◆セスナ172操縦訓練日記&GB350C

軽飛行機操縦訓練の記録と写真

悪戦苦闘の訓練15日目・後編

2006年09月27日 | 航空祭

わがホームベース県央空港。滑走路脇には『OITA KENOU』の文字が刻まれている。

 

 

ここが前回、無線交信であたふたした問題の地点、国道上空である。ここから右45度後方にランウェイが見える。この国道を越えてから、ベースレグへの旋回を開始する掟(おきて)になっている。

おきて』なんて言葉、今じゃほとんど死語? 年代がバレる

エアスピードはだいたい100ノット出ているし、短いダウンウインドを飛行していると、あっと言う間にすぐここまで来てしまう。 

ふと気が付けば美しい棚田が眼下に。しかし棚田というのは見た目の美しさとは違って、お百姓さんにとっては管理が大変で、稲を育て上げるまで大変な労力を強いられる田んぼなのだ。

この時期、どこの田んぼも『実るほど頭を垂れる稲穂かな』状態の黄金色。農家の方々のご苦労に感謝しながらお米をいただきましょう

 

 

 

さてさて、前編に記したようになにしろ格納庫に収まってるはずの機体が上空から無線で呼んでくるのだから管制塔としてはまさに

鼻から牛乳』の状態だったのではないかと思う。しかし、直後に怪しげな挙動の機体

"ジュリエットアルファ フォーゼロツーゼロ"

がベースレグへと進入してきたのを見て、トンマな訓練生がたんに機番を言い間違えただけであるということを確認して、ほっと胸をなでおろしたに違いない

 

 

一回目の進入はピッチ姿勢、エアスピード共、全く安定せず全般的に余裕のないものだった。接地寸前の返し操作にしても、教官から言われるままに操縦輪を引いているだけで、自分の意思というものが宙に浮いている感じ。極論すればあやつり人形と一緒だ。

2回目の返し操作。せっかくいいタイミングで返し操作が出来たかと思ったのもつかの間、返しすぎて浮き上がるものと思い、操縦輪を引き付ける力をホイッとゆるめてしまった。

ゆるめたとたん、機体は滑走路の上でガクカグクガクッとデコボコ道を走る車のような状態になった。

『あーあ、なーにやってんだろ』・・・

教官いわく『今のよかったのにねぇ』 こんな時、けして訓練生を落ち込ませるような事は言わない。仏様の仏様たるゆえんである。

今日のスケジュールではタッチアンドゴーの回数は3回と限られている。感覚を取り戻すためにはまったく足りない回数ではある。しかしいったん空へ上がった以上は今日の訓練でなにか一つでも自分のものにして帰らなくては!

 

 

接地後の再離陸は特に大きな問題はなし(あたりまえ)

 

  

 

こんなきれいな姿勢で着陸をバシーっと決めてみたいものです

 

実感やっぱり飛行機の操縦はむつかしい! 

 

でも、むつかしいからこそ挑戦しがいがあるし、うまく飛ばせた時の喜びが大きいんですねきっと

 

次回予告『あぁ無情・・・芦屋基地航空祭』             

 

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悪戦苦闘の訓練15日目・前編

2006年09月24日 | 航空祭

2ケ月のブランクがもたらした影響はやはり大きかった 

チェックリストを見ながら始動前点検を済ませ、イグニッションキーを回す。スロットルの開け方が足りなかったのか、元気よい産声をなかなかあげてくれないエンジン。プロペラを8回転ほど回したところでようやくエンジンに火が入った

始動後点検もそこそこにパーキングブレーキを外し、いざ滑走路手前位置へ移動開始。しかしここでブレーキをいきなり踏んだもんだからたまらない。よたよたっと発進しかけた機体をいきなりのカックンブレーキが襲う。

隣にいる教官の頭が前後に揺れている。タキシングを開始したばかりとはいえ、もっとスムーズにブレーキを踏まなければ・・・教官の首がムチウチになったらそれはもう、完全に自分のせいだ。

私が航空学生ならこの時点で二、三発殴られ、頭の中は真っ白になってしまっている事だろう。でも別名、仏の○○○と呼ばれるわが教官はこんな時でも常に沈着冷静で、けして怒ったりしない。すいませんでしたーこの場を借りてお詫びします

 

チェックリストの読み上げも途中でどこまでやったか見失いながらのチェック。こりゃー

今日はかなり怪しいぞ・・・と冷や汗が

教官に促されてフライトサービスと交信に挑んだものの、今日もまたトンチンカンなコンタクトをしてしまった。 

2ケ月というブランクは情け容赦無しに、もともと出来の良くない脳みそがうろ覚えの操作手順をことごとく、さらに迷わせようとして追ってくる。

だいたい離陸前からモタモタし過ぎだ。滑走路手前でマグネトーのC/K。1700rpmで回っているエンジン。この時イグニッションをLで止めなければならないのに勢いあまってOFFまで回してしまった・・・

バックファイヤーの『パカーンッ』という音が後方に響いた。昔、族がやってたアレである。走行中イグニッションを切って再び入れ直すと、排気管を満たした生ガスに引火して大きな音を出すのだ。

おそらく半径300m以内にいたスズメが2、3匹目を回して墜落したに違いない。やろうとしてやったのではないのだけれど、こともあろうに空港の敷地内でスズメ追いの空砲を一発放ってしまったのだ。

座席の調整が悪く、ラダーペダルがうまく踏めない。遠すぎて足が届かないかと思えば今度は窮屈すぎてタキシングもままならない。見かねて教官が滑走路エンドでのターンをやってくれた。

なんだか何一つ進歩していない自分が情けない。なんとかコントロールできるようになったのは離陸滑走だけではないか・・・

上空に上がってからの第一旋回。上昇旋回であれほどバンクを深くしてはいけないと肝に命じているはずなのに30度バンクに入れてしまった。『何やってんだろうなぁ』

クロスウインドレグで1600フィートの高度に達したと思うまもなく、ダウンウインドへの旋回を。実に忙しい。

『接地点確認』

ここで再びフライトサービスとコンタクト。

県央フライトサービス 4190です

・・・ ・・・ ??? 県央フライトサービスです どうぞ

教官が計器パネルに明記されている機番を無言で指し示す。しまった!この機体は4020だった

 

あー4020 リクエストタッチアンドゴー・・・』次の言葉を考えているうち、あっという間に地点目標の国道を超えてしまい、ベースレグへの旋回ポイントまで来てしまった。もう、わるいけど無線どころではない。

ほんとは今日、大分空港でタッチアンドゴーの訓練をやるはずだったのに・・・嘆いてもはじまらないけど運航会社の機体やりくりの都合でそうなってしまった

 

完全にどつぼにはまった訓練がこの後・・・

 

以下後編をお楽しみに 

 

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これがほんとの訓練日記

2006年09月15日 | 航空祭

今夜は訓練時間ちょうど10時間になった私のセスナ172による離着陸訓練の進捗状況を公開いたします 

プロとして現在ご活躍中の方、既にライセンスをお持ちの自家用操縦士の方々におかれましては

『そう言えばそういう時期があったなぁ』

と訓練生時代のことを思い出してぜひ懐かしんでください。また、これから訓練を始めようかと思っている方はご参考に。飛行機にそれほど興味のない方は写真だけ見ていって下さい。若干専門的です

 

 

訓練を始めたばかりの頃、離陸滑走で機体をまっすぐに走らせる事が出来なかった。普段足で何かを操作するという習慣がなかったことに加え、カウリングのすぐ前のセンターラインを見ていたためにオーバーコントロールになっていた。機体に慣れていくにしたがい無駄な操作が減り、目線を遠くにやる事でうまくいくようになった。 

機体の浮揚後、最適な上昇速度は75ノットと指示されている。しかしこれが80ノットだったり85ノットだったりする。 

『速度は姿勢』と言われる。75ノットを維持するためには水平線が計器パネルに隠れるくらいまで機首を起こし、その姿勢を維持しなければならないのに、姿勢を安定させるに必要となる総合的な技量が身についていないためだ。

県央空港のタッチアンドゴー訓練では対地高度800フィートとなる1,200フィートの高度まで上昇しながらクロスウインドレグ、ダウンウインドレグと飛行を続けベースレグへ。 

 

1,500rpmにパワーを絞ってから水平旋回して、ベースレグへ乗せる。旋回終了後80ノット以下まで速度が落ちていることを確認しフラップを10度下げる。

操縦輪にすかさずフォワードプレッシャーをかけてピッチを押さえようとするが、タイミングが遅れ機首が上がる。速度計に目をやるとエアスピードが落ちている

エアスピードを適正にするため、状況に応じて操縦輪を操作する。続いてフラップを20度まで下げる。ここでも操縦輪をスムーズに動かして姿勢を修正しなければすぐにエアスピードが変化する。

ぼやっとしているとすぐに60ノットを切りそうになる。対地高度が低いところで失速に陥ると危険だ。特に着陸時は慎重かつ、適切な操縦操作が求められる。

 

『オーバーシュートの危険性について』  

 

県央のRunway-11へ右旋回で入っていくケースでオーバーシュートし、それを立て直そうとした場合を想定してみる。

この場合パワーを絞っているうえ、エアスピードも低下している。強引にアラインさせようと、エルロンを右へ大きく操作し過ぎてバンクが深くなり、失速の兆候が現われたとする。

おそらくアラインさせようとして無意識のうちにラダーも同時に右へ深く踏み込んでいるに違いない。旋回計のボールがきちんと真ん中にあってスリップしていなければいいが、初心者の場合たいていそうではなくて調和旋回していない確率が高い。そうすると右バンクがさらに深まる傾向にある。

ここで姿勢を立て直そうと不用意に左へエルロンを大きく切ったとすると、下がった右エルロンの迎え角が増して右翼が先に失速に入ってしまい、そのまま右スピンに入ってしまう危険性があると言うことを頭の中に置いておかなければならない。

つまり機体を立て直そうと操作したにもかかわらず、主翼の傾きは水平には戻らず更に右に傾き、回復できないという最悪の事態に陥ることになる。もしそうなってしまえば完全にパニックだ。

実際はそうなる前に教官がサポートしてくれるので、そんなことにはならないが、初心者レベルでは余裕がないにしても、アラインすることに夢中になりすぎて

失速と隣り合わせの状態であるという事実を忘れてはならない

のである。

 

 

バンクが深ければ当然失速速度は大きくなっている。スローフライト訓練をする時、ちょっとでも不適切な操縦をするとすぐにビーっと失速警報音が鳴る。飛行機は

 

ゆっくり飛ばす時のほうがはるかにむずかしい

 

フラップを30度まで下ろしてファイナルアプローチ。抗力が増えてブレーキがかかったような感覚がある。滑走路のセンターラインに乗せようとするのだが、どっこいこれが風があるとフラフラして簡単にはいかない。特に左から受ける風には要注意だ。うかうかしていると接地寸前でテールを右に持っていかれる 

『体を持っていく! 』と教官に言われながら必死で操縦輪を操作し、ラダーペダルを踏んで持っていこうと努力はしているのだが、あっちふらふら、こっちふらふらでなかなか定まらない。対地500フィートくらいから見降ろす滑走路のセンターラインは小さく、かつ細く見える。

滑走路エンドに入り、パワーカット。機体はすぐに沈み始める。操縦輪を教官の『返す!』の掛け声にしたがって少し引く。 すると機体が沈む度合いを少しゆるめたことがわかる。 じわーっと機体が沈んでいく・・・

 

『もう少し引いて!』の声でちょい引く。しかし、今機体が滑走路面に対してどの程度の高度にあるのか、わからない。

続いて『そこでちょっと待っておく』の声。しばらくその状態で滑空しているような感じ。やがて次の沈みが来る。今度はもっと深く引いていかなければならない。 『引いて、もう少し引いて!』教官からはリアルタイムで機体の状況に合わせた指示が飛ぶ。 

理屈としては速度が減っていくことによって、舵の効きが鈍ってくる。それに応じて操縦輪を深く引いてフレアーをかけ、最後にはフルストローク近くまで・・・この間、現実には数秒くらいの時間である。

ああしてこうしてなどと考えている暇はない

言葉にするとこうなるけれども、現実にはまずもって思ったようにはいかない。もっとも、考えずに体が動いてソフトランディングするようになった時にはライセンスを手にしていることだろう

 

 

秋雨前線の停滞により、長雨が続いていた。今日なんと12日ぶりに太陽が顔を見せた。会社からの帰り、西の空には、はるか高空に旅客機とそれに伴う飛行機雲が・・・

高度はおそらく30,000フィートくらいのところを飛んでいるはずだ。機体と飛行機雲が、沈んでゆく太陽光に照らされてキラリと光っている

 

 

 

 

そして別大国道を走行しながら愛車のバックミラーに写った光景は御覧のように真っ赤な夕焼け空。こんなきれいな空はほんとに久しぶり

左が高崎山、右が鶴見山である。車を止めてしばし見とれていた 

 

実に美しい夕焼けだった 

 

日本の空もまだまだ捨てたもんじゃありませんね

 

2006.9.14 18:40頃、田の浦海岸にて撮影 

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夕焼け小焼けで

2006年09月09日 | 航空祭

このごろすっかり秋の空らしくなってきました。日が暮れるのも早まってきたようで、西の空が夕焼けで赤く染まる日はひときわ鮮やかです

 

夕焼け空を見上げて子供の頃のことを思い出したりしませんか。『夕焼け小焼けで日が暮れて山のお寺の鐘が鳴るお手々つないでみな帰ろカラスと一緒に・・・』 

 

 

最近はカラスも人間が出したゴミをあさるのに忙しいうえ

なぜ鳴くの?』と聞いたら『カラスの勝手でしょ

とヒネたカラスの返事が返ってくるらしいですね、時代も変わりました

 

そんなわけで子供達と一緒に帰ってくれるカラスはいそうもありませんが、今日もまた空を駆け抜ける画像を御覧下さい。

 

 

 

cleared to land

 

 

 

cleared for take off

 

 

 

continue approach

 

 

 

 

 

 

Let,s go 

Jetranger

 

in kujyu

 

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少しずつ秋・・・

2006年09月03日 | 航空祭

H18年9月、この夏存分に日本列島に高温多湿をもたらした太平洋高気圧に代わって大陸育ちの秋の高気圧が九州地方にやってきました。 

 

 

 

クラブ員H.Aさんの訓練機に乗り込んだ時の画像です。ヘッドセットを装着しています。このセットはスタンバイスイッチの操作無しで教官とコンタクトできますので大変便利で、意思疎通をスムーズに行うことが出来ます。 

 

 

 

この日、RJFO大分空港に遠征訓練へ。東向き滑走路のRunway11を使用して快調にテイクオフ。

 

 

 

ホームベース大分県央空港から大分空港へ向かうにはこの犬飼大橋上空を経由してからヘディングを変更し、杵築ポイントへ向かうルートが設定されています。上空から見ると特徴あるV字形をしているのでわかり易い地点目標です。

 

 

 

訓練のセスナ機から見下ろした大分空港の滑走路エンドに写る機影・・・

 

 

場面はガラリと変わってここは大分県九重町の飯田高原。投稿記事を書いている本日9/3(日)訪れて撮影したばかりの画像で、これはススキ誕生の瞬間??です。今までススキが成長する過程なんて見たことなかった(というより関心がなかった)もので、そう聞いて感激しました。 

 

 

そのススキが世に出てからの第二段階かと思われます 

 

 

 

来週以降ここを再び訪れた頃には、きっとあたり一面ススキ野原になっているのではないでしょうか。大自然の素晴らしさ高原の爽やかな風がこの写真から感じていただけるでしょうか

 

 

 

 

次の日曜日は172P型かR型のいずれかでタッチアンドゴー訓練をやります。暑さのピークもようやく超えたこの時期、訓練には最適な時期の到来。ついでに温泉も。 

 

待ち遠しかった本格的な秋

 

高原には一足早くやってきていたのでした

 

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