奈良市街の西方,生駒へ至る間には,国宝指定されている秀麗な本堂が三堂あります。
富雄川の支流湯屋川の流れに沿って堂塔が建つ霊山寺は鎌倉時代1283年(弘安6年)の築
で,和様仏堂の代表作の一つです。
ここにはもう一つ,重文指定の三重塔があるのですが,訪れたときは相輪の修理中で撮影を
止めてしまいました。もう一度訪ねたい寺院です。
伎芸天の有名な秋篠寺の本堂も鎌倉時代和様仏堂の代表作ですが,霊山寺と見比べる
と,秋篠寺の方は奈良時代の建築を思わせます。
長弓寺は,同じ鎌倉時代1279年(弘安2年)の建立でも密教仏堂の代表作です。
和様の中に桟唐戸・頭貫(かしらぬき)の木鼻など,大仏様が採り入れられ,新和様の典型と
されています。
もともと重塔の仏塔美に惹かれて撮影し始めたのですが,国宝級の金堂・本堂も巡るようにな
って,塔の立体とは異なった広がりの美しさを感じ入るようになりました。