国立新美術館で催されている「ルーブル美術館展」では別の発見もあって、例えば上の作品は
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot)の『コローのアトリエ
(The Studio of Corot)』(1873年頃)なのであるが、どこかで見たことがあると思っていたら、
三菱一号館美術館で現在開催されているワシントン・ナショナル・ギャラリー展の『芸術家のアトリエ
(The Artist's Studio)』(1868年頃)とそっくりだった。晩年のコローは売れっ子の画家で
大量の客の注文に応じていたらしく、このような同じ構図の作品が生まれたようであるが、2作品の
違いは『芸術家のアトリエ』で当初、犬がいる場所に『コローのアトリエ』においては鞄に置き換えて
いることで、犬の「視線」を除くことで絵を見つめる女性の視線を強めようとしたのだと思う。
『芸術家のアトリエ』