deep-forest

いつだって感じる
アナタとワタシの距離は
近いようで遠いようで
でもそれが大事で大切な
アナタとワタシの距離

君の額にピストルを突きつけよう0‐3

2010年02月09日 20時43分17秒 | 物語系



偶然だったのか、それとも必然だったのか。逃亡している最中(さなか)に、1人の青年を見掛ける。
捨てるはずの【黒い石】を、私はこの青年に渡したかった。手でピストルの形を作り、鳩に向かって撃っている空想をしている青年。普通の人間から見れば、おかしな癖を持っている変わり者で終わっていくだろう。
しかし何故だろうか。彼のその癖は、私を呼び掛けているようだ。いや、正しくは違った。【黒い石】が、彼に呼応しているようだ。私は能力を使い、彼がいるベンチに向かう。見ず知らずの人間に、この【黒い石】を渡してもいいのだろうか。しかし私の逃亡にも限界がある。託すしかないのだ、この青年に。

私は青年に【黒い石】を託し終え、能力を使ってその場を去る。能力を解除した次の瞬間、胸に激痛が走る。
『見~つっけた。探したんだよ。さぁ、私の大事な黒い石を返して。』
『そ…んな物…、持っ…てませ…ん。うぐ…っ。』
『嘘つくなんて、あなたらしくないな~。あれはこれからの計画で欠かせない物なの。あなたのような人間の代わりはいても、黒い石の代わりはないわ。ほーら、早く返して。じゃないと死んじゃうよ。』
『本当…に、持…ってない…。もう…他の人…間の…手…に渡…っ』
『誰に渡したの?…、あ~、もう。死ぬなら全部喋ってから死んでくれたらいいのに。また探さなきゃならないじゃない。まぁ近くにあれば分かる事なんだし。それにただの人間が黒い石を使えるわけないしね。』
あの方はこの場から立ち去る。私にはまだ微かに意識があるのも知らずに。


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