

コメント (2)
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