Takの山行記録とバイオリンとかAIとか

山行記録に加えて必死に練習中のバイオリン、必死に勉強中のAIについて

屋久島

2017-03-12 13:21:53 | 日記


突然取れた1週間の春休み。最も行くのが難しい百名山の一つ、屋久島の宮之浦岳に挑戦する。
3月12日13時20分鹿児島港を高速船ロケットで出航。往復割引で1万5千円なり。屋久島の宮之浦港まで1時間50分。高速船乗り場は、桜島正面、デッキモールの隣。今日までは天気が良いが、下り坂、明日は気圧の谷通過のため終日雨の予報だ。最悪のタイミングとなってしまった。日程の変更を検討する。明日はヤクスギランド辺りを散策する事になりそうだ。火曜日に縄文杉経由、新高塚小屋泊まり、水曜日に宮之浦岳に登り、淀川口に下山。取れなかった水曜日の宿と、淀川口までのタクシー出迎えも無事確保。

今日の宿、屋久島山荘。宮之浦港からバスで40分程の安房と言う港町にあり、部屋からは山と海が見えて言うことなし。林芙美子が浮雲を執筆した宿だそうで、Takの部屋はその部屋と同じ位置なんだそうだ。勿論建て替えられているので、部屋は全く違うのだが、なんとなく嬉しい。夕方、食料調達がてら港町周りを散歩する。安房は、港町で漁港だけではなく、便数は少ないが、鹿児島からの高速船も入港する。宮之浦岳登山、縄文杉ツアーに最も近くて便利な場所だ。それでも、人家、商店はまばら、人影も少ない。まさに、離島そのもののそれだが、自分が知っている宮古に比べると賑わいが無いのは、世界自然遺産に指定され、開発が抑えられているからか、シーズン前だからなのか、何れにしても、自然が守られ、それと向き合う事に集中できる環境である事は間違いない。

3月13日、予報どおり雨。低気圧が近くを通過し、午後は風雨が強まるため、登山はやめてバスで紀元杉とヤクスギランドを訪れた。写真は紀元杉、推定樹齢3千年!胸高周囲8.1mと巨大。写真ではこの迫力は伝わらない。再びバスに乗り、ヤクスギランドへ。ここの正式名称は屋久島荒川地区自然休養林。江戸時代に伐採された森を保護、観察する目的で設置され、他に白谷雲水峡自然休養林がある。島津藩が目を付けただけあって、巨木が多い事に加え、切り株から新しい杉が生えたり(切り株更新)、他の樹木と絡み合ったり、数百年前の切り株や倒木がそのまま残っていたりと、自然の力に改めて驚かされた。

ヤクシカ登場。ニホンジカやエゾジカに比べると小型で可愛らしい。黙々とくさを食む。
3月14日いよいよ宮之浦岳を目指してまずは縄文杉へ。今日の行程は、泊まっている安房からバスで屋久杉自然館へ行き、そこで荒川登山バスに乗り換える。宮之浦岳の登山口へは、バス、レンタカー、タクシーのいずれかとなるが、今回は荒川登山口まではバスで、下山口となる淀川口まではタクシー出迎えとした。屋久島はこの時期まで雪が降る。先週も宮之浦岳一帯に積雪があり淀川口と紀元杉の間が通行止めとなっていた。実は、屋久島で宮之浦岳に登ることは先週決めた。南の島の2千メートルクラスの登山ということで、雪のことなど全く考えていなかったのだが、宿やタクシーの手配でこの容易ならざる屋久島の事情が少しずつ分かってきた。何しろ不便。島にたどり着くだけでも大変なのに、登山口までのアクセスが面倒。縦走距離が中途半端で避難小屋泊まりが必要。下は雨、上は雪という天候。何をどう準備して良いのか分からないまま、本番に突入。よもやのピッケル、アイゼン携行となった。
14日の天候は雨のち晴れ、山頂付近は午後は晴れるが強い北風となり、気温は低下し山頂付近の雪が凍っている可能性がある。朝5時、強い雨の中バス停へ。2台乗り換えて6時30分に荒川登山口着。相変わらず止まない雨の中、早く天候が回復することを祈りながらスタート。今日は200人近い登山者がバスに乗ったそうだ。ただ殆んどの 人は縄文杉までの往復。驚いた事に若い人、特に女性が多く皆元気が良い。普段の中高年者が多い登山とは全く雰囲気が違う。自然遺産に登録されたことが理由とおもうが、富士山となんとなく似ているような感じがする。又、ガイド付きツアーが殆んどで、ここのアクセスの難しさからなるほど、と納得してしまう。

縄文杉までは、トロッコ道を延々と歩く。

縄文杉には11時に到着、2千年とも7千年とも言われる樹齢の凄さに感動。

他の巨大な杉たち。

大王杉

ウィルソン株。切り株の上にたくさんの杉が再生している(切り株更新)。

仁王杉。みな、樹齢1000年以上だ。

 

雨が止む事もなく、12時には今日宿泊予定の新高塚小屋に到着。雨の為、杉の巨木を眺める事もゆっくり出来ず、予定より随分早く着いた。早く着いたからといって、先に進めるわけでもなく、寒い避難小屋で食事をしてシュラフにくるまるのみ。この時間は当然誰もいない。ここで一人はちと辛い、と思っていたら、3時頃から続々と到着、一安心。実は避難小屋泊まりは今回が初めて。どのように立ち居振る舞えば良いのか分からなかったが、他のパーティの様子を見て、特に普通の山小屋と変わらない事がわかり一安心。今日は、おじさん、おばさんの4名のパーティ、若い男女の二人組、単独行の若者2名と自分の5組、9名の宿泊だ。2つの団体さんは淀川口から宮之浦岳を経て、若者2名は荒川口から縄文杉を経て宮之浦岳登頂後戻ってそれぞれ宿泊だ。それぞれ目的を果たしてなんとなくリラックスムードだが、自分だけは明日本番なので緊張している。雨も止まず、風も強くなってきており、不安が高まる。電波届かず、ネットで天気予報見る事も出来ない。
3月15日6時、新高塚小屋を宮之浦岳山頂目指して出発。雨こそ止んだがガスが厚くかかり、視界が効かない。山頂到着予定の9時ごろまでには晴れることを祈りつつ、ヘッドライトの明かりを頼りに進む。アンダーウェアの替えがない為、汗をかかないよう、ゆっくり登る。屋久島の三岳、宮之浦岳、永田岳、黒味岳を望むはずの稜線に出ても、ガスと、吹き荒ぶ北風が待っているのみ。ガスの水滴は雪となって吹き付ける。あぁ、南の島、という安易な考えは、ここで完全に否定されたのだった。しかし、半信半疑で持ってきたピッケルは流石に不要だが、硬く締まった残雪にアイゼンは有効。よかったー。


9時、山頂到着。残念ながら眺望は全く無し。強い北風の為、天候回復を待つ気にもなれず、すぐに淀川口に向け下山を開始した。下山は凍った登山道に悩まされた。昨日まで岩の上を流れていた沢水は凍り、木道の上も凍っている。濡れているのか、凍っているのか区別がつかない事もあり、何度も滑って転けた。この山は雨が多い分、水量も豊富で、至る所に水場があって美味い水がふんだんに補給出来るのだが、今日はこれが災いとなった。又、この島は花崗岩から出来ており、岩は滑らないので、そのつもりで表面が薄く凍った部分を踏むと転ける。
1時間程下ると俄かに周囲のガスが消え、眼下がくっきりと現れた。山頂方面はまだ厚いガスに包み込まれているが、これから晴れてくる事が予想出来る。悔しいことこの上ないが、これも屋久島、と割り切って下山を続ける。この辺りから日帰りで淀川口と山頂をピストンする登山者と行き交うようになる。絶景を堪能した事だろう!

その瞬間をご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=EPULDVslugg


標高1,700mの投石平のあたりまで来ると、ガスは嘘のように消え、快晴となる。三岳の一つ、黒味岳が正面にその姿を見せるが、宮之浦岳、永田岳は残念ながら見えない。今から思えばこの黒味岳に1時間半かけてピストンすれば、他の2座がバッチリ見えたはずだが、後の祭り。尚、この投石平で昭文社の地図を眺めていたら、まさにその地図を調査執筆された古賀さんとお会いした。自分が地図を見ているのを見つけ、使い勝手はどうですか?と声をかけてくれたのだ。聞けば、かつて宮之浦岳には本格派登山者しか踏み込まなかった時代を反映して、相当スパルタなコースタイム設定だったのを、昨今のブームを受け、氏が現実的なものに改定したばかりだそうだ。自分もこの地図のおかげで余裕を持ったスケジュールを組む事ができた事に謝辞を述べた。この宮之浦岳、最短の淀川口ピストンでさえ、コースタイム10時間、縦走だと、避難小屋泊をしいられるため、ハードルの高い山といえる。

この山域は、花崗岩の巨岩やユニークな形状のピークが多くみられる。

屋久島三岳のひとつ、黒味岳。

日本最南端の泥炭層湿原、花之江河。


その後、のんびり歩いて1時過ぎに淀川口に到着。予定では3時前着予定だったので2時間タクシーを待つ事になった。途中、携帯はほとんど繋がらず、時間を早めてもらう事も出来ない。濡れた雨具を干しながら待つ事しばし、今朝、一番に山頂下で会った若者が下山。朝5時過ぎに登頂開始したとの事で8時間ほどで往復したそうだ。やはり山頂での眺望には恵まれなかった様子。彼はレンタカーで来ていた。ピストンであればこれがベストかもしれない。その後2時過ぎにはタクシーが来てくれ、帰路に着いた。
こうして足掛け4日で山頂を踏む長旅を終えたのだが、屋久島はひと月35日雨が降る、と言われるそのままを実感したものだ。突然思い立ち、南の島と思いきや、冬山装備が必要と言われ、初めての避難小屋利用と、訳も分からず、準備もままならず現地に入ったのだが、それが却って、屋久島をよく知る事になったと思う。鹿児島空港以降の交通手段は行き当たりバッタリだったが、高速船、島内のバス利用で全てこなせた。現地の居酒屋で美味い刺身も食べられたし、目的地は全て訪れることが出来たし、足りなかったものは、着替えぐらいのものだった。今回は、山と森だけだったが、この島は海あり、川あり、自然の宝庫だ。これからも、もっと大勢の観光客や登山者が豊かな自然を求めてやって来るだろう。外国人や若者がより大勢訪れて、島が賑やかになる事は喜ばしいことではあるが、この未開の自然との共生を是非実現して欲しい。島では鹿肉を食べる習慣があり、名物の一つだが、最近鹿肉が不足しているそうだ。ヤクシカを保護した結果のことだが、最近やっとシカの保護は増え過ぎによる自然破壊に繋がることを行政も認識したそうだ。又、縄文杉を訪れる人の殆どがガイド付きツアー参加者で、ガイド料が高騰中とのこと!タクシードライバー曰く、法外な料金をとっている、らしいが、いずれ経済原則に基づき早くノーマルな状態になることを願う。
まだ見つかっていない縄文杉のような巨大な杉がまだある、というドライバー氏の言葉が、この島のワンダーランド振りを表して印象深い。


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2 コメント

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南国の寒波 (Toshi)
2017-03-18 11:24:13
思えば~遠ぉ~くに来たぁ~あもんだぁ♪

日本百名山の果てにまで行かれましたか。
思い立ったが吉日、頂上からの眺望が無くともその良さを堪能されたというように報告からは感じ取れます。

パソコンが開けずにいるためYouTube動画はまだ観れずにおりますが、近く戻ったら覗いてみますね。

遠路の山歩きお疲れさまでした♪➰
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屋久島パワー (Tak)
2017-03-19 12:47:52
Toshiさん、杉の元祖のような巨木たちに会い、パワーをもらいました。Takの名前の由来のような島でした。ご先祖を訪ね、ご利益がある事を願っています。
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