![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/dc/9634929d22a2cc765bf15af01bfc99e6.jpg)
原題:『Atomic Blonde』
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:カート・ジョンスタッド
撮影:ジョナサン・セラ
出演:シャーリーズ・セロン/ジェームズ・マカヴォイ/エディ・マーサン/ジョン・グッドマン
2017年/アメリカ
成熟した「美少女ヒロイン」について
このスタイリッシュな映像はどこかで観たことがあるなと思ったら、『エンジェル ウォーズ』(2011年)などを撮っているザック・スナイダーの作風そっくりなのであるが、これは脚本を担ったカート・ジョンスタッドが『300 〈スリーハンドレッド〉』などでスナイダー作品の脚本に参加していた影響があると思う。
過去の名作を「サンプリング」することで上手くいった例として『猿の惑星: 聖戦記』(マット・リーヴス監督 2017年)を挙げたばかりだが、本作は「サンプリング」がアートか盗作かという議論が実際にされている。選曲に関しては文句のつけようはないし、例えば、『ストーカー』(アンドレイ・タルコフスキー監督 1979年)が上映されている劇場のシーンにおいて、その映画の暗喩としてロレーン・ブロートンが敵方に「ストーカー」のように追われていると解釈されているように見えるのではあるが、本作の最後で分かるようにブロートンは「科学者」と「作家」を翻弄する「ストーカー」と呼ばれる主人公を体現しているのである。
しかし本作が本当に面白く見える理由はそのような理屈云々ではなく、ひとえに主人公のロレーン・ブロートンを熱演したシャーリーズ・セロンの「力業」によるものであろう。