BE~Beautiful Energy~

自分が自分である(BE)ために。BE~Beautiful Energy~を貴方に。

学びを形に...初めての出版体験(15)

2016-07-26 | キャリア・仕事
私が、本を出版できるようになるまでの道のりを、忘れないように残しておこう。

前回からの続き。


前回の
第1章「あらゆる相手を動かす方法を学ぶ」大きな仕事ができるリーダーシップ思考
の章の土台ができるまでの紆余曲折の道のり、の続き。

敏腕編集者の三浦さんから、
「リーダーシップは、とくに『MBAとEMBAとの違い、EMBAでは新のグローバルリーダーになるために学びにきている」ので、この本ではさらに一歩踏み込んでEMBAの中でもトップスクールならでは、を打ち出してスケール感の大きなリーダー像とその知恵を打ち出しましょう!」
と言われ、編集会議で延々と議論したのが、「EMBAで学ぶケースをどのように本の中に入れ込むか」という点だった。

EMBAでも、MBA同様に各科目でたくさんのケース(事例)を読んで、その事例に基づき、議論したり発表したりする。
ただし、使われるケースはMBAとEMBAであまり大きな違いはなく(これはUCLA-NUS EMBAだけではなく他の学校も同じようだ)、教える先生の意図によって使われるケースも違う。

三浦さんからは
「本の中で、読者の方に少しでもEMBAでの臨場感あふれる議論の場をイメージしてもらいたいので、ケースを入れたいですね」
と、言われたのだが、、、これがなかなかどうして簡単ではない作業だった。

何より、ケースそのものは全て著作権があり使用することはできない(もしくは、使用許諾を得るために膨大な時間とお金がかかる)
かつ、ケースの内容を限られた本のスペースの中でどうやって伝えると分かりやすいのか、どのケースが良いのか、
非常に頭を悩ませる問題だった。

私と共著の山崎さんが、学んだ過去のケースを全て読み返して、最終的に本で取り上げたケース(P57)の主人公は、MBAを卒業したばかりの31歳のマイケルの上司・メンバーとの間で板挟みになるケースだった。
実は、私自身は最後までこのケースが適切か、ということに答を見いだせなかったので、素朴な疑問として編集者の三浦さんに聞いてみた。
「EMBAでの学びを伝えるのに、主人公が31歳の若手(通常、EMBAは社会人経験が15-30年ぐらいの人たちが殆ど)ですが、これで良いのかしら?」

三浦さんからの返事は明快だった。
「本で伝えたいのは、『EMBAでの議論』の中身。むしろどんなケースであってもEMBAだからこそできる質の高い議論の様子を本では表現しましょう。本の読者の中には30代の方もいらっしゃるのでケースの主人公と自分を重ね合わせることもできてちょうどよいのではないでしょうか?」


この編集者の三浦さん、何度も言うが、一見大人しいまじめな好青年(年齢不詳)で柔らかい口調なのだが、質問するといつも鋭い視点と自分なりの意見をくれる敏腕編集者なのだった。


ちなみに、本からは少し脱線する裏話としては、実際に私がEMBAでこのケースを議論した時には、議論の途中からクラスメイトのインド人が、「このケースより実際はもっとドロドロした人間関係だよねー」と言い出し、彼の実話をもとに議論することになったのだった。



続く。。。