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「水やりはいつも深夜だけど」窪美澄

2015年01月14日 23時24分25秒 | 読書(小説/日本)


「水やりはいつも深夜だけど」窪美澄

窪美澄さんの新刊で、短編集。
窪美澄作品は全て読んでいる。
どれも素晴らしいが、今回も良かった。
新年早々ナンですが、今年のベスト3に入る内容、と思う。

短編集で、5編収録されている。

ちらめくポーチュラカ 初出:小説 野生時代 2013年7月号
サボテンの咆哮 2014年3月号
ゲンノショウコ 2013年12月号 
砂のないテラリウム 2014年8月号
かそけきサンカヨウ 2014年12月号

同じ町に住む5つの家族が描かれている。
それぞれ同じ幼稚園に通っている子どもがいるという、ゆるいリンクが設定されている。
「家族」がテーマで、短編それぞれに植物の名前が冠されている。
幸せそうな家族、平凡に見える家族でも、悩みの種は尽きない。
ちょっとした行き違い、すれ違い・・・言葉にしにくい感情が見事に表現されている。

小説というのは、このレベルの心理描写が欲しいものだ。
微妙な心のひだが、丁寧に表現されている。
お薦めです。

【おまけ】
どの作品も、救いがある。
著者は、行き詰まった閉塞状況の家族に光を投げかけている。
だから、「雨のなまえ」と違って、読後感は良い。
渇いた心に水をもらった気分になる。 

【参考リンク】
『水やりはいつも深夜だけど』特設サイト

【他の窪美澄作品】
「晴天の迷いクジラ」窪美澄
「ふがいない僕は空を見た」窪美澄
「クラウドクラスターを愛する方法」窪美澄
「アニバーサリー」窪美澄
「雨のなまえ」窪美澄
「よるのふくらみ」窪美澄


【ネット上の紹介】
セレブママとしてブログを更新しながら、周囲の評価に怯える主婦。仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。