発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

その時代、つけまつげを自作する乙女たちがいた

2016年09月13日 | 本について

◆別冊太陽『中原淳一のそれいゆ』

 中原淳一が戦後に発刊した『それいゆ』を紹介する本。『それいゆ』は、私がものごころついた頃にはとうに廃刊となっていたが、戦後の十数年、当時の女性のライフスタイルのアイコンとしての地位を持っていた。美輪明宏の著書『美輪明宏のおしゃれ大図鑑』を参照するに、美輪氏も大好きな世界だったようである。戦後の、なにもかも足りない時代に女の子たちはどうやっておしゃれしていたのか。洋裁は乙女のたしなみ、ミシンは家に常備され、重要な嫁入り道具でもあった。乙女たるもの、自分の着るフレアスカートやブラウスやワンピースくらいは、自ら作れないといけなかったのである。フムフムと読みすすむ。『それいゆ』が廃刊になっても、70年代くらいまでは「実物大型紙」というのは女性向け雑誌の付録の定番だったよね。

 びっくりしたのは、「つけまつげの作り方」!!! これは想定外だ。『それいゆ』では、つけまつげを自作することを提案している。膠で植毛するのだ。つけまつげさえ自作!! そんな努力をする当時の乙女に幸せが訪れることを願わない人はいないであろう。 

 というより、すごく幸せで楽しそうじゃない? 自作の服で、自作のつけまつげで出かけるなんて。