原題:『미나리』 英題:『Minari』
監督:リー・アイザック・チョン
脚本:リー・アイザック・チョン
撮影:ラクラン・ミルン
出演:スティーヴン・ユァン/ハン・イェリ/アラン・キム/ノエル・ケイト・チョー
2020年/アメリカ
スピリチュアルを巡る物語について
時代はロナルド・レーガンが大統領の時代だから1983年の6月から8月あたりだろうか。主人公で韓国系の移民のジェイコブ・イーは孵卵場でニワトリのヒナの雌雄鑑別という仕事で一生を終わらせたくないという想いから妻のモニカと娘のアンと7歳の息子のデヴィッドと共にアーカンソー州の田舎へ引っ越し、農業で一発当てることを目指すのだが、後にデヴィッドが友人のジョニーの家に遊びに行った際に彼の父親が「前の土地の所有者は農業に失敗して自殺してしまった」と言っているようにその土地は農業に向いていないのである。
当初、ジェイコブはダウジングのような非科学的なことを信じず、自ら井戸を掘って農業用の水を賄っていたのだが、すぐに水が枯れてしまい水道水に頼った結果、深刻な水不足を招いてしまう。
やがてジェイコブは韓国から招いた妻の母親のスンジャも連れて教会の集会に参加し、自分の仕事を手伝ってもらうポールは毎週の集会の帰りに大きな十字架を背負って長い道を歩いており、後にジェイコブの家に招かれたポールは悪魔祓いの儀式をすることになる。実際にデヴィッドの心臓が改善されることと「取引」したようにスンジャは脳卒中を患うことになる。
さらに悲劇は続き、デヴィッドの心臓の検診のために病院へ行った帰りに家の納屋が燃えているのを4人は見つける。家に残してきたスンジャが不必要なものを整理するために燃やそうとしたのだが、体が不自由になっていたために飛び火の始末に失敗して納屋に燃え移ってしまったのである。
本来ならばジェイコブは義母に対して激怒するところなのだが、そのような気配を見せないのは、ジェイコブが選別した雄の雛は食用にもならず卵も産まないから焼いて処分されることを知っており、そのような雄の雛と失敗続きの自分自身が重なって見えたのだと思う。
その後、ジェイコブは井戸を作るためにダウジングを頼むことになるのだが、つまりこの物語は主人公のアメリカナイズというよりも「クリスチャン化」と言った方が相応しいと思うのである。
gooニュース
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