Winny開発者・金子勇さんが死去
P2Pファイル共有ソフト「Winny」を開発したことで知られる技術者の金子勇さんが7月6日、急性心筋梗塞で死去した。
Winny裁判で弁護人を務めた壇俊光弁護士がブログで明らかにした。
金子さんは2002年にWinnyを公開。04年、著作権法違反ほう助容疑で逮捕・起訴されたが、11年に最高裁で無罪が確定。技術者が開発したソフトやサービスについて負うべき責任の範囲などについて大きな議論になった。
起訴後、P2P技術を応用したコンテンツ配信サービスを手がける「Skeed」の設立に携わり、昨年12月には東京大学情報基盤センター特任講師に就任していた。
金子さんのWebサイトでは、プログラム「NekoFight」の最新版「Ver.2.4」が6月8日に公開されている。
金子 勇(かねこ いさむ、1970年7月 - 2013年7月6日)は、プログラマ、ソフトウェア開発者。東京大学大学院情報理工学系研究科特任助手を経て、東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティング研究部門特任講師を務めた。ファイル共有ソフトWinnyの開発者として知られる。栃木県立栃木高等学校、茨城大学工学部卒業、同大学院博士課程修了、博士 (工学)。栃木県下都賀郡都賀町出身。
人物
小学生の頃からプログラム技術に興味を持ち、高校在学中に第一種情報処理技術者試験に合格。
学歴
1989年 茨城大学工学部情報工学科に進学
1993年 同大学卒業、同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程進学
1995年 同修了、同博士課程進学[4]
1999年 同修了、博士 (工学)(茨城大学、学位論文『プロトタイプベースオブジェクトファイルシステムの開発とそのシミュレーションシステムへの応用』
職歴
1999年 ポスドクとして日本原子力研究所に勤務[5]。この前後、3D物理シミュレーションソフトウェア「Animbody」「Nekoflight」などのフリーウェアを発表。
2000年-2001年 情報処理推進機構 (IPA) の未踏ソフトウェア創造事業の一つ「双方向型ネットワーク対応仮想空間共同構築システム」に参加。ちなみに同システムの開発リーダーを務めた和田健之介は、このシステムの開発によりスーパークリエータ認定を受けている。
2001年頃 エクス・ツールス株式会社に勤務[6]。
2002年1月 東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻情報処理工学研究室(数理情報第七研究室)特任助手に任用。
2006年 株式会社ドリームボートにおいて、SkeedCastの技術に顧問として関わった[7]。
2011年7月27日 株式会社Skeed社外取締役に就任[8]。
2012年10月1日 株式会社Skeed取締役ファウンダー兼CINO
2012年11月30日 株式会社Skeedファウンダー兼CINO(取締役を退任)
2012年12月1日 東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティング研究部門特任講師に就任[9]。
2013年7月6日 急性心筋梗塞のため死去[2]。
Winny
開発経緯
2001年、Peer to Peer(P2P)技術を利用したファイル共有ソフト「Winny」を開発、インターネット掲示板群2ちゃんねるのダウンロードソフト板で公開する。最初に書き込んだレス番号より「47氏」とも呼ばれるが[10]、当時の2ちゃんねるは書き込みログを保存していなかったため、書き込みが金子本人であることは証明できない。公開から逮捕に至るまでの間、ネット上では「謎の技術者」「神」などと呼ばれていた[11]。
Winnyについて、本来ネットワークは自身の専門分野でなく、原子力研究所においてコンピュータ・クラスターや分散コンピューティングに関わったことが開発のきっかけであると著書で述べている。また、インターネット配信ニュースにおいて、ファイル共有ソフトに興味を持ったのはFreenetがきっかけであったと述べている。