原題:『居酒屋ゆうれい』
監督:渡邊孝好
脚本:田中陽造
撮影:藤澤順一
出演:萩原健一/室井滋/尾藤イサオ/山口智子/八名信夫/三宅裕司/西島秀俊/橋爪功
1994年/日本
「ゆうれい」だけにはこだわる演出について
本作の見どころがどこにあるのかと思案するならば、主人公の壮太郎の妻のしず子が亡くなった後になって嫉妬から幽霊となって壮太郎の前に現われたことと、円山応挙の作と言われる幽霊画の掛け軸だけではなく、壮太郎の兄の豊造が弟のお見合い相手として紹介しようとしていた里子がお見合い前から壮太郎の前に幽霊のように現れたり、壮太郎が営む居酒屋「かづさ屋」の客の一人である佐久間の娘の理恵や、常連の寺岡辰夫が連れてきた元女房のカスミの唐突な出現など、本作に登場する女性の誰もが多少なりとも「幽霊性」伴っているくらいで、ストーリーそのものはテレビドラマの域を超えていない。壮太郎が寺岡が関わっている野球賭博の賭け元の連絡先をどのように知ったのだろうか?
本作の脚本は『夏の庭 The Friends』(相米慎二監督 1994年)と同様に田中陽造が担っており、シリアスなドラマはともかくこのようなコメディー作品は不得手ではないのかと感じた。