【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「中国近現代史」岡本隆司監修

2022年07月21日 15時31分11秒 | 読書(台湾/中国)


「中国近現代史」岡本隆司監修

P46
曾国藩、李鴻章ら漢人官僚は、「洋務運動」と呼ばれる改革を進めます。スローガンは、中国の伝統を本体にして西洋の技術を応用する、という「中体西用」でした。

P53
義和団とは、道教や仏教をベースにした独自の宗教観を持ち、羲和拳という武術を使う集団です。

P135
相手にお辞儀をするときに頭を下げたり、謙譲語を使ってへりくだたりする行為は、もともと自分のほうが高い位置にいるから成立するという考え方なのです。
儒教をもとにして生まれた中華思想は、常に上下の差をはっきりと分かつ傾向にあり、これは身分制度にも色濃く反映されました。(中略)
こうして生まれた溝が、今なお格差として中国に強く根付いています。それもそのはず、中国で強く根付いて採用されていた登用試験の「科挙」は、儒教について問う試験なのですから。

P175
国民は戸籍のある場所でしか暮らせないのが原則で、農村戸籍者は、都市では都市戸籍者と同じような社会保障は受けられず、自給自足を強いられています。一方で、都市戸籍者は教育や福祉の面で優遇されているのです。つまり、この戸籍制度が国民の貧富の差を広げ、格差を決定的なものとしているともいえるでしょう。(中略)
格差が大きくなると庶民たちが反乱を起こし、王朝が交代するのが常でした。「秦」「唐」「宋」「元」「明」「清」どの王朝も反乱で終わっています。

P177
日本で官吏といえば役人(公務員)のことですが、中国では、10世紀頃の宋の時代から「官」は、政府の公務に当たる官僚、「吏」は各地方で現地雇用される事務労働者のことでした。

P178
末端で取りあげた税金は、上級官僚まで行き渡り、正規の俸給の千倍以上を着服してたとも。こうして「上から少ない俸給しか出ないため、下から賄賂で吸い上げる」という悪しき構造ができあがっていきました。(賄賂の伝統は根深い。だから一向になくならない)

【ネット上の紹介】
コロナ発生直後に武漢を封鎖できた理由、新疆ウイグルを弾圧するのはなぜか?など、見るだけで会話ができる!京都府立大学教授、中国史学の第一人者が伝授!
第1章 近い歴史を知れば、いまの中国がわかる 近現代の中国史(アヘン戦争は清王朝の終わりの始まり!?
太平天国の乱は清の土台を揺るがした象徴的事件
アロー戦争は清に怒濤のお仕置きをもたらした ほか)
第2章 根付いた原理を歴史から学ぶ 中国の思考原理(「中華思想」って一体何?
「朝貢」ってどんなしくみ?
「科挙」って何のためにあるの? ほか)
第3章 歴史をたどると見えてくる 中国の行動原理(経済―なぜ「社会主義市場経済」が成功しているのか?
経済―なぜ「米中貿易摩擦」が起きたのか?
領土―なぜ「1つの中国」を主張するのか? ほか)

この記事についてブログを書く
« 「動的平衡」(3)福岡伸一 | トップ | Keen »

読書(台湾/中国)」カテゴリの最新記事