雑感録

大団円恐怖症と悪人の描き方

先週は珍しく週に2本も劇場で映画を観て、どっちもむちゃくちゃ面白かったんだけど、ソラリアシネマで観た邦画は最初は悪人だった主人公があることをきっかけに“いい人”になっちゃうという話で、話が進むにつれて周りもだんだん“いい人”になってきて、このままハッピーエンドで終わっちゃって、結果“つまらない映画”になってしまうんじゃないかとハラハラしてしまった。
結局「むちゃくちゃ面白かった」って思ったってことは、僕ごときが余計な心配をするような駄作ではなかったってことなんだろうけど、どういう風に話を収めたのかは、実際に映画館でご確認ください。

ところで映画には付き物の“敵役”ってやつ、敵役に感情移入されては困るので、敵役には憎たらしいくらいの悪人がいいんだろうけど、中途半端にやると役者としてマイナスイメージがついてしまう。
その点、今回敵役に選ばれた大物役者は豪快な悪人っぷり。
なるほど、敵役にするには文句の出ないような大物を、海外でいえばアンソニー・ホプキンスとかロバート・デ・ニーロみたいなのを使えばいいんだなあって感心した次第なんだけど、悪役を描かせると右に出る者がいないのは、スピルバーグ先生。
スピルバーグ先生は悪人にも情けをかけると言うか、悪人を描くのにも救いを施す。
例えば「カラー・パープル」。娘に暴力を振るいまくる、黒人なのに悪人のミスター(役名)をさんざん酷い人間として描いておきながら、エンディングでは遠巻きに主人公たちを眺める穏やかな表情のミスター…。
小説が原作の映画なので、わざとそういう作品を選んだのか、スピルバーグ先生がそういう風に演出したのかどうかは分からないけど、なんかそういうところにスピルバーグ先生の人間に対する優しさが感じられて仕方がないのです。

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