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「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

2018年05月11日 22時40分45秒 | 読書(小説/日本)

「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

引き続き(2)を読んだ。
若きヘッドハンター・鹿子小穂の活躍を描く作品。

P60-61
「いやあ、ただ壁を登るだけなのに、ボルダリングって、やってみると奥が深いですね」(中略)
「一つ手を間違えたり、簡単なほうに逃げたりしてると、結局、あとになって、にっちもさっちもいかなくなっちゃうんですよね。大局観と戦略が必要だし、ある意味、経営の極意にも通じますよね」

渓流釣りのために遡行していて大きな岩を登る小穂
P371
不意に、頭上に影が差した気がした。その影がもぞもぞと動いている。
「熊がいます~!」小穂は岩壁にしがみついたまま、畔田に助けを求めた。「熊スプレーくださ~い!」
「ははは、誰が熊だよ?」
 頭上で男の快活な笑い声が立った。
「ク、クマゴロー……?」
「クマゴローじゃねえよ」男はまた笑う。
「ダイゴロー、引き上げてやってくれ」畔田が下から声を上げる。
「ほら、もうちょっとだ。がんばれ」

【感想】
(1)と(2)は同時刊行。
どちらも、とてもおもしろかった。
ヒロインは、情に篤く、どこかとぼけた感じがいい。
今年はまだ始まったばかりだけど、小説部門では本書が2018年ベストかも。
続編が待ち遠しい。
(ちなみに、ノンフィクション部門では「子どもたちの階級闘争」、マンガ部門では「夕暮れへ」がベスト、かな…こんなに早く2018年ベストを発表していいの?!)


【ネット上の紹介】
ヘッドハンターとして実績を積む小穂の下に、かつて自分を追い出した父の会社が経営危機との情報が入る。小穂が打った起死回生の一手とは!?