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「中国史とつなげて学ぶ日本全史」岡本隆司

2024年07月05日 08時07分02秒 | 読書(台湾/中国)


「中国史とつなげて学ぶ日本全史」岡本隆司

P38
もともと「律」とは儒教の「礼」を転化し、強制力を持たせたもの、つまり礼を法律化したものを指します。また「令」とはもともと君主による命令のことです。したがって、律令は仏教とは関係なく作られ、古来ずっと中国政治の基盤になってきました。

P76
鎌倉幕府も温暖化を前提として成立していました。
(中略)
そこで室町幕府以降の最大の課題は、寒冷化という環境にどう対応していくか。

P80
京都に本拠をすえた足利幕府は、多数の守護大名による連合政権だったということです。(中略)これをどう安定させるかが長年の懸案でしたが、ついぞ解決することのないまま応仁の乱を迎え、その後の戦国時代を招いたわけです。

P97
自分が天下統一を果たそうとか、その頂点に立とうという野望を持つ大名はほとんどいなかったと思います。
ほぼ唯一の例外が織田信長で、(中略)日本の歴史上では空前、突然変異的な人物といっていいでしょう。

P132
勘定奉行の荻原重秀はそれ(デフレ)に対処すべく、金銀の含有量を減らした貨幣に改鋳して流通量を増やそうと試みますが、続いて登場した新井白石がその政策を否定し、貨幣の価値を元に戻しました。これによってデフレが進行したわけです。
そのあと登場した吉宗も、とりあえず通貨政策を棚上げし、ひたすら新田開発と米の増産に邁進します。(中略)吉宗は「米将軍」とも呼ばれますが、それはけっして尊称ではなく、むしろ米の増産しか経済政策を打ち出せず、米価の下落に有効な手を打てなかったことを揶揄する汚名と考えるべきでしょう。

【ネット上の紹介】
気候変動、人口動態、経済ネットワーク…。アジア史の視点から俯瞰的に捉えた意欲作、教科書で語られない「真実の日本史」。
第1章 日本史は中国の“コピー”から始まった 古代~平安時代
第2章 アジア・システムからの離脱 平安時代~鎌倉時代
第3章 「日本全体が入れ替わった」時代 室町時代~戦国時代
第4章 「国家」の成立 江戸開府~元禄・享保時代
第5章 「凝集」する日本 享保時代~開国前夜
第6章 開国と日中対立の始まり 幕末~明治維新
第7章 朝鮮半島をめぐる外交と戦争 明治時代
第8章 アイデンティティの破滅へ 大正時代~昭和時代初期
結 現代への展望