三井物産、企業向け電力小売りに参入

2013-07-09 12:37:14 | 経済

三井物産、企業向け電力小売りに参入

 【中川透】三井物産は9月から、企業向けの電力小売り事業に参入する方針を固めた。発送電分離など電力改革が今後進むのをにらみ、発電から小売りまでを手がける態勢を整える。大手商社は今まで海外の電力事業に力を入れてきたが、経験を生かして国内でも強化する動きを広げている。
 
 三井物産は、企業向けの小売事業者「新電力」の届け出を経済産業省にすでに出しており、売電先の交渉を進めている。風力や太陽光の発電所の建設も、愛知県や鳥取県などで始めた。小売りへの参入で、発電から小売りまでのサービスを一貫して提供する。
 
 海外で三井は、原発6基分の約600万キロワット分の発電所を持ち、地元の政府系電力会社などに電気を売っている。国内では、昨年7月に自然エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったのを機に、電力事業を強化。政府が発送電分離や電力自由化を今後進める方針のため、小売りの商機も広がる、と判断した。
 
 政府は6月にまとめた成長戦略で、電力制度改革を進めてエネルギー産業を育てる方針を掲げた。電力以外の異業種から新規参入を増やしたり、サービスの融合を進めたりして、競争を進める。商社のほか、NTTやソフトバンクなど通信各社も電力事業を広げている。


地中熱利用の新工法 三谷セキサン

2013-07-09 11:06:37 | 自然エネルギー

地中熱利用の新工法を本格展開 三谷セキサン、基礎くい技術

 三谷セキサン(本社福井市、三谷進治社長)は、県や福井大などと共同で開発した地中熱利用システムの新工法の展開を始めた。同社の基礎くい技術を生かし、従来工法より割安な施工が可能となった。東京・台東区のホテル建設現場で、本格展開第1弾となる工事を行った。

 地中熱利用システムは、水や不凍液の入った管を地中に埋め込み、年間を通じて十数度に保たれている熱を冷暖房に使うもの。

 従来工法は直径十数センチの穴を100メートル以上掘って埋め込むため特殊な機材が必要となり、コスト面が課題だった。

 このため同社などは環境省の委託を受け、2010~12年度に研究を実施した。地盤強化のために打ち込む基礎くいの技術と機材を使い、深さ十数メートルの基礎くい用の穴を開けて管を通し、セメントで固める技術を編み出した。深度は浅いものの、密集して通していた管の間隔を30センチ以上空けることで集熱効果を上げた。

 同社によると、約3分の1の価格で従来工法同様の効果を発揮できる結果が出たという。実験では管の間隔が一定に保てない課題が出たが、直方体の器具を取り付けた上で埋め込むことで解決した。

 本格展開の足掛かりとして、同社の子会社が都内で建設中のホテルでの採用を決定。鉄筋コンクリート11階建ての1階ロビー部分約50平方メートルで、冷暖房の熱源として利用する。

 地中熱専用の穴を8本掘ったほか、同時研究していた基礎くいの中空部分に管を通す方式も使った。

 地中熱利用システムは運転コストが低いことから、病院や老人ホームなど、24時間空調を必要とする施設などを中心に普及を図る方針。

 同社北陸支社技術部の橋詰善光部長は「環境配慮型の工法は、公共工事の入札条件になるなど需要は大きい。再生可能エネルギー普及の一翼を担いたい」と話している。