MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『おとなの恋は、まわり道』

2019-01-06 00:54:08 | goo映画レビュー

原題:『Destination Wedding』
監督:ヴィクター・レヴィン
脚本:ヴィクター・レヴィン
撮影:ジョルジョ・スカリ
出演:ウィノナ・ライダー/キアヌ・リーブス/テッド・デュボスト
2018年/アメリカ

性格の悪さを超える孤独の厳しさについて

 絶縁中ではあるが異母兄弟のクランクと、元恋人だったリンジーがキースの結婚式に出席するために偶然出会った場所は空港だったのであるが、フランクがリンジーに話しかけながら自分が列の先に立とうとする行動からいきなり険悪な関係に陥る。
 席が隣同士になったり、部屋も隣同士になったり、結婚式の会場でも同じテーブルにさせられたりした結果、2人は嫌味を言い合いながらも何故かキースを含めて2人に話しかけてくる人間がおらず2人で会話をせざるを得ない状況に追い込まれ、ついには2人で車で訪れたぶどう畑で遭遇したピューマから逃れた後、安心したことも手伝ってなんとなくキスした後に、文句を言いながらセックスまでするのであるが、リンジーが絶頂に達した後も、フランクは必死に腰を動かしており、ここでも気が合わない。
 それでもリンジーは「ストレート」な男根を気に入ったのかそれとなくフランクにアプローチするのであるが、フランクは全くリンジーに興味を示さないまま、2人はそれぞれのタクシーで帰宅することになり、いつものようにフランクはテレビの討論番組にイライラしており、リンジーは枯れそうになっている観葉植物に話しかけている。そんなリンジーの家に突然訪れてきたのは言うまでもなくフランクなのである。
 最初はウディ・アレンの映画のような雰囲気なのであるが、ウィノナ・ライダーやキアヌ・リーブス以外の俳優も出演しているにも関わらず、2人だけのダイアローグに終始し、本作が前衛作品であることがわかる。このアヴァンギャルドな作品が何を言いたいのか勘案するならば、他の登場人物だけでなく、観ている観客からも共感されない人物たちであっても他に相手がいなければ交際に発展するというもので、原題の「デスティネーション・ウエディング」とは「運命づけられた結婚」という皮肉ではないのだろうか。


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