今年もあと一週間となった連休最終日、当初は道志の九鬼山を計画していたが、前日の低気圧通過時に中央高速大月はチェーン規制していたと聞き、降雪があっても困らない所へと、またまた高尾山に行くことにした。 天気は晴れで7時15分に家を出た。途中の駅から見た丹沢山塊は白く、予測通りと思ったが、京王線高尾山口駅前から見る山々は黒々としていた。結局この日は陣馬山付近に雪の降った痕跡があった程度で雪の心配は杞憂に終った。
いつもの琵琶滝六号路をつめて高尾山頂上に出た。展望台にいくと富士山が白く大きくそびえていた。付近には初日の出に備えているのであろうか、周囲を覆った仮設テントが建てられていた。takeはこの仮設テントが気になったらしく、怪訝な顔をしながらシートをめくって中を覗き込んでいた。また冬至の時分は富士山の頂上に日が沈むダイヤモンド富士がここから見れるとかで、朝から三脚を拡げて場所取りしている人もいた。
ここから先に進み一丁平には10時35分に着いて昼食、景信山には12時5分に着き青木茶屋で今年五杯目のなめこ汁を食べた。そして底沢峠への道を歩きながら、ここからどうしようかと思案にくれた。時間的には陣馬山まで行く余裕はあるが、takeは高尾山から歩いた時は底沢峠から下山することへのこだわりがある。中三の時に一度だけ高尾山から陣馬山まで歩いているが、それまで殆ど底沢峠からの下山していたのでこだわりが固まってしまったらしい。(2006年5月14日を参照) そこでこの区間を歩く時は陣馬山を起点にするように変えたのだが、今のtakeがどこまで許容してくれるのか見当がつかなかった。そんなことを考えながら歩いているとtakeがいきなり振り返り「コーヒー飲む」「飲む飲む」と言ってきた。自分のザックに入っているポットのお湯がまだ残っているの思い出して言ってきたのだが、これはチャンスと思い「コーヒーはお馬さんの山に行ってから飲みます」と答えるとtakeは一瞬顔を曇らしたものの受け入れてくれたようだった。
底沢峠はさほどの抵抗も無く通過し14時5分に陣馬山に着いた。ポットのお湯でインスタントコーヒーを作り、残っていたお菓子を前に並べると、takeはどちらかというと不機嫌そうに箸でコーヒーをかきまぜていた。私はtakeを離れて人も少ない頂きから周囲の山々を見ていた。すると「いこか」とtakeが機嫌の良い声で私を呼んだ。あわてて戻り、歩きだしたtakeを追いながら後ろを振り向くと、そこには今年最後の富士山があった。私は「今年は登れなかったけど来年も宜しく」と念じながら陣馬山を後にした。