てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

重力への挑戦

2008年04月25日 | 読書
創元SF文庫から「復刊フェア 2004」として出た本を読みました。
作者はハル・クレメント

amazonで調べてみたら、
1985年にハヤカワ文庫から「重力の使命」というタイトルで出てますね。翻訳者は浅倉久志。
その前に1965年(古っ!!)に早川書房からの本があるみたいです。翻訳者不明。タイトルは「重力への挑戦」。
でと、私が読んだ文庫本をみると、初版は1965年ってなってるんですよ。翻訳者は井上勇。

う~ん、これってどういうことかな?
出版社が違うのに、同じ本を同時に出したということかなあ?
amazonのカスタマーレビューをみると、創元のは、訳文が悪いという評価ばっかり(2件だけど)。
確かに、なんどか繰り返し読み直した箇所がありましたねぇ。
特に最初のころは、「これ訳したの、誰じゃー?!」とちょっと怒りましたねぇ。
・・・私だって、浅倉翻訳本が他にあるって知ってたら、そっちを買いましたよ。。。


さて、内容を一口に書くと、
「メスクリンという巨大な惑星での冒険」
です。
この惑星は、赤道が3G、極地だと700Gという高重力で、しかも海は液化メタン、氷はアンモニアなんですよ。
北極に用事があるんだけど、700Gだから人間には無理っていうわけで、現地住民にお使いにいってもらいます。
これが、ファーストコンタクトになるんですが、そのあたりの話は省略されています。
こいつなら!と見込んだ原住民(南極在住)に、赤道まで来てもらったところから話がスタートします。
あ、船旅ね。
んで、まあ、いろいろ苦労しながら、未開の北半球を旅して北極まで行くという、そういう話です。

で、まあ、可愛いんですよ。
主人公のメスクリン人たちが。
ちょっと冒頭のシーンを絵にしてみました。


・・・小学生でも、もっとマシな絵を描くよ、
という感想はさておき、
これは、嵐の中、マストに登っているメスクリン人の姿です。
重力が軽い(3G)ので、ちょっとの風にも吹き飛ばされそうなんで必死です。
このシーンを目撃した主人公のメスクリン人は、
なんて危ないマネをっ!!落っこちたらどうするんだっ!!
と驚愕します。
最初に読んだとき、てっきりマストの上の方にいるのかと思いました。
でも、よく読むと、甲板に足が4本しかついていないとあったので
この絵の状態ですね。
こういう高重力ならではの話が、結構楽しいです。

あ、あと分かりやすいように、船の形を変えましたが、
本当は「いかだ」です。
っていうか、マストって、ほんとにこんなに高いか、不明。


難点は、メスクリン人の社会性について、何も書かれていないことかな。

昔のSFだけあって、文明・科学に対する見方が素直です。
特に、ラスト近くのメスクリン主人公の演説なんかは感動的です。