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「ぐるぐる七福神」中島たい子

2012年12月23日 08時16分24秒 | 読書(小説/日本)

「ぐるぐる七福神」中島たい子

この著者の作品を読むのは初めて。
なかなかおもしろかった。

自分と関わるとろくなことがない。
人に悪影響しか与えない、と思い込んでいる主人公。
極力、他人と関わりを持たないように生きている。
派遣で働く職場でも、独りで昼食を食べる日々。
そんな折、元カレが亡くなった(行方不明)と知る。
祖母の入院も重なり、七福神めぐりを始める。

P10
趣味。私の趣味ってなんだろうと再び真剣に考える。仕事が終わったら、まず家に帰って、まずご飯食べて、まずお風呂入って、まずテレビ見て、まず寝る。自分の生活の中に、趣味と呼べるものがないか必死で探してみたが、見当たらない。三十二にもなった今、打ち込んでいることが何一つないことに気づくが、人生を振り返ってみればしかたがない。二十代はあまりに色々打ち込みすぎて、もう杭だらけ(ある意味、悔いだらけ)みたいになっていたが、今は杭もみんな燃え尽きて、自分も灰になってしまったような真っ白な状態だ。

P113
「人間、生まれてきたときも一人、ウンコするときも一人、それでいいんだよ」
じゃあ、誰かとつきあう意味はなんなのよ?とモンタに返されて、大地は真顔で、それは、と答えた。
「トイレで紙が無くなったとき、持ってきてくれる人が必要だから」

P160
お参りという行為は、不思議なものだ。もちろん何かを願うわけだけれど、目をつぶってる数秒の間、自分が背負ってるものを、神様に一時お預けして、また目を開けて、それを背負いなおすだけのことなのかもしれない。でもそれは少し軽くなっていたり、背負う力が新たに出てくる。

【参考】
七福神とは?・・・恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天(弁才天)、寿老人、福禄寿、布袋、以上七柱。

【ネット上の紹介】
「恋愛」5年前別れてから音沙汰なし。「仕事」起業失敗からは職を転々…。さえない日々を送る船山のぞみ32歳。ひょんなことからめぐり始めた七福神は果たして彼女にご利益をもたらしてくれるのか!?東京に御座す、さまざまな七福神をめぐりながら、恋と人生を思索する新感覚“プチロード小説”誕生。
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