原題:『Nomadland』
監督:クロエ・ジャオ
脚本:クロエ・ジャオ
撮影:ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ
出演:フランシス・マクドーマンド/デヴィッド・ストラザーン/リンダ・メイ/シャーリーン・スワンキー
2020年/アメリカ
「現代のノマド」の心情について
2011年1月31日にネバダ州にあるUSジプサム社のエンパイアの工場の閉鎖に伴い、工場に頼っていた街そのものが無くなってしまい、主人公のファーンは故郷を失い、「ヴァンガード」と呼んでいるRV車の中で暮らしながら2012年頃にアマゾンの物流倉庫で働きながら、繁忙期以外は日雇い労働者として各地を回っている様子が描かれている。
ファーンは「現代のノマド」という生き方を選んでいるということなのだが、故郷を失った時点で「ノマド」を強いられているようにしか見えないし、カリフォルニアに住んでいる姉に少なからぬお金を無心しているのだから完全に自立しているわけでもない。その上、姉や、旅先で知り合ったデヴィッドに一緒に住むことを提案されても拒絶してしまうのだから、これは人生の選択というよりも諦念にさえ見える。
本作は高評価を得ているのだが、ファーンと同じようにノマドな生活をしている人々誰もが多かれ少なかれ心を病んでいるようにしか見えず、ノマドという生き方を選んでいる本物の遊牧民族とは違うというのが偽らざる個人的な感想である。
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