原題:『日日是好日』
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣
撮影:槇憲治
出演:黒木華/樹木希林/多部未華子/郡山冬果/荒巻全紀/南一恵/鶴田真由/鶴見辰吾
2018年/日本
最良の演出と巧者たちの幸福な出会いについて
主人公の典子が好きな映画としてフェデリコ・フェリーニ監督の『道』(1954年)を挙げているのだが、女子2人の日常の淡々とした風景描写は明らかにエリック・ロメールの「喜劇と格言劇」や「四季の物語」シリーズを意識した演出であろうし、最後で海辺で主人公の典子が亡くなった父親に遭遇する場面などはアンドレイ・タルコフスキーの作風を想起させる。
いずれにしてもブルース・リーが唱えるような「考えるな、感じろ」という茶道の本質を理解する上で本作ほど良質なものが他にあるのだろうかと思わせるほど良くできていると思う。特に樹木希林の「最初から茶道の師範でした」感の醸し出し方は尋常ではない面白さがある。
樹木希林が演じた武田先生は裏千家だったはずだが、エンドクレジットで表千家が協力していると表記されているのが興味深い。つまり別に派閥争いという意味で分裂しているのではないということであろう。
端役でよく見る顔があると思ったら山下美月だった。