原発はクソ自民党の利権屋議員が必要なんだろ
海水の温度差発電~上原春男理事長インタビュー
海洋温度差発電が非常に有効な発電方法となる可能性は高まってきている。可能性を広げたのは、ウエハラシステムの考案者である、上原春男・NPO法人海洋温度差発電推進機構理事長(工学博士。元佐賀大学学長。(株)GEC代表取締役)である。たかが20℃程度の海水の温度差で何ができるものかというイメージを完全に払しょくし、理論だけではなく実用化できる海洋温度差発電をつくりあげたのである。上原理事長に海洋温度差発電についてうかがった。
<ウエハラサイクルの完成>
――上原先生は長らく、海洋温度差発電の技術発展に尽力なされてらっしゃいましたね。そのなかで「ウエハラサイクル」と呼ばれる独自の海洋温度差発電を開発されました。
上原春男理事長(以下、上原) 海洋温度差発電は1881年に考案されました。表層の温海水でアンモニアを気化させてアンモニア蒸気をつくり、タービンを回します。その後に、アンモニア蒸気を深層の冷海水で冷やし、液化させます。それを繰り返してタービンを回し続ける方法が海洋温度差発電です。仕組み自体はウエハラサイクルも同じなのです。タービンも高圧、低圧の2種類を回すようにします。そうすることで、単純に倍の発電能力を得ることができます。図にすると少し複雑なイメージになります。
――私たちは、火力発電や原子力発電などの大規模な発電方法にばかり目がいっていて、そういったやり方があることすら知りませんでした。今、日本はエネルギーの未来形が模索されています。海洋温度差発電もその選択肢の1つたり得るのでしょうか。
上原 日本も十分発電量が確保できる海域を持っています。その海域を利用した海洋温度差発電の潜在的な能力は、非常に高いのです。その能力を数値に換算すると、80億kWという膨大なエネルギーになります。このうちの、たった1%でも発電にまわすことができたならば、年間1兆kWhのエネルギーが生み出せます。これだけあれば、日本の電力をかなりまかなうことが可能だと思います。
<技術革新で、安定な大出力も可能に>
――それだけ膨大なエネルギーに今まで注目が集まらなかったのは、どうしてなのでしょうか。
上原 40年前から、私はさまざまな場で提案してまいりました。それでも、誰からもまともに取り合っていただけませんでした。理由は明白で、当時としては技術が十分ではなかったからです。海洋中にそれだけ大規模なネットワークをつくることなど、想像さえできなかった時代だったのです。それゆえ、火力発電や原子力発電に主役の場を譲らざるを得なかったのですが、今は海洋温度差発電の技術が成熟しています。これは、海底石油の採掘や海底ケーブルの敷設の工事で、技術が蓄積されてきたためです。電力の柱として十分役に立てる水準に達しているのです。あとは、設置すればよい段階に来ています。かつてはできなかったことも、今なら技術的に可能な段階に来ているのです。
――再生可能エネルギーは、生み出すエネルギーが安定しないというイメージがあります。海洋温度差発電はどうなのでしょうか。
上原 海の深さごとの温度差というのは、実は年間を通じて非常に安定しています。したがって、出力に変動はほとんど出ません。10万kWの発電所をつくれば、安定して10万kWを生み出し続けることができます。たとえば、10万kWの出力の発電所を10基つなげれば、100万kWの出力を得ることができます。すると、原発1基分の発電量と同じになります。それだけの規模の電力が安定して得られるならば、発電システムの主力として十分な魅力があると私たちは考えております。
海洋温度差発電が非常に有効な発電方法となる可能性は高まってきている。可能性を広げたのは、ウエハラシステムの考案者である、上原春男・NPO法人海洋温度差発電推進機構理事長(工学博士。元佐賀大学学長。(株)GEC代表取締役)である。たかが20℃程度の海水の温度差で何ができるものかというイメージを完全に払しょくし、理論だけではなく実用化できる海洋温度差発電をつくりあげたのである。上原理事長に海洋温度差発電についてうかがった。
<初期投資は高いものの・・・>
――素晴らしい発電方法であっても、初期の導入コストが高ければ導入促進することはできません。イニシャルコストは、どのようになっているのでしょうか。
上原春男理事長(以下、上原) 設置する費用は、原子力発電所とほとんど変わらないと思います。100万kWを得るのに6,000億円~1兆円くらいだと考えております。したがって、日本全部の電力をまかなうためには、100兆円の投資が必要になるでしょう。
――100兆円とは大きな数字ですね。それだけの投資に見合う内容なのでしょうか。
上原 地球環境に優しいという点や、温暖化抑止に貢献できるというような道義的な側面だけではなく、合理的な投資として、この海洋温度差発電は有効だと考えております。海洋温度差発電ならば、イニシャルコストは相応にかかりますが、設置後はほとんどお金がかかりません。100兆円投資すれば、以降、自前のエネルギーで発電し続けることができます。石油やウラン燃料を外国から買う必要がなくなります。
――イニシャルコストをかけさえすれば、電力はまかなえるということですね。
上原 電力だけではありません。この海洋温度差発電で電力をまかなうと、ピーク以外の、たとえば深夜などの電力は余ることになります。その余剰電力で水を電気分解し、水素をつくり出すことができます。水素を安定的に手に入れることができるようになれば、自動車や動力が燃料電池で動くようになるかもしれません。すると、移動手段にかかる化石燃料の使用もゼロに持っていくことも夢ではなくなりますね。
――エネルギーのほとんどが、自前で調達できるのですね。
上原 余剰電力を蓄える方法の1つとして、水素にエネルギーを変換する、という考え方です。同時に、温度差のある海水さえあれば発電することができる特性を活かして、世界規模の送電ネットワークをつくることもできます。
――世界規模の送電ネットワークとは、大きな話です。
上原 日本からミクロネシア、ハワイを通ってアメリカ大陸まで送電網を広げる。さらにカリブの国々を通ってヨーロッパまでつなぐ、ということになれば、ピークカットなど考える必要がなくなります。
――東西につなげば昼夜の平均化ができ、南北につなげば夏冬の平均化ができる。そうすればピーク時電力のための予備設備が必要なくなり、よりシンプルな電力供給システムが組めるということですか。
上原 そうです。かつては海底ケーブルの敷設は技術的に大変難しいものでした。しかし、今では当たり前のように大陸間でケーブルが敷設されています。その技術を応用すれば、想像以上に簡単だと思います。
――電力問題は国内だけで考えるから出口がなくなる、ということですね。大変勉強になりました。本日はご多忙のなか、ありがとうございました。
NPO法人海洋温度差発電推進機構
理事長:上原 春男(工学博士、元佐賀大学学長、(株)GEC代表取締役)
所在地:佐賀市鍋島6-6-27
TEL:0952-30-8869
URL:http://www.opotec.jp/index.html