今夜は訓練時間ちょうど10時間になった私のセスナ172による離着陸訓練の進捗状況を公開いたします
プロとして現在ご活躍中の方、既にライセンスをお持ちの自家用操縦士の方々におかれましては
『そう言えばそういう時期があったなぁ』
と訓練生時代のことを思い出してぜひ懐かしんでください。また、これから訓練を始めようかと思っている方はご参考に。飛行機にそれほど興味のない方は写真だけ見ていって下さい。若干専門的です
訓練を始めたばかりの頃、離陸滑走で機体をまっすぐに走らせる事が出来なかった。普段足で何かを操作するという習慣がなかったことに加え、カウリングのすぐ前のセンターラインを見ていたためにオーバーコントロールになっていた。機体に慣れていくにしたがい無駄な操作が減り、目線を遠くにやる事でうまくいくようになった。
機体の浮揚後、最適な上昇速度は75ノットと指示されている。しかしこれが80ノットだったり85ノットだったりする。
『速度は姿勢』と言われる。75ノットを維持するためには水平線が計器パネルに隠れるくらいまで機首を起こし、その姿勢を維持しなければならないのに、姿勢を安定させるに必要となる総合的な技量が身についていないためだ。
県央空港のタッチアンドゴー訓練では対地高度800フィートとなる1,200フィートの高度まで上昇しながらクロスウインドレグ、ダウンウインドレグと飛行を続けベースレグへ。
1,500rpmにパワーを絞ってから水平旋回して、ベースレグへ乗せる。旋回終了後80ノット以下まで速度が落ちていることを確認しフラップを10度下げる。
操縦輪にすかさずフォワードプレッシャーをかけてピッチを押さえようとするが、タイミングが遅れ機首が上がる。速度計に目をやるとエアスピードが落ちている
エアスピードを適正にするため、状況に応じて操縦輪を操作する。続いてフラップを20度まで下げる。ここでも操縦輪をスムーズに動かして姿勢を修正しなければすぐにエアスピードが変化する。
ぼやっとしているとすぐに60ノットを切りそうになる。対地高度が低いところで失速に陥ると危険だ。特に着陸時は慎重かつ、適切な操縦操作が求められる。
『オーバーシュートの危険性について』
県央のRunway-11へ右旋回で入っていくケースでオーバーシュートし、それを立て直そうとした場合を想定してみる。
この場合パワーを絞っているうえ、エアスピードも低下している。強引にアラインさせようと、エルロンを右へ大きく操作し過ぎてバンクが深くなり、失速の兆候が現われたとする。
おそらくアラインさせようとして無意識のうちにラダーも同時に右へ深く踏み込んでいるに違いない。旋回計のボールがきちんと真ん中にあってスリップしていなければいいが、初心者の場合たいていそうではなくて調和旋回していない確率が高い。そうすると右バンクがさらに深まる傾向にある。
ここで姿勢を立て直そうと不用意に左へエルロンを大きく切ったとすると、下がった右エルロンの迎え角が増して右翼が先に失速に入ってしまい、そのまま右スピンに入ってしまう危険性があると言うことを頭の中に置いておかなければならない。
つまり機体を立て直そうと操作したにもかかわらず、主翼の傾きは水平には戻らず更に右に傾き、回復できないという最悪の事態に陥ることになる。もしそうなってしまえば完全にパニックだ。
実際はそうなる前に教官がサポートしてくれるので、そんなことにはならないが、初心者レベルでは余裕がないにしても、アラインすることに夢中になりすぎて
失速と隣り合わせの状態であるという事実を忘れてはならない
のである。
バンクが深ければ当然失速速度は大きくなっている。スローフライト訓練をする時、ちょっとでも不適切な操縦をするとすぐにビーっと失速警報音が鳴る。飛行機は
ゆっくり飛ばす時のほうがはるかにむずかしい
フラップを30度まで下ろしてファイナルアプローチ。抗力が増えてブレーキがかかったような感覚がある。滑走路のセンターラインに乗せようとするのだが、どっこいこれが風があるとフラフラして簡単にはいかない。特に左から受ける風には要注意だ。うかうかしていると接地寸前でテールを右に持っていかれる
『体を持っていく! 』と教官に言われながら必死で操縦輪を操作し、ラダーペダルを踏んで持っていこうと努力はしているのだが、あっちふらふら、こっちふらふらでなかなか定まらない。対地500フィートくらいから見降ろす滑走路のセンターラインは小さく、かつ細く見える。
滑走路エンドに入り、パワーカット。機体はすぐに沈み始める。操縦輪を教官の『返す!』の掛け声にしたがって少し引く。 すると機体が沈む度合いを少しゆるめたことがわかる。 じわーっと機体が沈んでいく・・・
『もう少し引いて!』の声でちょい引く。しかし、今機体が滑走路面に対してどの程度の高度にあるのか、わからない。
続いて『そこでちょっと待っておく』の声。しばらくその状態で滑空しているような感じ。やがて次の沈みが来る。今度はもっと深く引いていかなければならない。 『引いて、もう少し引いて!』教官からはリアルタイムで機体の状況に合わせた指示が飛ぶ。
理屈としては速度が減っていくことによって、舵の効きが鈍ってくる。それに応じて操縦輪を深く引いてフレアーをかけ、最後にはフルストローク近くまで・・・この間、現実には数秒くらいの時間である。
ああしてこうしてなどと考えている暇はない
言葉にするとこうなるけれども、現実にはまずもって思ったようにはいかない。もっとも、考えずに体が動いてソフトランディングするようになった時にはライセンスを手にしていることだろう
秋雨前線の停滞により、長雨が続いていた。今日なんと12日ぶりに太陽が顔を見せた。会社からの帰り、西の空には、はるか高空に旅客機とそれに伴う飛行機雲が・・・
高度はおそらく30,000フィートくらいのところを飛んでいるはずだ。機体と飛行機雲が、沈んでゆく太陽光に照らされてキラリと光っている
そして別大国道を走行しながら愛車のバックミラーに写った光景は御覧のように真っ赤な夕焼け空。こんなきれいな空はほんとに久しぶり
左が高崎山、右が鶴見山である。車を止めてしばし見とれていた
実に美しい夕焼けだった
日本の空もまだまだ捨てたもんじゃありませんね
2006.9.14 18:40頃、田の浦海岸にて撮影