てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

夜の翼 シルヴァーバーグ

2006年02月13日 | 読書
再読。
とはいうものの、初読と同じと言えるぐらい、内容を忘れていました。
面白かったかどうかすら覚えていなかったので、
たぶん、つまらないこともなく、そこそこ面白かったかなあ?程度
だったのでしょう。

再読してすぐ、ファンタジー的なものとSF的なものが融合している独特の世界に魅了されました。

主人公は年老いた<監視人>。手押し車に計器を乗せて旅をしています。
この計器を使って超感覚を増幅させ、いつの日かやってくると言われている侵略者が地球に向かってきていないか宇宙空間を見張るのが<監視人>の仕事です。
旅の連れは、<翔人>の娘と、異形の<変形人間>の若い男。
<翔人>は蝶の羽根を持ち、夜、空を飛びます。移動スピードはずいぶん速いですが、他のものたちは飛べないので旅行は徒歩です。
<監視人>や<翔人>が、それぞれの職業ギルドに属しているのに対し、<変形人間>にはギルドがありません。どのギルドにも入ることができないという規則があり、他のものたちからは、嫌われ軽蔑されています。
他に、<記憶者>とか<大臣>とか<巡礼者>とか、様々な職業があります。
彼ら3人が帝都ロウムにやってきたところから、このお話が始まります。

衰退と滅亡、贖罪と再生と救済の物語といったところ。

なんか、このままゲームにできそうです。
FFならぴったりかな。
3人がロウムへいくところから始めればいいよね。
<監視人><翔人>は魔法使いで、<変形人間>は通常攻撃。
途中で仲間が入れ替わるところもいいし。
難点は主人公が老人ってところかな。
でもべつにいいじゃん、老人が主人公のゲームがあっても・・・。
駄目?
駄目なら、えっと<主人公>っていう新キャラ作る?

ヒューゴー賞とアポロ賞を受賞しています。
星雲賞も受賞したとか。

救済が安易ではあるけど、美しく繊細な話です。


初版1969年。

ロバート・シルヴァーバーグ  夜の翼
翻訳 佐藤高子
Nightwings

鋼鉄都市 アシモフ

2006年02月10日 | 読書
今まで未読でした。

遠未来の地球。宇宙に進出し積極的に植民政策を取る地球人と、そのときに遭遇した植民地で育った人類(宇宙人)は対立し、その結果、地球人は負け、地球に閉じ込められることになりました。
地球人は、高度に進化した都市(ドームかな?それとも地下都市?原題がThe Caves of Steelだから、地下都市かな。)で、階級社会を作り上げ生活しています。
そんなとき、宇宙人居住区で、宇宙人が熱線銃で殺されるという事件が起きました。
刑事である主人公と宇宙人ロボットがコンビを組み、この殺人事件解明に乗り出します。

というお話。


読んでいて、この宇宙人ロボットが、映画「アイ、ロボット」のサミーに思えてきてしかたがありませんでした。
小説中の説明によると全然違うのに。それに、洋服だって着てるのに。
それが原因で、変な方に考えが行ってしまい、結末はちょっと意外でした。
映画って、怖いです。

あとから考えてみると、どうして気付かなかったのか不思議なぐらい犯人がわかりやすい話なのになぁ。
単なる後知恵かもしれないけど。


それにしても、この鋼鉄都市、嫌な世界です。
逼塞した社会を描きたかったから、こんな階級社会にしたのでしょうが、本当にいやな世界です。
あ、でも、いまどきの社会風潮を考えると、最低の階級でも生きていくことはできるから楽でいいや~と考える人もいるかも。
階級によって、ゲームやネットができる時間が限定されるとか、特定の階級以上じゃないとできない面白いゲームがあるっていうと、話が別になってくるのかな。

主人公の奥さんの思考回路が理解不能で、ちょっとイライラさせられたけど、他は普通に楽しめました。


初版は1953年。
ハヤカワ文庫初版が昭和54年です。
翻訳は福島正美。

アイザック・アシモフ 鋼鉄都市
The Caves of Steel