風。

どんよりとした天気、時々雨がパラつくけど、私とムスメが出掛けるタイミングには雨は降っていなかった。でもムスメの気分は「きょうは あめ」なので、レインポンチョに長靴、そして小さな傘をさして行くのだった。片手は私の手と繋いでいるので、ムスメは片手だけで傘を難しそうにさして「おもい」とつぶやいていた。そして、急に立ち止まり、傘を振り回して何やら怒って泣いている。「？」と思って様子を見ていると、ムスメが何に怒っていたのかがわかった。
「ふーちゃんのかさだから とばさないで!!」「だめなの!!」「や～め～て!!」と涙ながらに戦っていた。風と。
あー。ムスメよ、残念ながらその相手は怒っても無駄だなぁ。

睡魔。

ムスメを寝かしつける間に、相棒や私の方が眠くなってしまうのはよくあること。相棒の場合はそのまま本当に深い眠りにおちてしまうけど、私の場合、最終的にはムスメが寝入るまでオッパイを吸われているので、どんなに眠くても眠れない。
絵本を読んでオッパイしてねんね…と思ったらまた起きてお話を始めて、またオッパイしてねんね…と思いきやまた起きて携帯の動画を見始めて…なんてことを繰り返されている間に、私はすっかり眠くなってしまい、ムスメが寝静まったらやるつもりの家事も残っていて、なかなか寝ないムスメにイライラが募る。
ついに私は嫌気がさして「“ねないこダレだ(こわ～いおばけ)”が出ても、知らないからねっ!!!!」と脅し文句の捨て台詞を吐いて、布団に潜り込んでそっぽを向いていた。すると…
優しい声で「お～い」「つんつん」とつぶやきながら、私の背中を小さな指でつつくムスメ。私の態度にも関わらず、あまりにも優しい対応にしぶしぶ顔を上げると、そこにはちょっと寂しそうなムスメの顔。「ふーちゃんね かーちゃんと なかよし～で ねんねしたかったんだよ～」と。
激しく反省した。睡“魔”に襲われていたとはいえ、私はムスメに何と酷いことをしたんでしょう。
そういえば、さっき二人でお風呂に入っていた時に「かーちゃん きょうもいちにち そだててくれて ありがと」なんて言って私をムギュウしてくれたのも、このムスメだった。
そんな優しいあなたに、いじわるをしてしまったかーちゃんを許して下さい。ごめんね。