小海線松原湖駅からバスに乗り「稲子湯」に正午前に着いた。ここで弁当と思ったが、takeの「おやま行く」の一言でそのまま歩きだした。20分ほど歩いたところでtakeが「お弁当」と言い出したので唐沢橋の川沿の日蔭にシートを広げた。沢を吹き抜ける風がやや汗ばんだ体に心地よい。
おにぎりの弁当を食べ終え靴紐を締め直して出発。駒鳥沢に沿った道を歩き、トロッコ軌道が現れると小屋も近い。沢を渡る広場で清水を一口飲んだ。そして最後の急登をゆっくり歩いて「しらびそ小屋」着いた。
「しらびそ小屋」はtake中学三年の9月(ちょうどこのblogができる直前)に泊まったことがある。私はというと二十歳台は、毎年のように訪れていたし、妻とも三回行ったことがある。小屋に入り薪ストーブの燃える土間のテーブルで「熊笹荼」とお茶受けのカリントウを頂く。途中テーブルの下で寝ていた犬が起きだしてtakeを慌てさせたが、リールがついているのがわかり安心したようだ。
無理を言って個室にしてもらった部屋は、混雑時しか使用しない蒲団が積み上げてあった。takeはそれが気に入ったようで、上に乗ってリラックスしていた。暮れゆく天狗岳を眺めながら小屋の夕食を食べたらすかさず就寝だ。
翌朝は4時半に一人起床しモルゲンロートに輝く天狗岳を眺めたりしていた。すでに小屋広間のテレビ(太陽光パネルで蓄電している)でワールドカップ決勝を観戦している人がいて0対0で前半を折り返したと教えてもらった。
5時半にtakeを起こし、身支度を整えて朝食場所に言った。みどり池側の窓際には餌台があって朝から小鳥が集まっていた。そこにリスが二匹登場すると今までワールドカップ決勝延長戦を見ていた朝食客も窓際に移動した。しかしPK戦に突入すると再びみんなテレビに向かい小屋中で全日本女子の応援だ。優勝が決まった瞬間、歓声と拍手が小屋に満ち、涙ぐむ人もいた。関西からきたおばさんは、「やっぱり山に来て良かったわ!こんなに感激できたし。家にいたらこんな時間に起きないでしょ」と言っていた。試合が終わると泊まり客は次々と出発し、私たちもみどり池の淵を回って中山峠を目指した。
針葉樹の森から白樺林に変わる頃、中山峠に着いた。一休みして主稜線を南に辿る。黒百合平からの道を合わせ、岩稜を右から巻くと東天狗岳の頂だ。takeにとっては三年連続四度目の天狗岳になる。 私が360度の展望を楽しんでいる間、takeは10時のおやつを楽しみ下山となった。黒百合平に向かうとtakeは二年前の宿泊経験から「お泊り?」と聞いてきた。「お泊りナーイ」と答たえると、今度は「サンドイッチ」と昼食の催促だ。「サンドイッチはお池の椅子」と言って歩いた。
黒百合への下りは岩が多く岩場が苦手なtakeは登りよりも時間がかかった。黒百合ヒュッテ前のベンチでランチパックのサンドイッチを食べた。昼食のコーヒーを飲んだら渋の湯向かって下山だ。沢沿いの道を進みやがて唐沢鉱泉への道を分けた。唐沢鉱泉から西天狗岳へのコースを今度歩こうかと思った。尾根道を離れ沢に向かって下っていくと渋の湯の建物が見てきた。
バス停の前にザックを置いて旅館にミネラルウォーターを買いに行くと、今朝のサッカー応援同志と再会した。私もひと風呂浴びたいなと思いつつバス停に戻った。ミネラルウォーターをおいしそうに飲むtakeの傍らで、飛び交う虻を帽子で払う私だった。
コースタイム
稲子湯1150ー唐沢橋1210~40ー駒鳥沢1350~55ーしらびそ小屋1420
しらびそ小屋0635ー中山峠0825ー東天狗岳0940~50ー黒百合平1115~35ー唐沢分岐1225~30ー渋の湯1345