薄桃の花びらが足早に舞い散り
空っぽの心の細道を吹き抜ける
少年は小さな手指を差し出して
白灰色に沈積した路上の塵芥を拭った
道端に咲く花が揺れてダンスダンスダンス
誰か色を付けて、誰か
アナタは何でできていますか?
私はコンビニの総菜コーナーに並ぶカレーパスタ
チープな食材でできています
町を一回りして帰ってきた飼い猫
我が家の軒先に寝転ぶ日日是好日
視界の遥か先にある空に泳ぐ虹よ
黒から白へ七色のグラデーションを描け
少年が開け放った扉の向こうには
モノクロームの日常が群れをなして待つ
老人はもはや涙も涸れ果てた
黒ずんだ自らの躯を抱きしめるほかない
そしてただ祈るのだ、
少年が流す涙の一粒一粒にすべての黒が封じ込められるよう
涙は真実でできていると知った夜(=君がそう教えてくれた)
誰かががついてきた優しい嘘をすべて許そう
そしてすべての罪と罰に色をつけよう、春色を
口づけのようなやわらかなタッチで