「一億円のさようなら」白石一文
とても面白かった。
ストーリーは、長年連れ添った妻の秘密を知ることから始まる。
妻に隠し財産があったのだ・・・それも48億円!
P55
鉄平は固唾をのんで北前弁護士の答えを待った。
「そうですね。30年前に加津代ヘンダーソンさんから相続した遺産が日本円で34億円余りで、そのうち2億円がトロント・バイオテクニカル社の株式になり、この株式が時価で16億程度と見積もられていますので、総額にしますと34億マイナス2億プラス16億で大体48億円程度という金額になるかと思います」
P416
「先輩、とにかく商売は追いかけちゃ駄目なんです。どんと受けて立たないと」
P650
夫婦が別れるというのは、「結婚生活」を解消するということだが、「結婚」を絶つのは案外簡単でも、長年二人で慣れ親しんできた「生活」を絶つのは容易ではないのだ。「離婚」に先立ってまずは「別居」を選ぶ夫婦が多いのもそのせいに違いなかった。互いの「生活」が一新しないことには「離婚」はままならない。
【備考】
上高地ツアーに持って行って現地で読み切った。
文庫本2冊くらい相当の厚さだが、これしか持ってきてないので、逸る気持ちを抑えて、早く読み進まないよう調整しながら読んだ。
【ネット上の紹介】
加能鉄平は妻・夏代の驚きの秘密を知る。30年前、夏代は伯母の巨額遺産を相続、そしてそれは今日まで手つかずのまま銀行にあるというのだ。その額、48億円。結婚して20年。なぜ妻は隠していたのか。発覚した妻の巨額隠し資産。続々と明らかになる家族のヒミツ。爆発事故に端を発する化学メーカーの社内抗争。