a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

感想&舞台写真 from 『沖縄ミルクプラントの最后』

2017-03-19 07:35:55 | 東京公演
沖縄ミルクプラントの最后




「せっかく手に入れたのに仕事なのに、なくそうなんて」と言うセリフ、連合の原発30年廃止反対論理。
25年凍ったままの約束の品、マリンが何なのか思わせぶりな休憩タイム。
全駐労の弱体化、それはヤマトゥンチューの労働組合運動の弱体化を痛感させた。
沖縄方言の字幕が欲しかった。
「ベトナムの夕日」冷凍庫の中にしたたり落ちるしずくの幕切れが印象的だった。
(男)

沖縄の言葉を理解するのはちょっと難しいけれどそれの意味を理解できた時がものすごく楽しかったですし、
物語の初めが自分の生まれた年の同じ月だったので、なんか運命を感じながら観劇させていただきました。
沖縄の歴史のあった中、自分の今の中途半端な現状をかさねて自分に今何が足りないかとか、
もっとできることはないか考えていきます。
(21歳 男)



沖縄のこと、まだまだ知らないことが多いなと感じます。
少し前はやっと高江のこととか、知り始めたくらい……。
それほどまでに、“ヤマト”と“ウチナンチュー”の距離は遠いのだと感じます。
もっともっと沖縄のこと、政府や大きな力で苦しめられている人々がたくさんいるだろうと思いました。 
(31歳 女)

基地と雇用の問題はたいへん難しいですね。
まるで、原発の誘致派と反対派みたいな関係です。
「反対」と言うのは簡単ですが、失業率の高い所では、他の仕事への移行など考えないと行けません。
(58歳 女)



ストをすればするほど、自分たちの首がしめられていく現状、現実が本当につらかった。
(23歳 男)

知らないことが多すぎた。
沖縄の人たちがアメリカを本土に挟まれながら戦っていること、
「いつ自分たちで立てるようになるのか」というセリフが印象的だった。
同じ基地がある県なのに、沖縄とは待遇も全然違う? 
今も沖縄に対する差別意識があると思った。
基地はなくなってほしいけど、仕事は必要な人たちの葛藤、他人事にして、知らずにいてはいけないと思った。
もっと勉強したいと思った。
(23歳 女)



思いやり予算、ヤマト、本土……心につきささる言葉がたくさんありますね。
なぜあるのか、なぜそう呼ばれるのか、おかしなことはこのほかにたくさんあって、
でもおかしなことが成り立ってしまうのは、自分たちの責任ですね。どう運動するのか、
下地さん、委員長のやり取りは消化しきれないので、考えたいなと思いました。
(29歳 女)

ミルクプラントと言う小さな突き通して、
オキナワの過去や未来を垣間見ることができたようで、興味深かった。
なんだかせつない話でもあった。
オキナワの社会運動は、政治運動としてみれば、とても普遍性があるのに、
労働運動(経済的な運動)としてみると、とても特別なんだなとも思った。
(49歳 男)



東京演劇アンサンブル 春と秋の社会問題シリーズ(勝手に呼んでる)
今回は沖縄ミルクプラントの最后 昨日観て参りました。
対岸の火事と見て見ぬ振りをしていた沖縄問題。福島と重なり、このところ新聞を賑わす某社と重なる。
資本主義の縮図。前線は歪みをもろに食らってきた。
ある程度の犠牲は仕方がないと、基地問題、エネルギー問題、一部に押し付けてきた。
ところがいつの間にか1%の1%が資本を握り、猛スピードで駆け巡り、ごく一部に歪みが溜まってしまい、
押し付けていれば良いというレベルを超えてしまった。
ミルクはコップから溢れ、海を越え、あらゆるところの地盤を揺るがしている。
日本が誇るべき大企業も飲み込まれていく。
それでも日常がある。
矛盾を抱えつつ限られた条件下でも、将来ミルクプラントがなくなることがわかっていても、
社員は最後まで供給を優先し、美味しいミルクを作りたいと努力を続けた。
(女)

『沖縄ミルクプラントの最后』を見た。その山場のシーンで私は衝撃を受けた。
争議の結果、大半の労働条件は賃下げとなり、「これで勝利なのか?」と職場が騒然とする。
田端委員長がきっぱりと言う。
「大勝利ですよ。いつか米軍基地をなくした時の道筋をわれわれがつけたのです。ミルクプラント方式でやれ、と」。
基地をなくした時に、基地で働く労働者の生活をどうやって守るか、それを射程に入れてたたかったのだと。
私も福島原発事故の自主避難者の一人、電力総連組合員でもあります。
逃げた方がいいけど、逃げたら生活はどうなる? 原発はない方がいいけど、原発で働く人はどうなる? 
本質的に似たような構造の矛盾は本土にもある。
鬼のように嫌われる電力会社だが、そこで働く7割は工業高校を出て現場で汗する作業員。
これなら失業はないだろうと電気の道に進んで、気がついたら原発で働いていたりする。
原発維持を掲げ、民主党に影響を行使する電力総連の生命線は「仕事と生活の確保」。
ほんとに原発続けてていいの?と組合員が疑問を感じても、「原発は安全です」という本部の意見に生活をかけて反対する知見も自信もない。
「とりあえず自宅のローンが払えれば…」と日々は流れていく。
戦後の混乱期、電力労働者は電気を止めて「電産型賃金」と呼ばれる生活給ベースの賃金体系をかちとった。
その反動もすさまじく、「電力ストだけはやらせるな」というのが電力会社と電力総連の原点となって今日に継承されている。
「原発を止めろ」「経産省と電力会社は最後まで雇用を守れ」という電力労働者の闘争が起きたら…?
今まで想像したこともなかったが、沖縄ではこれとほとんど同じ次元の闘争が、現実に、大衆的にたたかわれ、勝利していた。
そんなことが、可能だったんだ…。
「われわれは基地をなくす端緒をつかんだのだ」と高らかに宣言する田端委員長の姿に鳥肌が立つほど揺さぶられた自分がいる。
そう、確かに、原発推進のこの同じ電力労働者が、かつては生活を守るために電気を止めたんだよね。
条件が整えば、それくらいのことはありえるのだ。
「どうせダメ」なんて言うな、あきらめないでもがき続けろー田端委員長の一言は今も自分を揺さぶり続けている。
(50歳 男)



昨日は、素晴らしい公演を拝見させていただき、ありがとうございました。
坂手さんの沖縄作品は、以前からとても関心があったので、本当に貴重な機会でした。
決して大きな事件を取り上げているわけではないにもかかわらず、
米軍占領やベトナム戦争など戦後の沖縄の複雑な歴史が凝縮され、
同時に基地返還後の未来も照射されて、初演から20年を経ても、まったく同時代性が失われていないことには感銘を受けました。
その一方で、変わらぬ現実への虚しさも感じましたが。
丸木美術館でも沖縄をテーマにした企画展を開催し、今日からは高江の写真展もはじまりました。
東京から沖縄に近づこうとすればするほど、沖縄は遠ざかる気がします。
それは、なかなか辛いことではあるのですが、それでも思い続けていくより仕方ないのでしょうね。
ともあれ、素晴らしい熱演、濃密な舞台を作り上げられた皆さまに、心から感謝いたします。
(男)


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東京演劇アンサンブル公演
沖縄ミルクプラントの最后

作 坂手洋二
演出 松下重人



美術 香坂奈奈
音楽 菊池大成
音響 勝見友理(ステージオフィス)
照明 真壁知恵子
歌唱指導 菊池大成
方言指導 宮城康博
ピアノ演奏 菊池大成
衣裳 竹内陽子
宣伝美術 竹内陽子・奥秋圭
映像操作 永濱渉
舞台監督 入江龍太
制作 太田昭

3/9  木 19:00
3/10 金 19:00★◆
3/11 土 14:00◆
3/12 日 14:00
3/13 月 休演
3/14 火 19:00◆
3/15 水 19:00★
3/16 木 19:00◆
3/17 金 19:00
3/18 土 14:00
3/19 日 14:00
★=Low Price Day

◆会場
ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

◆料金 
当日=4500円
前売一般=3800 円
前売学生=3000 円
★=Low Price Day 2500 円

全席自由
開場は開演の30分前
入場は整理番号順。

キャスト
田端良顕(たばたりょうけん)・・・竹口範顕
与那嶺常政(よなみねつねまさ)・・雨宮大夢
仲村秀喜(なかむらひでき)・・・・三木元太
城間耕一(しろまこういち)・・・・和田響き
屋良直(やらただし)・・・・・・・熊谷宏平
平安年男(ひらやすとしお)・・・・坂本勇樹
砂川真栄(すながわしんえい)・・・小田勇輔
平良清信(たいらせいしん)・・・・伊藤克
伊佐寛徳(いさひろのり)・・・・・大橋隆一郎
国吉朋子(くによしともこ)・・・・洪美玉
下地末子(しもじすえこ)・・・・・原口久美子
久貝孝子(くがいたかこ)・・・・・冨山小枝
新川葉月(あらかわはづき)・・・・永野愛理
神山文枝(かみやまふみえ)・・・・町田聡子
与那嶺香織(よなみねかおり)・・・正木ひかり
松田(まつだ)・・・・・・・・・・上條珠理
佐久川(さくがわ)・・・・・・・・仙石貴久江

◆お申込・お問合せ
東京演劇アンサンブル
TEL:03・3920-5232 FAX:03-3920,4433 ticket@tee.co.jp

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山城議長保釈の翌日に ()
2017-03-19 21:09:28
ヤマトと米軍の二重支配、琉球と薩摩の二重支配に苦しんだ与那国島のコティンダのことを思い出しました。沖縄のフェンスは米軍基地を取り囲んでいるのか、沖縄の人々を取り囲んでいるのか、二重支配の沖縄の人々のアイデンティティは・・・?
1995年、ボクが初めて沖縄に行ったのは1988年でした。労働運動が連合化して闘いが消えていった時代、沖縄でもストも打てなくなったのですね、仲村くんの難しい立場は沖縄そのものように見えました。
パレスチナ→沖縄へ、流れの必然のように感じました。アンサンブルはさらに先へ、期待しています。
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