パーフェクト・ワールド
1993年/アメリカ
2つの弾丸
総合
100点
ストーリー
0点
キャスト
0点
演出
0点
ビジュアル
0点
音楽
0点
この作品を「脱獄犯と人質の少年との交流、そして男を追う警察署長の苦悩を描いた犯罪ドラマ」として観てしまうとこの作品の良さは理解できないと思う。何故ならこの作品は明らかにロード・ムービーだからだ。
脱獄犯ブッチ・へインズがフィリップの家へ押し入り、フィリップに拳銃を持たせて自分に銃口を向けさせて「手を上げろ」と言わせた時、ブッチは「パーフェクト」と言う。
そしてそれは世話になった黒人の家の中で現実となりブッチは撃たれてしまう。ただの脅し(threat)を現実(fact)に出来るまでのフィリップの心の成長が皮肉を込めて描かれる。
ここではこのように‘息子’の心の成長だけではなく‘娘’の心の成長も同時に描かれている。
レッド・ガーネット署長はサリー・ガーバーという犯罪学者と車に乗ってブッチを追いかける。勉強の成果を駆使するサリーはしばしばレッドと意見が衝突する。しかしレッドの判断が正しかったにもかかわらず、ブッチが銃殺されてしまったことに衝撃を受け、理論(theory)を凌駕する現実(fact)を学ぶことになる。
この作品が感動的なのはこの2人の心の成長に多大な貢献をしたのが、偉人でも尊敬されている人間でもない、むしろ社会的には軽蔑され愛されることのないただ一人の脱獄犯の無残な死であるということなのだ。