てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

『クリムゾンの迷宮』 貴志祐介

2005年05月28日 | 読書
クリムゾンの迷宮 貴志祐介 
角川ホラー文庫 初版は平成11年(初出)

『本でいっぱい』では、私が持っている本をランダムに紹介しています。
今回、こちらに移動するにあたって、『良かったー、好きだー』度である★マークは削除しました。
いいかげんになっていたので…。


ふと目覚めると、そこは一面深紅色に染まった異様な世界。
いったい、なぜこんなところにいるんだろう?
そして手元には、水筒とビスケット、ゲーム機。
ゲーム機をONにすると、表示された文章。
「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。」
ゼロサム・ゲームの始まりだった。



全くなんの脈絡もなく、妙な場所で目覚め、生き残りをかけたゲームを強制させられるというのは、映画「キューブ」に似ていますね。
どちらが先がわかりませんけど。
この作品は、ホラーということですが、幽霊などの超常現象は出てきません。
主人公達がどうなるのか、先が知りたくて、どんどん読み進んでしまう本です。
でも、それだけといえば、それだけの本。

今、少しだけ最初の方の部分を流し読みしたのですが、オチが分かってからだと、なるほどと思わせるものがあります。
推理小説風に言うと、「気をつけて読めば、犯人は分かる」ように書かれていますね。

『タイタンの妖女』 カート・ヴォネガット・ジュニア

2005年05月28日 | 読書
タイタンの妖女 カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉久志・訳 
原題 The Sirens of Titan 1959年発行

この本も好きで、SFベスト3のうちの1つかな。
もう一つ、あまり有名じゃない本で好きなのは『闇の聖母』(フリッツ・ライバー)です。
うーむ、ベスト3が5冊以上になってしまう…。

この『タイタンの妖女』は爆笑問題太田さんのおかげで、いまや大手書店なら必ず置いてある本となりました。


時間等曲率漏斗群に飛び込み、すべての時、場所に存在できるようになったラムファード。未来を知る彼は、大富豪のコンスタントに予言を与える。コンスタントは、予言に逆らおうと努力するがなすすべもなく、ラムファードの予言どおりに悲惨な運命に翻弄される。


とっても空しいお話です。
でも、人生ってそんなもんじゃない?という気持ちがあるので、空しくても妙に胸に落ちるお話でした。私には、ね。
それに、最後の最後で、救いもありますし。

大人のためのおとぎ話といってもいいかもしれません。
ま、前途洋洋たる若者にはお勧めしません。
SFというより、SFの形態をとった純文学って感じです。

ヴォネガットは、この本が初めてでした。
これが大変気に入ったので、最高作と言われている『猫のゆりかご』を続けて読みました。
でも、私的には、『タイタンの妖女』の方が好きです。

『都市』 クリフォード・D・シマック

2005年05月28日 | 読書
都市 クリフォード・D・シマック 林 克己・他訳
原題 City 初出1959年


私の好きなSFベスト3に入る本です。


この本の最初には、「刊行者の序文」があります。

これは、火があかあかと燃え、北風が吹きすさぶとき、犬の物語る話の数々です。
・・・中略・・・
「人間ってなあに?」とか、「都市ってなあに?」とか、「戦争ってなあに?」とか、こういう質問には確答が出ないのです。 
 

刊行者というのは、『伝説刊行委員会』です。

はい、これは、人類すら忘れ去られた遠未来に、犬たちの間で残っている伝説をまとめて出版したという形式になっているのです。

『伝説』で8話あります。それぞれに、覚え書きがついていて、伝説に関する最新の学説なども紹介しています。

もう、最初っからやられました。
ものすごい遠未来ってところと、架空の書籍の形態を取っているというところです。
そういうのが好きなんですよ~。


8つの『伝説』は、時系列に沿って並んでいます。
安価なエネルギー(原子力ですが。。)が開発され、農作物すらただ同然の値段で工場から供給されるようになりました。このため、従来の農業が立ち行かなくなり、農地地価が暴落し、都市市民は、郊外に広い家を持つようになるところから始まります。

ま、このへんは、古さ爆発ですが、そういうものだとおおらかに受け止めてやってください。
都市の崩壊から始まるということですね。


『伝説』は、主にウエブスター家の人々の話として語られます。彼らが、必死になって人類文明を守ろうとし、そして、その戦いに敗れていくお話です。
でも、彼らが守ろうとするのは、旧来からの文明です。
時代というものは、どんどん変わっていき、それを抑えることはできません。だから、彼らが勝てなかったのも自然の理なのです。

最後、この本の舞台が完全に明らかになったとき、なんとも言いようのない気持ちに包まれました。

シマックの作品は、どれもとても目線がやさしいです。
この本も人類文明万歳でもなく、人類文明否定でもない、生命全体に対する暖かい眼差しを感じることができます。

[ The Jungle Book ]

2005年05月28日 | 英語
OBW2、総単語数7200。
The Jungle Book

ずっとPGR2(ペンギンリーダーズレベル2)を読んでいたので、たまには、とOBW2(オックスフォードブックワームレベル2)にしてみました。
同じレベル2でも、OBWの方が、ちょっと難しいのです。

読んでみると、やはり知らない単語出現率が高かったです。
PGRだと、せいぜい2つぐらいなのに、この本では4つぐらいありました。
あと、完了形が目に付いたかなぁ。
そうか、こういうときに完了形の文にするのか…と思いました。
まだ、頭で理解しているだけで、ぱっと読んだときに完了形のイメージが浮かぶところまでは、いってません。


おっと、お話はジャングルブックです。
狼に育てられた少年のお話。
子どもの頃、読みましたが、内容は忘れていました…。

少年は裸で生活しているので、イラストも裸で描かれています。
さりげなく、描きにくい箇所を草や木でカバーしているところが気になりました。
っていうか、すごく不自然な絵があったしー。


【評価】
★★★★

多読単語数【37.4】万

[ BABE The Sheep-Pig ]

2005年05月23日 | 英語
PGR2、総単語数8100。
BABE The Sheep-Pig

映画でおなじみの『ベイブ』です。
読んでいて、あれ?こんな話だったっけ?と思って、goo映画のあらすじを確認してみました。
やっぱり、少し違ってますね。
この本は、原作の童話を簡単にしたものってことですね。
本のところどころにある挿絵は、映画の写真なので、とってもかわいいです。

さて、何が映画と違うかというと、ベイブは、最初から礼儀正しい豚だったんですよ。
犬は、羊のことをバカにしているから、彼らがしゃべっていることを聞き取ることができない、っていうか、聞く気がないからコミュニケーションが取れない。
というわけで、『相手を尊重すれば世の中上手くいく~』という教訓話だったんですね。
この本は省略が多すぎて、原作とはまた違う可能性大ですけど。

それと、映画だとベイブは最後まで子豚ですが、この本では大きくなってます。
もう Little pig じゃないね~というくだりもあります。
a Large White Pigですから。

あと、人間はベイブのことを"Pig"と呼んでいました。
映画でもそうだっけ?



PGR2は、ずいぶん楽に読めるようになってきたから、今度はOBW2に挑戦してみるつもり。

【評価】
★★★★★

多読単語数【36.7】万

[ ANOTHER WORLD ]

2005年05月22日 | 英語
PGR2、総単語数5000。
ANOTHER WORLD

何だろう、『別の世界』とでも訳したらいいのかな。
いや、思い切って『虚構世界』のほうがいいかな。

その世界では、いつもお天気は晴れ。人々は皆若く美しい。全ての人が幸せに暮らす世界。
この世界の若者BZXY741の前に、一人の美しい女性が現れる。
この女性は、他の人とはどこか違っていた。そして、この世界は偽の世界で、本当の世界は別にあると告げる。。。

という話です。
が、ページ数が少ないせいか、いいたいことがよく伝わってこない感じです。

多分、アンチユートピアとしてこの幸福強制世界が示されていると思うのだけど、
この本を読んでいくだけでは、通常の世界(我々が生活している資本主義世界)より、
そっちの管理社会のほうがいいじゃんと思えてしまう。
皆が若くて美しい理由は、ある意味ショッキングではあるけど。


【評価】
★★★

多読単語数【35.9】万

北野勇作どうぶつ図鑑 その1かめ

2005年05月21日 | 読書
薄っぺらい本ですが、ゆっくり味わいながら読みました。
短編が6つ入っています。

カメ天国の話
【カメリ第1話】カメリ、リボンをもらう
かめさん
生き物カレンダー1月~4月


『カメ天国の話』は、SFマガジンに掲載されたのを読んだことがあります。最初再読したとき、ものすごく期待してたから、あ、なんかもう一つって感じでした。
で、昨日、もう一回読んだら、やっぱり可愛くてよかったです。
あまり期待しすぎちゃ駄目ってことですね。
マスコミの動きなんか、最近のJRがらみの動きを彷彿とさせます。
昔から、マスコミの体質って同じなんだなぁ。。。
あ、ちょっと待て。
ちょっと違うかも。昔はそういうのは、お昼のワイドショー限定だったんだ。

『カメリ』書き下ろしだそうです。
もう、可愛いの一言ですねー。
人類が地球から出て行ったあとも、残されたロボット達は律儀に働き続けるという話。
ロボットといっても、生体ロボットというのかな、有機体で出来ている。エヴァみたいな感じ。
第1話とあるから、続くんですよね。

『かめさん』
う~ん、幼稚園のときに、お迎えバスに乗り遅れそうだったからトイレを我慢してお漏らししてしまったというトラウマがある私には、とっても心がざわざわするお話でした。
雰囲気は、『人面町四丁目』に似ています。

『生き物カレンダー』
何回読んでも、ふふふっと笑ってしまう1月の『お猿電車』。
2月の『蛍雪』は、ちょっと『位相夢』の雰囲気。って、全然違うか。
3月の『蟻の行列』は不思議なお話。
4月の『桜に亀』は、北野勇作らしいお話。1行目は笑うけど。


この文庫本は装丁も可愛くてよかったです。
背景色が黄色で、文字色が白で、読みにくいのが難点。

[ HEIDI ]

2005年05月21日 | 英語
PGR2、総単語数8800。
HEIDI

アルプスの少女『ハイジ』です。
初めておじいさんに会うシーンは、どうしてもアニメの絵がちらついてしかたがありませんでした。
7歳だから、それほど小さくもないんですけどね。

食事のシーンは気になりましたー。
チーズは焼いて食べるんですね。
子どもの頃、翻訳版(この本よりは、ずいぶんしっかりした本)を読んだときは気にならなかったのですが。
マシュマロパーティみたいだなと思いました。



【評価】
★★★★

多読単語数【35.4】万

[ Tales from Hans Andersen ]

2005年05月20日 | 英語
PGR2、総単語数10000。
Tales from Hans Andersen

アンデルセン童話。
"The Ugly Duckling","The Nightingale","The Little Mermaid","The Emperor's New Clothes","Thumbelina"の5編。
「みにくいあひるの子」「ナイチンゲール」「人魚姫」「はだかの王様」「親指姫」ですね。

この本の最初に、登場する動物イラストとその英単語が載っていました。
あひるが鴨に見える。
とはいうものの、鴨と雁の違いを知らないからなぁ。
あひるとガチョウの違いも分からないなぁ。
気になったので英語とは全然無関係ですが、調べてみました。

アヒルとは…野生の鴨を改良して家畜化したもの。
ガチョウ(雁を家畜化したもの)との大きな違いは嘴の膨らみ具合と首の長さ



なるほど、元々似てるものなのですね。
そして、「鴨」に見えたのも、あたらずとも遠からずってことだったんだ。。。
さらに、鴨と雁も似てるってことだよねぇ。


あひるは英語で、duck。アヒルの雛はducklingってなんだか楽しいなーと思いました。
あひるになりつつある生き物ってことかなぁ。
そうすると、ガチョウはgooseだから、雛は、gooselingなのかと思ったら、全然違いました。
妄想でした。
ガチョウの雛は、green goose とか young goose だそうで。(by アルク英辞郎
つまんないなぁ…
っていうか、ガチョウの複数形がgeeseって何よ?って感じ。


『親指姫』という名前はそんなに悪い印象を受けないんだけど、"Thumbelina"だとどうも冴えない感じだなぁと思っていたら、やっぱ美しいとはいえない名前のようで、最後に花の王子に ugly name と言われていました。


【評価】
★★★

ストーリーはよく知っているから新鮮味がなく、そのくせ妙に読むのに時間がかかったから。


多読単語数【34.5】万

王狼たちの戦旗 -氷と炎の歌2-

2005年05月18日 | 読書
水と炎の歌第2部、『王狼たちの戦旗』上下巻を図書館で借りて読みました。

うおーっ、続きはまだかーっ!
って感じ。

第3部は、いつ翻訳出版されるのかなぁ。
第4部は、いつ出版されるのかなぁ。(2004年11月出版の解説によると、まだ執筆中だって…)


さて、第2部は、第1部よりさらにパワーアップしています。
状況が混沌として、完全に戦国時代突入。
第1部は、陰謀はありましたが、全体に明るい、まだ夏のイメージでした。
これが第2部に入ると、冬の足音が聞こえてきます。
ダークパワーの片鱗も伺うことができます。
これから、どんどん暗くなっていくんだろうな…
ファンタジーっぽくなってきましたよ。


ところで、このお話は、複数の登場人物の視点で語られる形式を取っています。
ブリンの知性化の嵐シリーズみたいな感じで。
マーティンのワイルドカードシリーズも同じだったそうです。
(マーティンは好きなのですが、ワイルドカードシリーズでは単なる編集者としての役目だったので読んでいませんでした。)

この視点となる人物の数は大変多いのですが、解説によると、弱者だけが選ばれているそうです。
そういわれてみれば、そうかもしれない。
敵味方関係なく、視点として取り上げられていて、ごく一部のどうみても悪者以外は、善悪の区別はありません。
読む側としては、あっちにもこっちにも味方したくなって困ります。
たとえば、武田信玄もステキだけど、上杉謙信もいいよね、あ、でも織田信長も捨てがたいって感じかな。で、視点として語られるのは、織田信長自身じゃなくて、妹だったり、側近だったり、秀吉だったりというふうです。

キャラはますます深みが出てきました。
人気が出そうなキャラ名を挙げると、「お、こいつまだ生きてるな」ってわかっちゃうから、挙げられないところが辛いです。


さすがに主な登場人物の名前は覚えましたが、次々に出てきて、発言したり戦ったり死んだりしていく騎士たちや家来の名前は全く覚えることができません。
っていうか、無理。
10行以上にわたって、戦闘で功績があった騎士の名前が挙げられている部分は、目が拒絶反応を起こしました。



あとは…、あ、そうそう。
一箇所、名前ミスを発見しました。
下巻の真ん中あたり、Aという人物の話だったのに、突然その場所には絶対いないBの名前が、そこでなにか動作したかのように出てきたのです。
性別、カタカナ3文字は同じだけど、全然違う名前なのになぁ。
普通に読んでいると、「あれっ?!」って気づくような間違いでした。


食事のシーンも多くて、食べたいと思うもの、食べたくないと思うもの、色々出てきます。
ワインを温めて、シナモンなどの香辛料や、干しぶどう、りんごなんか入れたりしてます。
美味しいのかな。試したくはないけど…
で、みんな、よくアルコールを摂取しています。
子どももワインを飲むし、朝からビール飲むのが普通みたいだし。
欧州では、そういう習慣があるのかなぁ。