同居家族三人のtaketake山の会の夏合宿だ。今回は北アルプスの太郎平小屋をベースとして薬師岳と北ノ俣岳に登るプランだ。
【7月31日】
6時16分発の北陸新幹線で出発。takeはシートを倒すとすぐ爆睡、私も長野駅を過ぎるまで寝ていた。私が最初に北アルプスに行ったのは高校1年生、ワンゲル部の夏山で入山は今回と同じく折立から太郎平だった。その時は夜行急行「能登」に乗った。緊張してたのだろうか、富山駅までほとんど眠れなかったことを思い出した。5年振りの富山駅はリニューアルされ昔の面影もないが富山地鉄のホームは昭和時代そのものの雰囲気だった。
有峰口駅からバスに乗り折立へ。キャンプ場のベンチでお弁当を食べてから歩きだした。いきなり太郎坂の急登だがtakeはゆっくりだが良いペースで歩いてくれた。巨大な杉の木に感心したりしながら登っていく内に、支尾根上の三角点ベンチに着いた。ここでtakeはスポーツ飲料を飲んだ。天気は曇りだがこのあたりから霧が立ちこんで視界も悪くなった。
ここからは尾根上の緩やかな上りだ。ここにきてtakeの予定確認が頻繁になった。何度も予定ボードのコピーを取り出して4日間の説明をするが、すぐ「朝起きて!」と再確認するのには正直疲れた。何度も何度も立ち止まってていねいに説明した。そんなことをしているうちに、ポツリポツリと小雨が降り、遠くで雷鳴が聞こえてきたので五光岩ベンチで雨具上下を着用した。しかし雨に降られることなく、予定より少し早く太郎平小屋に着くことができた。
小屋は日曜日で混んでいたが、我が山の会の事情を説明して2ヶ月前から個室を予約していたので狭いながらもゆっくりと過ごすことができた。夕方、部屋の窓に雨粒が滴ってきたがすぐ止んだと思ったら、雲がみるみる内に消えて快晴となった。
コースタイム 折立1115-三角点1257~1300-太郎平小屋1515
【8月1日】
5時45分からの朝食を食べ終えてから薬師岳へと歩き出した。takeは部屋に荷物も残っており、同じ部屋に戻っくる事が理解できているので今日は予定確認が少なく楽だ。木道を下るとキャンプ場のある薬師峠だ。ここから涸れた沢状の岩の上を歩いた。例年の今頃なら雪が残っていると思われる。今年の雪解けは1ヶ月早いと春先から伝えられていたが、高山植物も初秋の状況とのことだった。
takeは出かけから麦茶とお菓子を要求していた。(宿泊登山の決まり事)沢筋を越えた薬師平を最初の休憩にしようと思っていたが、先行きの見通しが立たないことから岩の上に座り込んでストライキだ。麦茶を飲んで饅頭を食べると現金なものですぐ歩き出した。
薬師小屋で次の休憩をとり、いよいよ頂上だ。天気はよく風は涼しく展望もよい、とってもとっても良い気持ちなのだ。ただ薬師岳圏谷群(カール)に雪が殆ど着いていないのが残念だ。細かな花崗岩の道を踏みしめ薬師岳の頂上へと立った。頂上に着いたらtakeのリクエストは「パン」だ。山頂直下にシートを敷いて靴を脱いだtakeを座らせカレーパンとあんパンを食べた。昼食が済んだら記念撮影、今年も三人で頂上に立つ写真が撮れた。頂上には薬師如来像が安置されていた。
下山は小石に足をとられないようにサクサクと小幅に足を進めた。薬師小屋でtakeのスポーツ飲料タイムを取ったあとは一気に薬師峠に下り、太郎平へと登り返した。正午過ぎの小屋はまだ静かで、部屋に入り思い思いの時間を過ごし5時の夕食の時間を待った。
takeは夕食が待ちどうしいのか、小用に行くと言っては私を伴って食堂の様子を何度も見に行っていた。ちなみに太郎平小屋の食事はとっても美味しかった。ご飯、味噌汁はもちろんのこと、この日でてきた豚カツはロース厚肉で揚げたてだった。食事が終わるとtakeはすぐ布団に入り、18時半頃には寝付いていた。普段、行動が固まってしまうと深夜2時頃まで起きていることもざらで、「家でもこんなペースで過ごしてくれたら……」とは妻のボヤキだ。
コースタイム 太郎平小屋0605-薬師峠0628-薬師小屋0814~18-薬師岳0905~43-薬師小屋1039~45-太郎平小屋1225
【8月2日】
最終日は太郎平から北ノ俣岳を往復してから折立へと下山し立山山麓温泉に泊まる予定だ。最後の山小屋ご飯を食べて出発した。行動用品以外の荷物を山小屋にデポすると、takeがこの山小屋でもう一泊するのかもと混乱しかねないので全ての荷物を三人で背負った。takeは山小屋に宿泊してから普通の宿に宿泊した経験がない。昨日と変わって予定確認が頻繁に飛び交った。
木道を歩いて太郎山を越すと平原に池塘群が点在していた。平原の旧山道は雨水に浸蝕され堀削られている。その横を木道が続いていた。平原から一登りすると北ノ俣岳の肩であとは緩やかな巻道を歩いて頂上に着いた。36年前の4月、強化合宿で今は亡きSリーダーの下、神岡新道からこの山に立ち、薬師岳、立山を越えて剣岳まで縦走したことを思い出した。
記念撮影をして、さて降りようと来た道を引き返そうとしたところでtakeの顔色が変わった。takeはここから別の道でバス停に下山すると思っていたらしい。幸い暫くで納得できたが、太郎平小屋だけは早く立ち去りたかったらしく、私がお世話になったオーナーに挨拶している間も「行く!行く!」を連呼していた。折立への下りになるとtakeも見通しがたったようで安定した。五光岩ベンチで山小屋のお弁当を食べた。お弁当は竹の皮に包まれた押し寿司で大変美味だった。さらに三角点を目指して歩いている途中に強い雨が降ってきた。雨具の上下を着用して一気に折立へと下った。
折立への到着は12時半過ぎで予約のバス発車時刻まで一時間半ほど早かった。幕営場の炊事施設の屋根の下で濡れ物のを脱いだりしているうちにバスが登ってきたので移動した。バスは定刻に発車し私たちは有峰口駅のバス停で降り、しばらくすると立山山麓温泉「ロッジ太郎」さんの迎えの自動車が来た。宿に着き、takeと貸し切りのお風呂に入りのんびりと午後のひと時を過ごしたのだった。
コースタイム 太郎平小屋0545-北ノ俣岳0729~36-太郎平小屋0903~08-五光岩ベンチ0942~1005-三角点1119~折立平1236