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【ぼちぼちクライミング&読書】

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【寄稿文】カリムノス(ギリシャ) クライミング日記『前編』

2012年01月19日 22時34分45秒 | クライミング(寄稿文)

年末年始、京都のiidaさんがギリシャに行かれた。
そこで、寄稿文をお願いした。
次がその文章である。(読んでいて行きたくなる、そんな気分)
さっそく、読んでみて。

 【寄稿文】カリムノス(ギリシャ) クライミング 日記 『前編』

             京都府勤労者山岳連盟 チームクラマグチ by iida

 

数年前のロクスノに掲載されたエーゲ海をバックにしてのクライミング写真。それは衝撃的だった。登ってみたい!これがカリムノスツワーの原点だった。その後,友人たちが5月と11月にこの地を訪れ,様々な情報を提供してくれた。だが,正月休みにカリムノスに行ったという記録は,インターネットで検索してみても全くなかった。理由は簡単だった。①雨季に入る②気温が低い(最高気温10℃くらい)③岩場に太陽が当たらない(現地で発見)だった。更に,冬のエーゲ海は暴風のため船や飛行機が欠航することが多いらしい。条件が悪く登れないことも覚悟したが,カリムノスの岩峰はそれらを越える魅力があった。

 

2011年1223日(金) 晴れ 

 19時,あわただしく我家を出発。今回は,時間的に余裕があるので,JRを利用した。関西国際空港着,2140分。いよいよギリシャ・カリムノスへ出発だ。エーゲ海の青い海。どこまでも続く石灰岩の岩峰。

 

      1224日(土) 晴れ 

カタールのドーハで友人と合流。アテネ着12時,コス島着1450分。コス島の港は,波が高く,停泊中の船が上下に揺れている。出発まで1時間,レストランに立ち寄りお茶休憩。その後,波が荒い中を,カリムノス島に向け出港。港には,サキスの奥さんが迎えに来てくれていた。買物をしながら,宿泊地のサキススタジオへ。長い旅だった。日本を出発して,約24時だ。

カリムノスの港

   12月25日【日】晴れ


 
8時に出発して,宿から一番近いPOETSの岩場へ。岩の傾斜もなく,雨だれホールドが多い。Quando Tramonta il Sol 6aStyx 6aを登る。午後,PANORAMAへ移動。 Panselionos 6b+とAegean Sea 7A+を登る。 Aegean Sea は,上部の核心であえなくフォール。とても難しく感じた。コルネの洗礼にあい,サキスの宿へ。

【POETS】
Quando Tramonta il Sol 6a   OS

Styx 6a   OS

PANORAMA

Panselionos 6b+   OS
Aegean Sea 7A+  ×

 

 1226日(月) 晴れ


2
日目,GRANDE GROTTA へ。Monahiki Elia 6a  でアップ。長くておもしろい。次に,DNA 7aをトライ。以前のトポでは7a+だったが,新トポでは7aに格下げ。傾斜はあるが,ガバルート。楽しく登らせてもらった。Ivia+へ。このルートも7bから7a+に格下げ。やや細かいが,基本はガバだった。その日は,夕日がとても素敵だった。

 夕方,宿代1人あたり162ユーロを支払う。車のバッテリーを代えたいが,お金がないので早く支払ってくれとのこと。サキスの主人はとてもお喋りだ。チェルノブイリ原発事故の影響で,エーゲ海のサンゴや海綿が打撃的な被害を受けたこと。主人の父親が2000年前の宝を海から引き揚げたことなどを話してくれた。

GRANDE GROTTA
Monahiki Elia 6a   F  
DNA 7a        F

Ivia+         OS

 

GRANDE GROTTAの岩場 

1227日  晴れ

 今日は,レスト日。カリムノス観光と買出し。バスでカリムノスの港方面に行く予定だったが,いつまでたっても来ない。しびれをきらして歩くことにする。マスウリの町を抜け,急な上り坂。ヘェアピンカーブが続く。ジグザグ道路を登りきり,峠を越える頃,サキスの主人が車で通りかかる。大きく手を振ると,止まってくれたが,その車はバッテリーが弱っていたため,エンスト。車を主人の息子と3人で押して,エンジンをかける。車に便乗させてもらって,Chora Castleに到着。Castleの見学。予想していたより,広く高い。戦いが起こると町の人は城に上がり,終了すると町で生活していたらしい。

 見学後,カリムノスの町へ徒歩で行った。日本円をチェンジしようとしたが,セキュリティが厳しく,換金できない。港で博物館を訪問するが,休館日。買物と食事をして,バスでサキスへ。バス代は,1.5ユーロだった。
               

   1228日(水) 晴れ

 
 暖かいところで登りたい。
830分の船に乗り,隣の島TELENDOS ISLAND へ。船に乗っていると,船長から「どこに行きたいのか?」と聞かれる。トポを見せると,「25ユーロ出せば船でいけるよ。」とのこと。時間短縮を考え,お願いすることにした。結果的には,良い判断だった。CRYSTAL CAVE は,取り付きまでが非常に悪路で2級程度の岩登り。緊張の連続だった。Stalas 6bでアップ。

Nectarios 7bにトライした。ハンガーが腐っているうえ岩が非常にもろい。入山者が非常に少ないからだろう。ロングルートで,80mロープでぎりぎりだった。3時下山開始。我々が入山したルートよりやさしいルートを発見。ペンキでマーキングされていた。1時間20分あまりで港へ。アプローチも遠いので,おすすめできるエリアではない。

その後,後発隊とも無事合流。ロストバケッジにて,航空会社とすったもんだあったようだ。荷物が明日届く事を願って,レストランで乾杯!

TELENDOS ISLAND
Stalas 6b   OS
Nectarios 7b  ×

12月29日(木) 曇り

 後発隊の荷物が11時にカリムノス空港に到着するということで,一安心。我々は,一足先にPANORAMAエリアへ。Carpe Dlem 6bNeptum Kl 6cでアップ。Aeolia Extension 7a+ へ。下部フェースがとても細かい。右往左往しながら,右上コルネへ。この部分は快適だ。下部が終わり上部核心へ。コルネに身も心も果てながら終了点へ。

 続いてRastapopoulos  Extension 7b へ。7bになると心してかからねばならない。核心は上部だった。数ヶ所がんばればレストポイントなのだが・・・。パンプした腕を回復させながらの会心のクライミングだった。

 夜は,レストランへ。地元の人の忘年会だろうか?とてもお客さんが多い。日本からの土産,京ちよ紙を取り出し鶴と船を折った。レストランの娘さんがとても喜んでくれ,いつもちよ紙を握ってレストランをうろうろしていた。

 帰りにネットで天気予報を確認。明日は,雨。明後日は,雨の予報だっだ。


PANORAMA
Carpe Dlem 6b OS
Neptum Kl 6c  F
Aeolia Extension 7a+  F
Rastapopoulos  Extension 7b OS

1230日(金) 曇りのち雨

明日は雨予報なので,3連続のクライミングではあるが,登りに行くことにする。新しいエリア,SPARTACSへ。Harakiri 6b+でアップ。気温が上がり,エーゲ海からの潮の影響だろうか,岩がぬめっている。昨日までのコルネ中心のクライミングと変わり,ポケットホールドの連続。ガバポッケを楽しみながら終了点へ。

次に,Spartacus 7b+にトライ。下部コルネは,スムーズに登れたがポケットホールドが連続するころ頃からムーブが悪くなり,あえなくフォール。上部のポケットも難しかった。Kerveros 7aにトライ。核心部は突破したのに・・・上部でフォール。

午後3時頃から雨が降り始める。幸い傘を出すことなく,サキスへ。4時から熱いお湯でシャワーを浴びようと期待して帰ったが,水だった。主人にボイラーのスイッチをいれてもらったが・・・。やはり水だった。そこで,大鍋にお湯を沸かし,頭と顔を洗う。熱いお湯なので一息つける。夕食までにビールとワインで0次会。

夕方,雷雨。夕食後は,豪雨の中を帰宅。靴も服も靴下もびしょぬれ。カリムノスは側溝もなく,道路は滝のように水が流れていた。  

サキスの宿
 

SPARTACS
Harakiri 6b+  F
Spartacus 7b+  ×
Kerveros 7a   ×

1231日(土) 曇りのち雨

夜中に激しく降った雨は,朝には止んでいた。今日はレスト日で,カリムノスの町へ。帰りの船の時刻確認とショッピング。10時のバスに乗り港へ。子どもたちがサンタの帽子を被りレストランなどを回って,大人から小銭をもらっている。お年玉なのだろうか?

海綿をお土産にしょうと,お店に。世界の海綿は,カリムノスが原産らしい。昼食は,近くのレストランへ。魚料理がおいしいらしい。魚のフライと焼き魚・スープ・ワイン。魚のフライはからっとあがっていて,とても美味しい。昼食の途中から雷の音とともに激しい豪雨。近くのスーパーで買物をしながら雨宿り。15時のバスに乗り込むが,道路が水没して通行止め。町は下水の設備がないのだろうか?降った雨は,ほとんど地中にしみ込むことなく町に流れ込む。山には,木や草もほとんどは生えていないので,保水力もほとんどない。一気に流れ下った水は,町のメインストリートへ。30分余りの通行止めも解除され,バスの運転再開。深さ30m余りの水流の中を500mほど走りマスウリの町に帰ってきた。下車時に1.5ユーロ支払うと「迷惑をかけたので運賃はいらないよ。」とのこと。

(以下、『後編』につづく)

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