Takの山行記録

私が登った山やアウトドア活動の記録です

石鎚山(1,982m) 2-22-2023 63/100

2023-02-24 19:59:00 | 日記
四国の2座、石鎚山と剣山は、ユディットさんと一緒に登る。彼女とは、昨年北アルプスの笠ヶ岳で初めて会い、その後登山情報のやり取りをしてる。彼女は10年ほど前に来日したドイツ人で、ドイツアライアンスミッションという宣教団体に所属する宣教師だ。彼女も日本百名山完登を目指していて、この2座で49座となる(はずだ)。




石鎚山は1,200mまでロープウェイで登る。始発便は、登山客と剣山スキー場に向かうスキーヤー、ボーダーで満員だ。


ロープウェイ終点から見る瓶ヶ森

今日の天気は快晴、最高の石鎚日和だ。今回の九州、四国ツアーではあまり冬山登山を意識しておらず、アイゼンは6本爪の簡易アイゼンしか用意してこなかった。九州はアイゼンを使う機会もなかったが、四国はそうは行かなかった。考えてみれば標高も2,000m近く、瀬戸内とはいえ、中国山地をやり過ごした寒気が直撃するため降雪量も多い。12本爪とピッケルは必携だった。




石鎚山は大まかに、ロープウェイ駅から鎖場手前までと、鎖場のある頂上までの核心部に分かれる。前半は山頂と瓶ヶ森(かめがもり1,897m)を眺めながら楽しく登る。




途中、冬は閉鎖されているが、避難小屋を二つ過ぎるといよいよ核心部に入る。


屋根と山の角度がすごい

その昔、この山を開山したという役行者が登ることができず、登頂を諦めて下山した場所だ。その後、今の成就社がある場所で石鎚大神に出会い、悟りを得て再び登頂に挑み、見事成し遂げ開山したそう。そのため、中宮成就社がおかれで、石鎚山信仰の中心になっているそうだ。


ロープウェイ駅から20分歩いた場所に石鎚神社中宮成就社がある。


遥拝所手前から山頂方面


急な岩壁が続き、夏であれば鎖を使う事も可能だが、冬は巻道の金属製の階段を登る。ここが凍りつき、6本爪ではまことに心許ない。久方ぶりのスリリングな雪山となった。




階段と急斜面のトラバースを何とかクリアするといよいよ石鎚山山頂(1,972m)だ。弥山とも呼ばれる。




石鎚山山頂からさらに200m南東の最高峰、天狗岳(1,982m)へ登り返すと、狭い山頂からは四国から瀬戸内海、九州まで一望だ。空は快晴、最高の眺望、ありがとう!


西条の街と瀬戸内海。先にはしまなみ海道が見える


右の弥山と左の二ノ森(1,930m)


今日はずっと眺めてきた瓶ヶ森


天狗岳から見た弥山


ユディットさんとツーショット


珍しく立ち去り難い山頂から後ろ髪をひかれつつ降り始めると、雪は緩み、もう春の雰囲気だ。四国での最高な登山の
余韻を楽しみつつ、愉快に下山した。
西条のひうちの湯(¥600)で汗を流したあと、明日の目的地、剣山登山口に向かう。ここから次のイベントが始まった。
僕は、ナビにGoogle Mapを使う。今回も勿論お世話になっている。それによれば、剣山登山口への国道は閉鎖中で、県道を使うガイドになっている。




当然、ナビもそちらに誘導するわけだが、酷い道だ。暗い、細い、落石だらけ、まるで廃道のようだ。


翌日の画像


こんな道が延々と1時間続く


そんな獣道を走る事、1時間、やっとトンネルを越えて剣山駐車場に着いた!と思ったら、トンネルの出口は除雪された雪の山。何事かと思ったら、むこうからトンネルに向かって全面通行止めの標識だ。そう、通行止めの道を1時間登って来たのだった。


わかりますか?通行止めの先から出てきたんです!

予約していた劔神社簡易宿泊所のご主人(神主さん)からは、あの道を無事に登って来れたことを喜んでいただいた。Google Mapで通行止めとなっている国道は夜間通行止め、僕らが登ってきた道は全面通行止め、本来は国道を使って登るべきだったのだ。距離、時間を大幅にロスし、精神的ダメージを受けたことはGoogle社に理解してほしい。
ああ、明日も、この道を帰るのかぁ!

剣山(1,955m) 2-23-2023 64/100

2023-02-24 19:55:00 | 日記
四国の2座目は徳島の最高峰、剣山だ。今日も元気なユディットさんと一緒に登る。彼女は相当なタフガールで、アプローチの悪いバス利用で苗場山を11時間でピストンしたり、天白走友会(名古屋ご在住)に所属、ハーフを1:59で走るなど、頼もしいことこの上ない。今回もテント泊のため、装備一式背負っての登山だ。



朝8時、天気は雪、気温は標高1,200mの劔神社でマイナス1度と高め。明け方から湿った雪が降り続いているため、ある程度のラッセルが予想され、また、眺望は全く期待できない。しかし!ピークハント中の我々に天気は関係ない。




春の三寒四温で踏み跡は凍り、その上に新雪が被さるため歩きにくい。




まずは夏期営業の剣山ケーブル(リフト)の西島駅に向かう。シーズン中は、ここから多くの登山客が山頂を目指すのだろう。ここにはテントサイトもあり、徳島や瀬戸内の夜景を楽しみながらキャンプができそうだ。




ここから大剣神社本宮に向かう。ここは昨夜お世話になった劔神社の奥宮だ。




ここから山頂までは、神主さんのアドバイスに従って、尾根を直登してショートカットだ。適度に締まった雪で僕の軽アイゼンでも難なく山頂へ。




晴れていれば、ここから昨日同様、なだらかな笹原の向こうに瀬戸内、淡路島、紀伊半島、さらに見通しが良ければ大山まで見えたことだろう。


しかし、こんな感じで視界全く無し。

山頂には剣山(神社)本宮があるが、ここは劔神社、大剣神社とは別なものなんだそうだ。神社は古くから地域に密着して数多く存在しているが、その奥宮が置かれる山のいただきは、各地域がより集まる場所でもあり、いろいろな神様がいらっしゃるのだろう(劔神社神主さんの話しを総合するとこうなる)。




下山後、あのトンネルで簡単に昼食を済ませ、徳島市に向かう。全面通行止めの県道も無事に通り抜け、途中、神川温泉(目眩がするほど素晴らしいアルカリ性温泉¥600)であたたまり3:00、今回の旅の終着地に。ここからユディットさんは高速バスと新幹線で名古屋へ、僕はフェリーで東京に向かう。




彼女は誰にでも話しかけて、すぐに友だちになれる、明るいひとだ。日本語も流暢だが、日本での登山は情報が全て日本であることと、アプローチに鉄道、バス利用が多く、この情報をどのように入手すればいいのか分からず苦労したそうだ。確かに、日本人の僕でも悩むことが多い。もっとも悩むこと自体が楽しみとも言えるが。アメリカのMt.Hoodで季節を間違えた事を、今改めて思い出した。外国で何らかのアクティビティをしようと思うなら、情報をどうとるのかが一番難しく、そのことが最も重要だという事をだ。最近、地図ガイド(これまた完璧に日本語)に加えて、App、YouTubeなど情報が多様になってきて便利。これからの時代は、物事の調べ方を知っているか否かが大事、と言われるのも頷ける。
こうして九州、四国ツアーが終了した。2/13深夜に出発し、25日朝東京着。のべ13日、2船中泊、8車中泊、2宿泊施設泊。走行距離約1,500km、百名山7峰プラス1の8座に登山。ほぼ予定通り、怪我、事故なく終えることができた。これで西日本の百名山は終了、東日本残すところ36座となった。九州、四国の山々とみなさん、お世話になりました!ありがとうございます!
今回天気の悪かった久住、剣山にはまた機会があればぜひ登りたい。両山とも広大な山頂部とそこからの眺めが素晴らしい。加えて可能なら歩きたいコースは、久住の縦走ルート、祖母頂山系の縦走ルート、高千穂峰-新燃岳-韓国岳縦走ルート。山歩きには際限が無いようです。

祖母山(1,756m) 62/100

2023-02-20 19:12:00 | 日記

祖母山は大分県と熊本県、宮崎県にまたがる九州の名峰だが、実は百名山制覇を考えるまで、その名前も知らなかった。これまで九州で登った山はいずれも火山活動で生成されたのだが、この山は(元を正せば火山活動だが)隆起によってできた。したがって火口や噴煙は無い。
そしてこの山の名前だが、そぼさん、と読む。神武天皇のおばあさん(豊玉姫命)が祭神として祀られているため、が有力。

さて、この山にもいくつか登山ルートがある。今回は、深田久弥が登った(というのは後から知った)神原(こうばる)ルート、(本当は阿蘇から近く、楽そうに見えた)とした。
対抗車とすれ違えない細い林道をぬけて、登山口駐車場に着くと既に9:30、先行者も結構いるようだ。

昨夜も懲りずに飲み過ぎて二日酔いだ。また汗をかくんだろうな、とぼやきながら登山開始。最初は針葉樹の原生林と、安山岩の緑が映える清流を眺めながらキレイだ!などと余裕。


この山は800mあたりまでは広葉樹林、その上には針葉樹林、1,200mを超えると九州では珍しいブナの天然林がある。


緑の岩と透明な水がステキな景観を生み出す。





ところが、5合目避難小屋を過ぎると急登の連続となり、青息吐息状態に。勿論、久住山のような階段も無し。
結局、山頂までその斜度が緩むことはなく、


こんな看板も2度登場。でも、


ちゃんと階段がつけらていて、竹田市に感謝。


山全体は火成岩が多くて、こんな花崗岩の塊も多い。


コースは北斜面を直登しているので、後ろには阿蘇のカルデラが広がるはずだが、視界が開けない。


命の水が、凍って頂けない。



国観峠と呼ばれる広場に到着。雪は全く無い。この2日の暖気と雨で雪は全て消えた。また、昨夜から冷え込んだおかげで、ぬかるみは凍り、歩きやすい事この上ない。


何とか山頂到着。少し飛ばしすぎたかも。

イラスト調標識。

阿蘇の山並みが足下にみえます。手前に広がるカルデラ。
北には久住山。こうして見ると、祖母山も、久住山も、阿蘇の外輪山の一部であるようにも見える。


手前から傾山(かたむきやま1,605m)、大崩山(おおくえやま1,644m)。祖母山を主峰として東に伸びる、祖母•傾•大崩山系。ここはいつの日か縦走したいが、交通手段が課題。

こうして九州最後の登山を終えた。火山活動、神話、巨大カルデラにどこにでも温泉、と素晴らしい体験を楽しませてくれた九州万歳。天気は雪も降らず、晴天率66%と、雨男では無いことも証明された。
明日からは四国で、石鎚山、剣山を登ります。








久住山 赤川温泉ルート 61/100

2023-02-19 17:44:00 | 日記



九州6日目。久住山か、祖母山か、雨雲レーダーと睨めっこの結果、気象条件に大差ないため、コースタイムの短い久住山に決めた。今日は前線の通過により、昨夜来の雨が昼過ぎまで続き、午後遅くに晴れるという嫌な天気だ。



10:00に赤川温泉を出発、久しぶりにレインウェアにスパッツをつけて登る。この前線は南の暖かい空気を流し込み、この時期としては暖かくて良いのだが、冬の雨は体が冷えて困るのと、濡れた衣類や靴を干すことができないのが困る。




冬は特に汗をかかない様に気をつけているのだが、こんな日に限ってひどく汗が出る。昨日の酒だ。この2日、阿蘇山、久住山、祖母山の真ん中にあるある駐車地で夜をすごしている。近くに温泉、コンビニ、そして居酒屋まであるという、便利な場所だ。自宅を出て以降、ほとんどアルコールは摂取していなかったので、到着した日に早速ビールと焼酎でこれからの安全を祈願した。翌日の阿蘇では、いつも同様、汗をかくこと無く登れた。そして昨夜、同じように、同じ量のアルコールを摂取したのだが、渇ききっていた一昨日とは違い、水分量がオーバーした様だ。惰性で飲むとこうなる。って、我慢もしないが。




くだらない話で恐縮だが、僕にとってはある種の発見だ。飲みてー、と心から思うなら飲む。そして、翌日汗かかない。
という事で、今日は冬の雨の中、早速汗をかいて気持ち悪い登山となった。悪いことに、平地では春一番と呼ばれるその強風が山の上でも吹きまくる。山頂部では昨日よりも強く吹き、視界が効かないこともあり、そそくさと下山したのだった。




この久住山、ミヤマキリシマと温泉でも有名で、多くの登山者を集めるそうだ。この赤川温泉ルート、南面の急傾斜を直登する。晴れていれば久住高原や阿蘇の大展望を慰めにして耐えるのだろうが、今日は何にも見えないので、ただの急登だった。それにしても階段が実に綺麗に整備されており今日の様な日はとても助かる。




コースの標高差は800m弱だが、下半分が階段、上半分が岩登り。




最後の標高差の大きい岩場は、前半の階段のおかげで筋力が温存されており、助かった。下り、何も見えずに暇なので、階段の数を数えてみたら、1,600段ほどを確認できた。竹田市なのか、久住町なのかはわからないが、多くの登山者のために整備していただき、ありがとう。




さて、いつもの様に、下山後赤川温泉赤川荘で温まっていると、予報通り、陽の光が差し込んできた。これも、いつもの事。帰り道で初めて久住山と久住高原を見ることができて、ほんと良かった!




さて、この駐車地も今夜が最後。二晩お世話になった居酒屋に挨拶に行かねば。
明日は九州最後の祖母山に登ります。





阿蘇 高岳(1,592m). 60/100

2023-02-18 15:31:00 | 日記




初めて来た阿蘇。デカいカルデラ、噴煙噴き上げる火口、広大な草原などアクティブで力強いイメージを持っていたのだが、そこは想像とは全く違う光景だった。廃墟と化した施設やロープウェイなど、観光客の減少に追い打ちをかけた2016年の熊本地震、活発化する火山活動など、いろいろな事の結果もたらされた寂しい光景なのだった。勿論、真冬なので訪れる人も自ずと少ないのだろうが、それにしても、だ。地震では阿蘇に向かう二つの自動車道がズタズタに寸断された(現在は復旧)。また、施設の被害も大きくてそのまま営業を終えたものも多いんだそうだ。


この道は火口展望台に向かう道だが通行止め。


現在の噴火警戒レベルは2で、迂回ルートで高岳、中岳の中核部に入れるが、2週間前に、活動が活発化して3に引き上げられるところだった。そうなると阿蘇の主峰には登れなくなり、計画の変更を余儀なくされるところだった。その後活動は落ち着き、レベル2が維持されて今日登れることになった。よかった〜!
ルートは西の阿蘇山上から皿山を経由し、火口と砂千里浜と呼ばれる砂礫の原っぱを眺めながら登るコースと、東の仙酔峡から中岳に直登して高岳に至る二つだ。いずれも本来のコースから一部火口を避ける迂回コースを含む。山上からのコースは、昨日夕方に下見をしていたこと、今日の天気が下り坂であることから、比較的短時間で登れる仙酔峡コースで登ることにした。仙酔峡、名前もすき。




このコースは、廃業した仙酔峡ロープウェイの残された支柱に沿って登り、火口手前から迂回ルートに入り中岳に直登、尾根伝いに高岳に至る。
山麓と山頂の駅は解体され跡形も無いが、残されたこの支柱たちはどうなるんだろう?




迂回ルートに入り、やっと山登りっぽくなった。山に入れば、手前のことは関係なく、山は山だ。岩だらけの急登も楽しい登りだ。




迂回ルートは二つ。登りは以前使われていた観測用ケーブル沿いに付けられたルート。




下はすずめ岩迂回ルートと呼ばれる、溶岩流が大きく削られた縁に沿ったルートを通った。


登りの迂回路は、真ん中の点線。





観測用ケーブルは、おそらく太陽光発電で無線が使えるようになり廃棄されたのだろう。これもこれからどうするのか、謎だが当面はルートの目印として活躍しそうだ。




今日は西からの風が強く、このため気温が高く、雨が降るのだが、稜線に出ると凄まじい風となった。凄まじいは少し大袈裟だが瞬間最大風20mはあったと思う。


笑っているが、帽子が飛ばされないよう必死。




それでも阿蘇はデカい。カルデラひとつとっても写真に収まりきらないし、遠くはガスって見えないほど。(カルデラとは、噴火で地中に空洞ができ、それが崩壊して周りが外輪山となる地形の事だ、と霧島で教えてもらった。)寂れたとか、廃墟などといっているのは人間の世界の話で山や自然には関係ない事。でも、自分勝手な人間が残したロープウェイの支柱やホテルの残骸、スキー場などは当分そのままだ。自然に帰るのはずいぶん先。人新世の遺物として10万年後に発掘されるのかなぁ。



このままでは遺跡になりかねないホテル。立派な温泉¥700。宿泊客皆無。ありがたいのですが心配。明日は雨。さて、どうするか。