「ハルカの空 南アルプス山岳救助隊K-9」樋口明雄
昨年「天空の犬」という作品を紹介した。→「天空の犬」樋口明雄
救助犬・メイとハンドラー・夏実の活躍を描いている山岳小説。
本作品は、その続編。
前作同様、南アルプス・北岳が舞台。
今回は、短編集。
次の5編が収録されている。
沈黙の山
ランナーズハイ
サードマン
ハルカの空
NO WAY OUT
夏実が主人公なのは、「沈黙の山」「NO WAY OUT」・・・前作と比べると、夏実も成長して頼もしくなった
「ランナーズハイ」は、神崎静奈が主人公
「サードマン」は、関真輝雄が主人公
「ハルカの空」は、大学3年の天野遙香の視点で、山小屋と山岳救助隊が描かれる。
少し、文章を紹介する。
P98
もっとも環境へのインパクトという観点からすれば、人間ほど自然にとって脅威はない。いったん火のついた登山ブームはとどまるところを知らず、この先、登山人口はますます増えるはずだ。さいわいながら、この北岳において、誰かがライチョウを脅かしたとか、逃げるのを追いかけたなどという話は耳にしていない。
昨今、爆発的に増えてきた若い登山者たちだが、彼らはむしろブームの火付け役だった中高年ハイカーよりもマナーがいいという話をよく耳にする。山に登るということのルールを、自分たちなりに理解しているからなのだろう。
【蛇足】
また、誤植の話。
慌てて印刷して、しっかり校正しなかったのでしょうか?
(鬼の首を取ったようで申し訳ない)
P107
神奈川共立大学病院にする内科医だった。(誤り)
↓
神奈川共立大学病院に勤務する内科医だった。(正)
さらに、P114で、『登攀』という言葉が使用されているが、この場合、不適切と思うが、どうだろう。
↑これが前作「天空の犬」
犬好きな方は、この表紙だけで読みたくなるかも?
【ネット上の紹介】
軽装で山の中を駆け巡るトレイルラン。自信に満ち溢れた走りをする大学生。小さな気の迷いが大きな事故に――「ランナーズハイ」。山小屋でバイトをはじめた女子大生は、マナー違反の登山客に愕然。しかしそこは“命”を預かる場所でもあった――「ハルカの空」。登山で妻を亡くし、すっかり抜け殻となってしまった男。かつて山岳救助隊に救われた過去が――「孤高の氷壁」。汗光り涙伝う、犬とともにある本格山岳小説全5篇。特別書下し短篇も収録。