寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3011話) 釣り場の出会い

2020年08月27日 | 出来事

 “釣りに出掛けるたび、いつも思い出す光景があります。二年前の大型連休中、名古屋港へ釣りに行きました。さおや針といった道具の準備をしていたら、年配の男性が近づいてきて「この釣り場はどんな魚が釣れますか」と聞いてきました。いろいろと話すうちに、釣りに行くと言ったら息子がこの釣り揚が安全だと送ってくれたこと、お嫁さんが朝早くから起きて弁当を作ってくれたこと、麦わら帽子も用意してくれたことなどをにこにこと話してくれました。
 その方は何より家族の心遣いがとてもうれしかったのだと思います。弁当を食べるのが楽しみだと話された笑顔が印象的でした。幸せそうで、心底うらやましいと思いました。”(8月6日付け中日新聞)

 愛知県知立市の会社員・渡辺さん(男・62)の投稿文です。渡辺さんがこれほど印象に残るほど、息子さんとそのお嫁さんの配慮に対する年配の男性の嬉しさが見えたのである。社会の最小単位は夫婦、そして家族である。社会がいくら喜びにあふれていようとも、夫婦、その家族にその喜びが来さない限り、その夫婦、家族に心からの喜びは少ない。夫婦、家族は喜びも悲しみも共にする。そこには肉親の情や配慮、思いやりがある。健全な家族には当たり前のことである。しかし、これも当たり前であって当たり前ではないのである。それだから年配の男性の喜びが大きいのである。渡辺さんも心底羨ましいと思われる。
 夫婦はどうか知らないが、家族関係は近年随分希薄になってきたと思う。例えば家族内での行事も簡素化、またはしなくなった。このコロナ禍がそれに拍車をかける気がする。少子化で家族関係が強くなるかと思えば、これも逆である。親は子供に負担をかけたくないという。ボクは子育てで負担した分、負担をかければいいと思うが、これは全く通用しない。ボクの終末はどうなるのだろうか。


コメントを投稿