訓練12日目

2006年02月19日 | 航空祭

今日は3000m滑走路を持つ大分空港でのタッチアンドゴー訓練を行う日だ。気圧の谷の影響で薄雲が広がる状況だったが飛行には全く影響はない。なによりありがたかったことは風が弱く、県央離陸時にはほとんど無風と言える状態で、着陸練習には絶好の訓練日和となった。

今日のような日なら着陸操作の最後を締めくくる、いわゆる返し操作もうまくいくに違いない! いつものように甘く切ない期待を持ちつつ機体へ乗り込む・・・

 

このブログに乗せてある写真は基本的に自分が撮った写真を載せている。しかし今日は1枚だけ訓練生仲間が撮ってくれた写真を使わせてもらった。

考えてみれば自分の訓練日記に自分が登場していないのは不自然だ。自分の操縦風景は当たり前だけれど自分では撮影できないのでとてもありがたかった。

ホームグランドの県央空港を離陸し、大分市上空を経て杵築ポイントへ。上空は地上と同じでほとんど無風に近く、気流の乱れはほとんどなし。3000フィートまで上昇した後の巡航飛行ではほとんど高度計の値は変わらない。

しかしこれは別に自分の腕が上がったからでもなんでもなく、当たり前のことだ。なにしろ手放しでも水平飛行するほど安定した気流の状態だったのだから。気流の状態が良ければ小型機であっても、ほとんど揺れない。 

タワーから指示された使用滑走路方位は010。杵築ポイントからヘディング050でベースレグへ。フラップを10度、20度と降ろしながら徐々に高度を下げる。最後にフラップを最大の30度まで降ろしてファイナルアプローチへ。

 

 

風は020から3ノット。アプローチしながら見るウインドソックスは、滑走路に対しまっすぐになびいており、ほぼ完全な正対風であることを示している。回転計の針は約1300回転。

ここまでは比較的順調にアプローチしていた。しかし降下角を知ることのできる赤白ランプは白が4つ。つまり正規の降下パス角の線上より高高度にいることを示している。パワーコントロールを適宜行いながらなんとか適正パス角のコースに乗る。

滑走路の末端を過ぎる頃、パワーアイドル。即座に機体は沈み始める。目線を前方接地点へ移す。操縦桿を引く、引き方が足りずグーっと沈む、さらに引く。

今度は引き過ぎて浮き上がってしまった。例えが難しいが、ちょうどブランコをこいで上まで行った時の状態みたいな・・・

止まったそこから先(もちろん止まってはいない)は、まるで時間までが停止したような感じになった。

操縦輪を引く力を急激に緩めるのはまずいが、思わず引く力を緩める。再び沈みがくる、教官の『もっと引く、もっと引いて!』という大声の指示に従い無我夢中で引く、さらに引く・・・・

ドッシーン・・・・全くタイミングは合わず、沈みをスムーズに止められない。車輪が付いた後はフラップを格納してフルパワーにし、再び離陸操作へと移る。これを3回繰り返して4回目にフルストップした。4回とも、およそ着陸と呼べるものではなく、まさに

落着!

という言い方が適当だ。

 

パイロットの腕は着陸に集約される、とよく言われるが全くそのとおりだと思った。訓練10時間にも満たない飛行時間ゆえ、当然と言えば当然かもしれないのだが、着陸をきれいに決めることがどれだけ難しいものかをあらためて実感した。何しろ相手は目に見えない空気である。いや、しかし今の技量では仮に空気が目に見えたとしてもむつかしいかもしれない。

滑走路のセンターラインに機体を持っていくためには、自分の体を持っていくのだ、と教育されている。また、速度は姿勢と言われる。

最初はピンと来なかったが飛行機というものはピッチ姿勢が上がる(機首が上がり過ぎると)と、とたんに速度が落ちてくる。逆にピッチ姿勢が下がるとどんどん速度が増す。

 

着陸進入時の速度は早すぎてもいけないし、まして遅すぎは失速に陥るので細心の注意を払わねばならない。教官に細かくエアスピードをモニターしてもらうが、ちょっとでも気を抜くと割ってはならないエアスピードである60ノットを切りそうになる。

無風に近い気象条件の日ですら、こんな具合である。この感覚は経験した人にしかわからないと思う。パイロットへの道はとても険しいが、しかし最高にやりがいのある世界なんだと思わずにはいられなかった。

これから先、技量を自分のものにしていくには大変な努力がいると思う。しかしその先には克服したものだけが味わえる

 

達成感と満足感

 

がきっと待っているのだろうと感じた今日の訓練だった。 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする