人生が二度あれば / 井上陽水
父は今年二月で六十五
顔のシワはふえてゆくばかり
仕事に追われ
このごろやっと ゆとりができた
父の湯呑み茶碗は欠けている
それにお茶を入れて飲んでいる
湯飲みに写る
自分の顔をじっと見ている
人生が二度あれば この人生が二度あれば
母は今年九月で六十四
子供だけの為に年とった
母の細い手
つけもの石を持ち上げている
そんな母を見てると人生が
誰の為にあるのかわからない
子供を育て
家族の為に年老いた母
人生が二度あれば この人生が二度あれば
父と母がこたつでお茶を飲み
若い頃の事を話し合う
想い出してる
夢見るように 夢見るように
人生が二度あれば この人生が二度あれば
作詞 作曲 / 井上陽水
1972
■ 昭和譜心 ■
人生は
“誰の為?” と
問う陽水の歌に向かって
“勿論、自分の為!” と、返したあの頃
しかし、“人生とは何の為にあるのだろうか?” と
自問自答をし始めた頃から、この問い掛けに返せなくなった
“子供の為” とも言い切れない世代である自分には
明確な答えが見つけられず、立ち止まり
♪ 人生が二度あれば ・・・ ♪ と、
何度も繰り返し繰り返し
独り歌うだけの
日々が
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第五大成丸