発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

「空の青さを知る人よ試写会」 10/7 Tジョイ博多 おら東京さ行ぐだ物語

2019年10月09日 | 映画
「空の青さを知る人よ試写会」
「私はミュージシャンだ」というのは、70年代から80年代にかけてのサブカルチャー漬け少年少女の世界では、掃除当番などをやりたくないときに使う言葉であった。
それはさておきこの映画、高卒後、彼はミュージシャンの夢をかなえるために東京に出、両親に事故死された彼女(姉)は幼い妹を育てるために地元に残ることを選んだ。13年の月日が経ち、姉は市役所勤務、妹は孤高のベーシスト高校生。これは恋人たちの再会と少女の成長物語なのだ。ありえないファンタジー設定で、少女の恋は叶わないとすぐわかるが、どう終わらせるかに注目して鑑賞。えらいぞ妹!!
 この映画ではなんと七角関係が展開される。六角ともいえる。
◆松野兄弟がもし一人っ子だったら
 脇役として登場する市役所職員にしてドラマーにしてシングルファザーの父とその小学生の男の子が、おそ松さんに似たデザインで可愛い。
◆ひねくれ者は手口にツッコミを入れる
 離ればなれになり音信不通になっていた恋人たちの再会。
 って、車が埼玉ナンバーをつけてるところであれ?と思った。埼玉って東京の隣県で、舞台である秩父からは、西武線で鈍行でも池袋まで2時間かからない。電車代も片道800円かからない。渋谷や原宿に出ても1000円以内で、直方や大牟田から天神に出るよりも安い。早起きができれば相当遊べそうだ。終電の時間にさえ気をつけていれば、毎週でも遊びに行けるところではないのか。中学生だって夏休みに友だちと誘い合わせて出かけたりできる場所じゃないのか。それがひどく遠い場所のように描かれていた。東京住民から秩父は遠い場所なのかもしれないが、秩父住民から東京は近いと思う。
 なぜ会わないまま13年も過ごす? なぜ普通に遠恋しない? というか片道1000円以内で遠恋? 全国遠距離恋愛連盟というのがあれば、それは遠距離恋愛と認定してもらえないと思う。
 彼は売れっ子の花形ミュージシャンにはならなかった。しかし、一流歌手のバックを務めるミュージシャンはライブに行って私が見る限り一流の演奏をする人たちで、つまり彼はたゆまぬ努力をしたのだ。スターにならなかったからといってそんなに腐って世の中を斜に構えてみるような必要はまったくない。ビッグ(……)になって迎えに来れる確率はすっごく低いんだけど、何か不満? 何が不満? むしろ、時間をかけて、なかなか立派な鮭になって遡上してきたといえるのではないか。
 ついでに意地の悪いことをひねくれ者は書く。東京さ出てスターミュージシャンになったアーティストはなかなか「地元一般女性と結婚」なんてしないよね。ついでに書けば、糟糠の妻と離婚までしてモデルとか女優とかと結婚した人も枚挙に暇がない。スターミュージシャンにならなかったからこその復縁ファンタジーなのだ。







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