ふるさと

ふるさとに異常なし
豊かな自然と守るべき存在が
健在ならば他に望むものはなし

人生の半分以上を他所で暮らし
ふるさと、などと気安く呼べない
そんな高い敷居を微塵も感じさせない

もしかすると僕がふるさとで
暮らしたことがないからそうなのか
未体験の生活の断片が新鮮なだけなのか

いずれにしても今の僕には
手に入れることができない生活
ふるさとでしか得られない安寧な日々

帰れないだろうなあ
あと五年、あと十年と指折り考える
守るべき存在はそこまで持ち堪えるのか
ふるさとはいつのときも今のままなのか

今この瞬間がきっと最高のとき
他のいつでもなく今がきっと
過ぎ去ったこの五日間を心から愛おしむ