ランウェイ☆ビート
2011年/日本
配役の巧妙
総合
80点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
前作の『ジーン・ワルツ』の演出に違和感が残り、その不安が『ランウェイ☆ビート』の観賞をためらわせていたのであるが、演出に関して言うならば相変わらず雑駁な印象が残った。別に公立高校が在校生を残したまま、廃校になるという常識では考えにくいということや、いくら商店街が総力を挙げて作ったとしても到底有り得ないほどのクオリティーの高いファッションショーのステージを論うつもりはないのであるが、例えば主人公の溝呂木美糸が上京して最初に父親の事務所に入っていった時に、ファッションデザイナーである父親の溝呂木羅糸ならばファッションチェックをしていたモデルの服の善し悪しを瞬時に判断するはずだし、あるいは立花美姫が学校の文化祭でファッションショーをしようとした時に風間トオルが演じるアパレルの社長が美姫に対して「何とかビートというショーをするらしいが」と嫌味を言うのであるが、‘ランウェイ’というのはファッションショーのステージを指す業界用語であり、ビートが‘敵対相手’の名前なのであるから、「ランウェイ何とかというショーをするらしいが」と言うことが嫌味として正しいはずである。ファッションをテーマにした作品であるのならば他の演出は甘くてもせめてファッションに関する演出は的確でなければ作品が締まらない。瑣末なことではあるが、細かな配慮の積み重ねこそが作品を良い方向に導くことは言うまでもない。
目が疲れるほどのハンディカメラの多用も画面を落ち着かせないことにしか貢献していないように思えるが、そのような演出や脚本の不備を補って余りあるキャスティングが素晴らしく、十分に青春の煌めきが感じられると思う。それならば今までの屁理屈は何なのかと我ながら疑問を抱いてしまうのだが、非常に残念なことに肝心の返す言葉がない。
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