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学びを形に...初めての出版体験(11)

2016-04-30 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになるまでの道のりを、忘れないように残しておこう。

前回からの続き。

前回の会議で「共著のむずかしさ」を実感し、少し落ち込み気味の私達だったが、落ち込んでいる暇もないほど、次なる宿題が待っていた。

編集者の三浦さんから出された次の会議までの宿題は、
1)各授業について、シラバスのコース名と授業のポイントを、を分かりやすく、魅力的な日本語にする
2)各授業で学んだ体験とクラスメイトのエピソードを繋げる
3)各授業で学んだ体験が、仕事でどのように役だったのか?学びをどのように活かしたのか? の情報を整理する

早速、その日、家に帰ってから、本棚の奥に眠っていたEMBAの資料や本を部屋中に広げてみた。
(この日から、本が出版されるまで、私の部屋はEMBAの本と資料が山積みに、、、)

さてさて、まず最初にとりかかったのは、
1)各授業について、シラバスのコース名と授業のポイントを、を分かりやすく、魅力的な日本語にする

シラバスとは各授業の最初に配布される資料で、授業の目的や概要、テスト、レポート、採点基準など全ての情報が明記されている。学生にとっては単位をもらうためにはこのシラバスを熟読することが必須である。

たった数ページの資料だが、「分かりやすく魅力的な日本語にする」というのは、なかなかどうして、難しい作業だった。
まずは、全てのページを直訳してみて、その後、改めて「分かりやすく魅力的な日本語にする」という作業。

少し余談だが、EMBAの単位取得のために必要な授業の構成は、各学校によって微妙に異なる。
(参考までに、私と共著の山崎さんが通った、UCLA-NUS EMBAでは、17科目ある)
MBAとほぼ同じようなクラス(Corporate FinanceやMarketing)もあれば、EMBAだけの特徴的なクラス(International Management Strategies、等)もある。

当時も、クラスが始まる前に、何度も何度も熟読したはずなのに、改めて「教える側の視点(生徒に何を学んでもらいたいのか)」で読み返してみると、各授業の先生のこだわりが垣間見えてきて、読み返しながら「ほー、へー」と新しい発見がたくさんあった。たとえMBAと同じクラスであっても、教授は「EMBAならではの学び」となるようにを常に考えてシラバスを組み立てているのだった。(当時は授業をこなすだけで精いっぱいだったが、学校に通っていた時にこの点に気づいていたら、もっと授業に貢献できたに違いない、と反省した私だった)

新しい発見は嬉しいことだったのだが、困ったことは時間がかかることだった。シラバスの内容を見ながら「これ、何だったっけ?」と思うものは授業の資料をひっくり返し読み返した。
こんな調子でやっていると1科目を終えるのに3-4時間。多い場合位は5-6時間かかる作業だった。仕事の前後の朝晩にやっても1日1科目がせいぜい。

最終的にこの本で伝えたいこと、は「EMBA生が各授業で、何をどのように学び、仕事や日常でどのように役立てたのか」というまとめなので、授業の内容を訳すだけでこんなペースでやっていたら全然終わらない。でも、まずはこの方法でやってみるしかない。

とりあえず、編集者の三浦さんに、「次の会議までに、目標は5科目ぐらいで、、、」と苦しい言い訳のメールを送り、とにかく朝晩で時間を作って、できるところからとりかかる、こんな毎日が続いた。

続く。。。


学びを形に...初めての出版体験(10)

2016-04-26 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになりまでの道のりを、忘れないように残しておこう。

前回からの続き。

次の会議は、年明けて2015年1月。
それまでに、私と共著の山崎さんに出された宿題は、「もっとたくさんのクラスメイトのインタビュー」と「各章を肉付けする文章を書いてくる」ことだった。

2014-15年の年末年始は、休み返上で宿題にとりかかった。

「もっとたくさんのクラスメイトのインタビュー」は、時間も限られているため、私も共著の山崎さんも、まずはお互い「自分のEMBAのクラスメイト(注1)のProfile book(注2)」を眺めながら、みんなとの記憶をたどり、「このクラスメイトは面白かった、こんな言動をしていた」という記憶をもとに、彼らにコンタクトを取り、メールやSkypeなどで話を聞くことにした。
幸い、クラスメイト達は卒業してもFacebookやLinkedinなどのSocial Mediaでつながっているので、コンタクトをするとみんな喜んでくれた。こういう卒業後も続く人脈は本当に学校で学ぶこと以上の人生の財産だと、改めて実感した。<偶然11>

(注1:私と山崎さんは同じUCLA-UNS EMBA卒業生だが、卒業年次が違うためクラスメイトも違う)
(注2:MBAやEMBAの多くの学校はクラスメイトの紹介や就職活動用にProfile bookという顔写真と簡単なプロフィールを載せた冊子を作る)

そして、彼らに話を聞きながら、話の最後に、「ところで、貴方にとって一番印象に残っているクラスメイトって誰だった?」と、彼らから面白かったクラスメイトの情報を引出し、リレー形式でインタビューをしていった。


そして、自分の経験やインタビューさせていただいた人たちからの話をもとに、肉付けする情報やエピソードを洗い出していくという地道な作業を、年末年始、私は実家で姪っ子や甥っ子と遊びながら、粛々と進めていったのだった。


。。。年が明けて、2015年1月

編集者の三浦さんとの会議。
私と共著の山崎さんが、それぞれ最初の企画骨子に肉付した情報をもとに書いたものをお互いに出しあってみると、、、
お互いの視点、文章のトーンがあまりにも違うことが判明。(当たり前と言えば当たり前、なぜなら二人とも興味を持つ視点が違うから)
さらに、同じテーマに対しても、二人の意見が違うので、「いったい、どっちが本当?」と突っ込みたくなる部分もあったぐらいだ。

これが「共著は難しい...」と言われる一つの理由だ、とその時に痛感した。

この違いをどうやって上手く融合してまとめていくのか?それは、最終的には編集者にとって手間がかかることに違いない。

私も共著の山崎さんも「お互いのトーンが全然違いますよねぇ...どうしましょうか...」とおそるおそる聞くと、
編集者の三浦さんは表情を変えずに、さらりと一言、
「お二人ともに視点が違うので、それはそれで面白いですよね。最終的には何とかうまくまとめましょう」
と言ってくれた。この編集者の三浦さんの、静かながらも芯が強くて粘り強い性格は、この後の私たちの迷走をいつも救ってくれた。<偶然12>


色々議論を重ねた結果、編集者の三浦さんから出された次なる宿題は、こちら。
「やはり、エピソードを裏付ける『エグゼクティブが学んでいる授業の内容』にも触れておきたいですね。次の会議では、実際にどのような授業が行われていたのか、情報を持ってきていただけますか?」

ということで、次の会議までの私たちの作業は、
1)各授業について、シラバスのコース名と授業のポイントを、を分かりやすく、魅力的な日本語にする」
2)各授業で学んだ体験とクラスメイトのエピソードを繋げる
3)各授業で学んだ体験が、仕事でどのように役だったのか?学びをどのように活かしたのか? の情報を整理する

ということになった。
道は、まだまだ遠かった。

続く。。。







学びを形に...初めての出版体験(9)

2016-04-22 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになるまでの道のりを、忘れないように残しておこう。

前回からの続き。

自分達の仮説(EMBAに来る人たちは本当は「何を」学んでいるのか)を確かめるために、私たちの卒業したUCLA-NUS以外にも、シカゴ、ケロッグ、ウォートンなど複数の学校のEMBA卒業生に話を聞き、思い出話ですっかり良い気分のまま、次の編集者との会議の日がきてしまった。

会議で、私と共著の山崎さんは、編集者の三浦さんに、複数の人にインタビューした内容を喜々として伝えた。

インタビューをして情報収集してきた私達に対して、三浦さんは少しだけにっこりして、こう言った。

「素晴らしいですね。ありがとうございます。このような形で今後も情報を収集していただけますか?
できれば複数、色々な学校の色々なタイプのクラスメイトの話を少しずつ入れ込みたいです。
それから、、、うーん、そうですね。あまり企画書から自由に離れてしまうとちょっと違うので、、、基本的には今の企画書に沿った形でお願いします」

褒められているのか、注意されているのか、、、そして一番肝心なのは、「他にももっと取材」という点だった。
本を書く、というのは本当にたくさんの情報収集が必要。それを目の当たりにした最初の瞬間だった。

この編集者の三浦さん、見た目は若くて大人しめで誠実な方で(人は見た目で判断してはいけないが)、ビジネス書担当というよりも学術書担当といった雰囲気。
しかし、最後に彼の敏腕さを思い知ることになる私達。この時は知る由もなかった、、、

それでも、企画書の骨子だけだった私達の本作りは、一歩ずつだが前に進んでいった。
その日は、3時間ほど議論を重ね、気づいたら、終電間近になっていた。

次の会議は、年明けて2015年1月。
それまでに、私と共著の山崎さんに出された宿題は、「もっとたくさんのクラスメイトのインタビュー」と「各章を肉付けする文章を書いてくる」ことだった。


以下は、企画当初の骨子。この骨子が取材と編集会議を経て、大きく変わっていく。その紆余曲折の過程は後ほど

第1章 世界のトップエリートのビジネス思考力の磨き方
第2章 世界のトップエリートが学んでいる人の動かし方
第3章 世界のトップエリートがキャリアアップのために「勉強」していること
第4章 世界のトップエリートの英語勉強法
第5章 世界のトップエリートが日々磨いている10の実践的なスキル


この時点で、2014-15年の年末年始は、私と山崎さんは休み返上が確定した。
大変だったが、それでも少しずつでも動き出したことがとても嬉しかったのを覚えている。

続く。。。

















学びを形に...初めての出版体験(8)

2016-04-19 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになるまでの道のりを、忘れないように残しておこう。


前回からの続き。


本にするなら、自分の学びだけでは十分ではない。。。
自分のEMBAでの学びが、本当にほかのEMBA生達にとっても同じだったのか、私たちが卒業したUCLA-NUS EMBA以外にも、シカゴ、ケロッグ、などいくつかのEMBA卒業生達にアポイントを取ってインタビューさせてもらうことにした。

時は、2014年11月。
EMBA卒業生達は、殆どの人が会社の経営層や自分で仕事をしていたりする、忙しい人達。
さらに海外に関するビジネスをしている人も多いので、海外出張が多い。
年末年始という忙しい時期にもかかわらず、私や共著の山崎さんが「インタービューさせてほしい」とお願いすると、快く受けてくれた。
本の「おわりに」にも少し触れたが、海外出張前の空港から電話でインタビューに応えてくれたり、仕事の前に朝7時半からスタバに来て話してくれたり、、、
みなさんに共通していたのは、「EMBA勉強中の自分や学びについて、とても熱く語ってくれた」ということと、「自分たちの学びが少しでも多くの人たちの助けになれば」という想いだった。

私たちの卒業したUCLA-NUS以外にも、シカゴ、ケロッグ、ウォートンなど複数の学校のEMBA卒業生に話を聞いたが、この時間は、私と共著の山崎さんにとって、とても楽しい時間だった。
何より、一人一人、人生物語が違う。EMBAに通うようになったきっかけも、EMBAでの学びも。

それでも、EMBA生達は忙しい合間をぬって自分達の貴重な時間とお金(Full-time MBAと比べると数倍は高い)を投資しているだけあって、勉強のための目的も明確で、貪欲に学び、そこでの学びや気づきをすぐに実践している、という点は同じだった。むしろ「学ぶ」ことは目的ではなく手段であって「実践に活かすために学んで」いるのだった。

そして、皆、日常の中で「世界目線」をもって仕事をしている、という点も共通だった。


一方、EMBAは学校によって授業のスタイルや内容も違っていた。(この点は、本で「授業での学び」を書く時に苦労の種に、、、)


いくつかのインタビューを終え、私と共著の山崎さんは「私たちの仮説はどうやら概ね間違っていないらしい」ということに安堵し<偶然10>、あとはこれをどうやって本にしていくのか、、、全くアイディアのないまま、出版社との次の会議の日が来てしまった。。。

続く。。。








学びを形に...初めての出版体験(7)

2016-04-14 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになるまでの道のりを、忘れないように残しておこう。


前回からの続き。


編集者の三浦さんからの宿題をこなすために、毎朝30分、EMBA時代を振り返って学びを言葉にすることに決めた私。
しかし、これがどうしてなかなか難しい。
人間の記憶とは曖昧なもので、過ぎ去ってみればすべて忘れてしまうか、美しい思い出しか残っていなかった。。。
(記憶をたどろうと写真を見たら思い出に浸って30分なんてあっという間に過ぎてしまったり、、、)

それでも、何とか思い出しながら書き進めていった。

私がこの本で一番伝えたかったこと、それは、序章でも記載したが、「理論 x 実践を高速回転することで知識・経験を知恵に変える」ということ。

以下、その時の私のメモの一部。

★エグゼクティブは、「理論 x 実践」の相乗効果を信じている。
Why) 今までの自分の経験で失敗したり不安になったことがある。だから経験を裏付けられる、自分の判断が正しかったか間違っていたか立証できる論拠が欲しい。
Why) 一方、ビジネスの世界では理論や理屈だけでは売り上げも上がらないし人もついてこないことも知っている。学問の世界だけでビジネスに成功している人は殆どいない。
Why) ビジネスの世界は日々、変化する。ビジネスの世界から離れたくない。Full time MBAで1-2年ビジネスから離れるのは時間ももったいないし不安。
Why) だからこそ、「理論 x 実践」、しかもクラスメイトとの質の高い議論で相乗効果が高い、投資した時間xお金 対 効果が一番高い、EMBAを選ぶ。
Why) 理論をしることで判断の迷いが少なくなり実践するスピードが早くなる。


メモができたら、次は、他の人達へのヒアリング。
自分の学びが本当に他のEMBA生も感じている学びだったのか、それを検証するための材料が必要。

共著の山崎さんと私は、私たちが卒業したUCLA-NUS EMBA以外にも、シカゴ、ケロッグ、などいくつかのEMBA卒業生達にアポイントを取ってインタビューさせてもらうことにした。皆、メールで趣旨を説明すると、二つ返事で受けてくれた。<偶然9>

続く。。。