ラグの「素直に生きれば人生は楽しい」

主に人生の歩き方について「人生お弁当箱診断」など
以前のブログ名:和色ムーブメント

ガイオーレ・イン・キアンティ

2008年01月30日 | 家WINE

  Il Colombaio di Cencio

フィレンツェから車で一時間、キアンティ クラッシコ地区の心臓部
「ガイオーレ・イン・キアンティ」 に位置する 「イル・コロンバイオ・ディ・チェンチオ」
というワイナリーのロゴマークです。



                              ( 2001年に訪れた時のスナップ写真 )

このワイナリーには、7年前、トスカーナを中心にワイナリーを廻った時に、
実際に訪れていますので、個人的に多少の思い入れがあります。

ワイナリーの中は外観のモダンな感じとは違い、グラフィック的なアート感が溢れ、
そのギャップの中で造り醸されたワインは、“洗練された芸術家の味わい” を
魅せています。伝統ある地域でその伝統を継承しつつ、醸造設備の近代化など
異彩を放っているタイプのワイナリーです。ボトルやラベルのデザインはその表れ
かもしれません。





以前、
紹介した 「モンティチェッロ」 というワインを造っているイタリアスカーナの
ワイナリー(イル・コロンバイオ・ディ・チェンチオ)のフラッグシップワインです。

年末に買っておいたのですが、食卓に登場するおかずが魚や和珍味系が多く、
正月からの延長線で、それらを肴にひたすら地酒を飲んでいましたので、
なかなかワインを飲む機会がありませんでした。ようやく、それなりのアテが
登場してきましたので “抜栓” とあいなりました。

ただ、ここで問題が一つ発生しました。
というより、大きなミスを犯していたことに気づきました。しかも、抜栓して
一杯目を口にしてはじめて気づきました。
“なんで、こんなに硬い(開いていない)んや? ・・・ いや、冷たい! ・・・ ???”

“冷え~冷え~やん!” セラーの温度を見ると、何と 6℃ でした。
たぶん、コンセントを誰かが引っ掛けて抜いてしまったか、ブレーカーが落ちて
リセットされたのだと思います。前にもあったのですが、その時は夏だったので
すぐに気づいたのですが、冬場、ビールを飲んだあとに冷えたワイン ・・・
分かるようで分からないものです。仕方ありません、そのまま少し待ちます。

結局、
酔いは醒めるわ、ワインの味は落ち着かないまま終了するわ、最悪でした。
“こんなはずないやろ ・・・ ” ( 近いうちにもう一本買って飲み直します )
ただ、それを差し引いても、数年前に飲んだ記憶と少し違っていたような ・・・
まあ、結論(楽しみ)は次回に持ち越しです。




  Il Futuro

  ■ ワイナリー : イル・コロンバイオ・ディ・チェンチオ
  ■ ワイン名  : イル・フトゥーロ 2003
  ■ 原産国 : イタリア
  ■ 地   方 : トスカーナ
  ■ 地   区 : キャンティ・クラシコ
  ■     村      : ガイオーレ・イン・キアンティ
  ■ 呼   称 : トスカーナI.G.T.
  ■ 品   種 : サンジョヴェーゼ 40% カベルネ・ソーヴィニヨン 40% メルロー 20%
  ■ 醸   造 : オーク樽(カベルネS、メルロー) ステンレス・タンク(サンジョヴェーゼ)
            主醗酵後、オーク樽にてマロ・ラクティック醗酵
  ■ 熟   成 : オーク樽熟成 24ヶ月(225L、新樽比率80%)
            熟成の12ヶ月は品種ごとに、残り12ヶ月は樽寄せ後に行う

  ■ 上   代 : 7,200yen

   色は力強さを秘めた深紅。黒コショウ、なめし革のようなアロマがあり、
   旨味たっぷりで凝縮した味わいながらも、しっとりとした酸がワインの
   上品さを際立たせて、チェリーのようなチャーミングな果実味を感じます。 


うまいもんまつり

2008年01月29日 | 二升五合


阪神百貨店で開かれている
『 全国有名駅弁とうまいもんまつり 』 に行ってきました。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

とにかく、
人 ・ 弁当 ・ 人 ・ うまいもん ・ 人 ・ 弁当 ・ 人 ・ うまいもん ・ 人 ・・・

( “ちょっと、おばちゃん!今さっきも、そこで試食してましたやん?” )
 おばちゃん : “あんた、もう一つ食べとき!”
 おっちゃん   : “俺、もうええわ。”
 おばちゃん : “何云うてるのん!?
           食べとき云うたら、食べとったらええねん!!”
 オバはん POWER 炸裂!ですね。
 オッさん ついて行くのが精一杯!ですわ。

( “ここは8階ですよ!間違ってませんか?” )
 と言いたくなるような腹出し系女子黒丸軍団 ・・・ “何するねん?”
 一番人気 「活あなごめし」 の実演販売の前で、その黒~い顔の
 化粧直してたら ・・・ “「焼あなご」 と間違うがなぁ!”

( “奥さん、目つきが地下惣菜コーナーと一緒になってますよ!” )
 “ちょっとマケてくれる?” とか “二つ買うたらナンボになる?”
 といったノリで覗き込むのは絶対にやめてください!
 ・・・ “そこ、そこの知らん顔してるおばちゃんのことやでぇー!”

( “地方から出店しているお店の方は大変ですなー!”
 なんせ、ここは大阪ですから ・・・ ひとりノリ・ツッコミで実演販売をして
 完璧にすべってしもて、その周囲は思いっきりシラ~ッとなってますがなぁ。
 “大阪は街ぐるみで笑いにはシビアでっせ!・・・?”





チラシやテレビ(情報番組)での露出が影響しているのでしょうか。
人気のあるお店と、そうでもないお店との売れ方の違いは歴然です。
(大阪の)知事選同様に、「 露出度 + 知名度 」 で勝負はほぼ決まります。

※ 阪神百貨店8階催場で29(火)まで開催されています。


“うまい!” をアーティスティックに

2008年01月28日 | 造形憧憬


わが家の 「家めし」 で活躍中の面々!
野球で云えば、ここ一番のセットアッパー!
サッカーで云えば、やはりスーパーサブ的な存在でしょうか。





“ちょい何か足りひんのんちゃう ・・・ ?”
“そない言われると、そんな気ぃするなぁ~!”
時々、わが家で地上1㍍辺りを山なりに飛び交っている言葉です。
もちろん、“頭” の話ではなく、“味” の話ですが ・・・ 。

いくら素材にこだわっても、本当に “うまい!” と言い切れる味に出会える
可能性は、電車の中で自分の超理想の異性に出逢うようなものです。ましてや、
スーパーの安売り素材ともなれば、満員電車の身動きが取れない中で、たまたま
横になった人がとびっきりの美人だったようなもので、可能性は限りなく ・・・
やはり、自分が理想とする異性(味)が出没しそうな処へ 「出向く努力」 が確率を
上げる方法だと言えます。もっと云えば、自分の理想だと断言できる異性(味)を
「探す工夫」 が必要です。

とは云っても、家庭を持つ身としては、毎日グルメなお店に通うことはできず、
「家めし」 で何とか工夫して “うまい!” を引き出さなければなりません。近年、
「家めし」 を充実させるべく、デパ地下惣菜コーナーやデリカテッセンなどの
中食がレベルを上げています。また、地元商店街で代々続くパパママ店も
“うちの手造り○○をおかずの一品に加えて!” というアピールで手造り惣菜の
店頭売りを再強化しているようです。

当然、
主婦としては手抜きでは無いのでしょうが、“あと一品” とか “一品味の変化が
ある惣菜を・・・” という感覚で利用されるのだと思います。しかし、裏返せば、
やはり時間の短縮とレパートリーの少なさが原因という方が多いのでは ・・・ 。
わが家も同じようなものです。しかし、時には手抜きも悪くはありません。
手抜きの時にこそ “美味しさ” を発見する可能性が高くなります。なぜなら、
いつものスーパーで、同じ具材を買ってきて、同じ分量で味付けした家庭料理から
新たな “美味しさ” を発見できるでしょうか。もちろん、それが “最良の味” なら
文句は言えませんが、“また、○○○ ・・・” と子供に言われるようなことがあれば、
やはり変化(工夫)は必要です。そういう意味では、家庭の味とは違う味付けの
料理を摘んでみることでプラスになるものです。 

さて、写真 【左】 は、

  

■ 唐辛子ゆずポン酢 『 ちょい辛 とりぽん 』 360ml 680円

 いつもの料理にかけるだけ!
 新鮮な辛さが食欲をそそります!!
 タイの唐辛子 プリッキ-ヌ(พริกขี้หนู) と
 鶏がらのうまみが 凝縮された
 ピリッと辛い ゆずポン酢です。
 
チカミミルテック㈱ http://www.prikkheenhu.com/

これは某百貨店の食料品売り場で見つけたのですが、「ちょい辛」 が気になって
買って帰ったのですが、その日は、ちょっと味見を ・・・ “わ~ぁ、そこそこ辛いわ!”
という感想だけでそのまま冷蔵庫へ ・・・ 。先日、鍋(蟹ちり)をした時に、いつもの
ポン酢に少し加えてみました。その日、カニよりも一押し食材の豆腐を一つすくって
薬味の紅葉おろしも青ねぎも加えず試食 ・・・ “旨い!やん。何で?” と思わず
つぶやいてしまいました。この 「ちょい辛ポン酢」 を入れたことで、ベースのポン酢
の嫌な味(雑味)が消されています。そして、程よい辛味があるので紅葉おろしと
青ねぎは入れずに済み、豆腐本来の口当たりの良さと大豆の旨味がストレートに
伝わってきます。久々に “旨い湯豆腐” を食べた感覚でした。このポン酢、単体で
使用すると辛くて抵抗がありますが、「ちょっと加える」 「少し混ぜる」 で力以上の
仕事をするタイプの調味料です。私の今一番のおすすめです。

写真 【中央】 は、
 
■ 金色のお醤油 『 金醤(kinjan) 』 130ml 450円

 鮮度の良い魚も鮮度の落ちた魚も同じ濃口醤油で食べるという事に
 疑問を抱き、「鮮度の良い魚用」に開発したのが金色のお醤油 「金醤」
 新鮮な刺身を 「目で味わい、噛んで味わい、舌で味わい」 快眠活魚を
 体験してみて下さい。

 おさかな企画 http://www.kaimin.co.jp/kinjan/

淡白な魚の刺身も脂の乗った青魚も、真っ黒のたまり醤油にわさびという
同じスタイルでしか提供できない飲食店には疑問を感じますよね。私自身
元々、「濃口醤油 + たまり醤油」 の刺身醤油が好きではありませんので、
家では必ず自分好みの割り醤油を使います。定番は 「かつお醤油」 ですが、
2~3種の醤油をブレンドして調合することもあります。この醤油はテレビで
「快眠活魚」 という魚を眠らせて新鮮なまま流通させるという仕組みを開発
した会社(おさかな企画)を見て、ネットで調べていくうちに見つけたものです。
“淡白で新鮮な魚用の刺身つけ醤油” を期待してオーダーしました。私の
感想としては、刺身のつけ醤油よりも “もう少し味がほしい魚料理” 全般に
活躍します。煮付けや鍋にちょっと加えるだけで味が膨らみます。なかなか
重宝する魔法の一滴かもしれませんよ。

写真 【右】 は、
  
■ イカリソース 『 辛口たまりソース 』 150ml 380円

 ウスターソースの熟成工程でタンクの底にたまる
 「澱(たまり)」 の部分を再現した辛味と旨みたっぷりの
 プレミアムソース ウスターソースの熟成工程でタンクの
 底にたまる 「澱(たまり)」 の部分を再現した辛味と旨み
 たっぷりのプレミアムソース

 イカリソース㈱ http://www.ikari-s.co.jp/

このソースも活躍しています。ソース焼そばには当然ですが、お好み焼に
マスタードを塗るのであれば、このソースを少し加えた方が全体の味に辛味が
よく馴染みます。また、醤油を使った炒め物や和え物の隠し味にも使えたり
します。もちろん、先に出た 「ちょい辛ポン酢」 同様に、加え過ぎには注意が
必要ですが、少量加えることで、まろやかな味わいが生まれます。料理によっては
アーティスティックなものになる可能性もありますが、色々トライしてみる価値は
あると思いますよ。 新たな “うまい!” を求めて ・・・ 。


港が遊び場だった

2008年01月21日 | 昭和懐古


「 大 寒 」

冬の冷たい風にあたると
幼年期を過ごしたあの港町の
お台場から見えた風景が脳裏に浮かぶ





いくつの頃だったか ・・・
いつものように海が見渡せる 「お台場」 で近所の友達と遊んでいた。
そこは海に向かって大砲が据えつけられていた跡が残っている砲台である。
( 東京の “お台場” ではありませんが、「要害の地に設けて大砲を据え
 つけて海防に備えた砲台」 という意味では同じ用途の土地名称です )

お台場は、小さな運動場ほどの凸凹の原っぱで、建物の基礎部分の址と思われる
大きな穴や溝があちこちにあった。その穴や溝が 「かくれんぼ」 に最適で格好の
遊び場になっていた。そして、どんなに冬の寒い日でも外で遊んでいた当時の子供
にとっては、冷たい風を防げる避難地(基地)でもあった。

当時、爆竹やカンシャク球など大きな音を出して爆発する玩具が流行っていた。
特に、「2B弾」 という爆竹は、花火などの枠を超えて、差し詰め “小さな爆弾”
だった。2B弾は約10cmほどのダイナマイト型で、頭にマッチの頭と同じ発火性の
混合物を付けた形状で、マッチなどの火は必要なく、石や金属、硬い木などに
擦り付ければ、その摩擦で着火する仕組みだった。そこいらの悪ガキはみな、
ポケットに入れて持ち歩いていた。子供には非常に “危ない遊び” だった。
( 昭和40年前後の話ですが、2B弾は駄菓子屋で簡単に買えていました。
 ただ、事故や怪我が絶えず危険で、数年で製造中止になったようです )

この2B弾を溝の横穴に突っ込んで “発破をかけて” 遊んだり、二手に分かれて
手榴弾のように投げ合う “戦争ごっこ” 宛らの遊びをしていた。もちろん、大人に
見つかれば大目玉を食らう。特に、そのお台場の横にあった派出所のおまわり
さんには何度となく怒鳴られたもの。お台場のほぼ中央に一つだけ残っている
小屋(たぶん、何かの資材置き場)の扉に掛かっていた鍵に、2B弾を10本ほど
突っ込んで爆破させようとした時、途轍もなく大きな爆音となり、おまわりさんが
飛んできて、これまた、こっぴどく叱られた。今の時代なら逮捕されるのではないか
という事件だった。

それでも、今の時代のように 「危険」 「危ない」 と子供が何かをする前に親や
大人が止めてしまうようなことはなかった。だから、失敗や痛みを自分の経験で
体感できたのだと思う。初めての “危ない遊び” が取り返しのつかない犯罪に
なってしまう可能性は今の時代の方が圧倒的に高いのではないか ・・・ 。当時が
良い時代だったとは思わないが、今の時代ほど人の心は荒んではいなかった。
皆、貧しかったけど温かかった。私の昭和はそんな時代だった気がする。

ある日、
そのお台場の塀から首を出して港(海)を見渡していると、外国船籍の貨物船が
入港してきた。もちろん、重要港湾に指定されている大きな港なので、珍しい風景
ではなかった。しかし、いつもと違う雰囲気を子供心に感じていた。なのに、子供の
子供らしいところというのか、怖いのに怖いもの見たさというのか、着岸したその
貨物船に友達と二人で近づいて行った。船のデッキから船員の数名がこちらを
見ている。私の記憶では、たぶんヨーロッパに近い西方のアジア人だった。

一人の大きな男が何か声を掛けてきた。と思うのと同時にタラップから下りてきて
友達の手を引いて船へ連れて行ってしまった。私の目にはどう見ても、無理やり
引っ張り込まれたように見えた。私はどうすればよいのかわからず、その場で
ただオロオロしていたことを憶えている。友達を呼ぶ声も出せず、その場を離れて
誰かを呼びに行くことも出来ず ・・・ それから、何分くらい経過しただろうか、友達が
タラップを下りてきた。あとで、その友達に話を聞くと、船内を案内してもらったのだ
と言う。なぜ、お前は来なかったのかと逆に聞かれた。しかし、私の脳みそと心臓は
それどころではなかった ・・・ 。( 頭パンパン!胸バクバク! )

また別の日の出来事だが、
岸壁にダンボールの廃品を1m角に押し固めた荷が100個ほど積み上げてあった。
子供にとっては絶好の遊び場である。友達数人でそのダンボールの山に登って
遊んでいた。もちろん、その荷は船でどこかへ運ぶ荷物(商品)だったのだろう。
あまり人相の良くない若い兄ちゃんが私たちの傍へつかつかと歩み寄ってきた。
“お前らー!何してるんや~?” と声を掛けてきた。私たちは一瞬、怒られると
思い下りようとしたが、友達の一人が “おっちゃんが遊んでもええって言うた!”
と嘘をついてしまった。すると、兄ちゃんは “ほんまか?!” と少し凄んで見せた。
私たちが黙っていると、いきなりナイフのようなものを出して登ってきた。私たちは
必死の思いで荷から下りて逃げた。皆、一目散でそれぞれの家へ逃げ帰った。

もちろん、脅しだったのだろうが、こんな強烈なお仕置きは初めてだった。“もう
悪い事(勝手に人のものに触ることや嘘をつくこと)はしない!” と子供心に
震えながら誓ったものだ。私は子供の頃、数えられないほどこんな経験をした。
今、自分の周りにいる子供を見て ・・・ “まあ、無いよなぁ~” と、安堵と不安が
交錯する複雑な心境になっている自分に気づく。 これでええんか ・・・ !?





大きな港の奥に、「湛保(たんぽ)」 と呼ばれる小さな港がある。幕末に造られた
人造港で、昔は網元の屋敷が港の端にあり、周りを遊郭が取り囲み、溢れるほどの
舟が停泊して栄えた港だったらしい。今はその面影もなく海上保安庁の船と小型船
が係留される港になっている。私が子供の頃にはその面影が多少残っていた。
小さな神社と古い灯台(今はない)があった。賽銭箱に手を突っ込んだり、石塔?の
灯台によじ登って遊んだ。知人が元遊郭だった家に住んでいたので、よく泊まりに
行った。玄関の三和土から空気が違い、帳場だったであろうスペースを抜けると
中庭が見える。回遊式の廊下の一番奥に厠があった。子供なりに風情を感じた。

街場は、きれいに区画整理され、
家にも、学校にも、公園にも、“危なさ” が無い。いや、“おもしろさ” が無くなった。
“生活感が無い” とよく云うが、“カン” 違いである。今の時代は “生活環” が無く
“生活観”  が芽生えない時代なのだと思う。もう、昔に引き帰すことはできないが、
少し見直すことはできるような気がする。

子供たちにも少しだけ “危なさ” を与えたい ・・・



素直に楽しもうや!

2008年01月20日 | 造形憧憬


衝動買いという訳ではありませんが、
CD屋さんに並んで置いてあった2枚のミニアルバム
ジャケットの雰囲気だけで両方お買い上げ?です。





家であまり音楽は聴きません。( ひたすらテレビっ子ですので ・・・ )
車に乗ればCDをかけます。ジャンル問わず、ミュージシャンも問わず、
こだわりはありません。( 多少はありますが ・・・ )

その時の気分でセレクトして心地良い情感を探しに行こうが基本。
結果、好き嫌いというより、よく聴く曲(ミュージシャン)とあまり聴かない曲は
どうしてもできてしまいますが ・・・ 。

私の悪いクセですが、本とCDは表紙タイトルやジャケットイメージのみで買う
ことがあります。毎回、自分に見合う(好きな)ものだけをセレクトしていると
自分の視野のみで世の中を見てしまいがちです( 頭が固くなってしまいます)。
できるだけ、ファーストインスピレーションとそこから少し外し気味なあたりまでを
許容範囲として選択します。( 素直じゃないかもしれませんが ・・・ )

もちろん、セレブ買いや大人買いとは違います。また、プロフィールの趣味欄に
「音楽鑑賞」 とも書きません。常に、頭を柔らかくして発想を広げたいという観点
への投資かもしれません。立ち読みや試聴もあまりしません。まるで、宝くじを
買う時のような調子で手に取ります。“ひょっとして当たるかも ・・・ ” という、
ちょっとワクワクする感じが心地良いことは否定しません。

今回、
“お買い上げ” のCDは、「ET-KING」 と 「九州男(KUSUO)」 のミニアルバムで、
大きく分ければ、ヒップホップ系とレゲエ系になるのかもしれませんが、私に
とっては何系であろうが何派であろうが関係ないのです。ただ、買ったあとネットで
情報をみると、意外ですが、音楽に対しても若い世代で偏りや屈折した偏見がある
ことを知り、50歳手前のオヤジとしては、“何で?” と疑問に感じたしだいです。

昔と時代が違うのはわかりますが、
自身の好きな音楽を決め付けて、“○○系の○○が最高!” と声高らかに
掲げることにより、“音楽を楽しむ” を越えて、自身の位置を確認(自己確認)しよう
としているようにも見えます。裏返せば、その音楽ジャンルやミュージシャンたちに
賭けている部分が大き過ぎるように感じます。要は、自身のアイデンティティーまで
“他人依存” している傾向にあるのではないでしょうか。( 非常に危ない! )

それでも、それはそれで許せる範囲なのかもしれません。しかし、自身が好きな
音楽ジャンルと同系統の音楽やミュージシャンを痛烈に “全否定” するコメントを
寄せている方がたくさんおられます。これは、自身の好きな音楽やミュージシャン
を守りたい(肯定したい)という気持ちの表れなのかもしれませんが、それこそ
裏返せば、必死になって自身を守っている(自身が否定されたくない)という気持ち
の表れではないでしょうか。これは非常にチープに感じてしまいます。

世の中に 「100 対 0 」 といった完勝完敗で片付く要素はほとんどありません。
「赤」 と 「青」 どちらが好きですか? ・・・ 「100 対 0 」 は無いですよね。
「高級割烹の会席料理」 と 「立ち飲み屋で串カツ」 はどっち?でも、「100 対 0 」
は無いと思います。これらと一緒にしてはいけないかもしれませんが、若い世代が
自身の好きな要素以外の要素を 「100 対 0 」 で全否定してしまう傾向に怖さを
感じます。これは音楽だけに止まりません。

人間関係もそうです。
非常に未熟な人間関係しか形成できない人が増えているように感じます。
物事の良し悪しは判っていて、勉強や仕事のレベルも低くないのですが、
自己中心的にしか人間関係が持てないという症状です。もちろん、家庭環境や
社会の生活環境が影響していることは間違いありません。初期症状としては、
ちゃんと挨拶ができない、ちゃんとお礼が言えない、自分が興味を持っている
もの(人)以外への反応が薄い、上下左右の関係が整理できない、といった
表現や行動です。非常に幼稚で判りやすいパターンなのですが、周りからいくら
指摘しても変わりません。自身で気づき、自身で人格形成するしかありません。

私は50年近く生きてきて歳相応かもしれませんが、人生に成功を収めている
素晴らしい方々にたくさんお会いします。様々なジャンルの方がおられますし、
それぞれ違ったお考えをお持ちですが、皆さんに共通するのは、私が上記に
挙げた人間関係の基本を必ず高いレベルでクリアされています。私は今まで
お会いしたそうした方々から人間関係の大切さを学びました。ただ悲しいかな、
私自身は非力で周囲に影響を与えるようなことはできず、たぶんこれからも
そのサポートくらいしかできないのでしょうね ・・・ 。

そこそこ
“ウザったいオヤジ” になってきたのではないでしょうか?
 では、今日はここら辺で ・・・ きっと 明日は晴レルヤ! きっと! きっと!


晴レルヤ ET-KING
  01 晴レルヤ
  02 たいまつ - jamaican mix -
  03 この歌を ・・・・・・・・ ♪ ~ 和 ROCK MIX ~
  04 お世話になりました
  05 晴レルヤ - instrumental -

こいも俺ですばい 九州男
  01 dear grandma
  02 ONE LIFE
  03 一撃
  04 手紙 。。feat.hiroko (mihimaruGT)
  05 イ・ノ・マ・マ
  06 Mi deh ya


明石子午線浪漫

2008年01月20日 | 街的興趣


右にカーブした岸壁の狭間から海峡に目を遣る
瞬く間に陽が西に傾き、夜の帳が下りて闇に包まれる





           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~   大 潮    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~   海峡の潮の流れは途轍もなく速い   ~~~~~
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ~~~~~~~~~   一文字に腰を下ろし対岸を眺めていると   ~~~~~~~~~~~
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ~~~   海が音を立てて動くのがわかる   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      ~~~~~~~~~   右から左へ ・・・   左から右へ ・・・   ~~~~~~~
     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ~~~~~~~   静の海は癒 しを齎し   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ~~~~~~~~~~~~~~~   動の海は活力を与える   ~~~~~~~~~~~~~
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~   これぞ自然の成せる業なり   ~~~~~~~
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
                  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
                        ~~~~~~~~~~~~~~~


フェリー乗り場のライトに照らされて
 クルーのおやっさんから声が掛かります

“渡るんなら早よう切符買うて並ばにゃ!”
 “ごめんな、今日は渡らへんのよ!”

折角、独りで黄昏を楽しんでたのに ・・・
 そろそろ、帰りますか ・・・ 。


魚の棚商店街

2008年01月18日 | 楽時々益


「魚の棚商店街」

地元明石では “うおんたな” と呼ばれています。
今日も色鮮やかで勇壮な大漁旗がゆっくりと泳いでおります。




「明石鯛」 と 「明石ダコ」 がシーズンオフ、「いかなご」 もまだシーズン前
ということもあり、年明けのこの季節、魚介類の種類や市場の活気は、やや
スローダウンしています。ただ、その季節だからこそというネタも無いわけでは
ありません。水揚げされた 「明石の昼網の魚」 は、すぐに市場でセリ落とされ、
それこそ昼頃には、「魚の棚」 の棚の上にリアルタイムで並べられ、夕食の
おかずを買いに来るお客さんを出迎えます。 

今回、一番多く目にしたのは、 浜で “メダカ” と呼ばれている 「メイタガレイ」
でしょうか。5~6枚入れて 1ザル○円で売っているのですが、まだ生きていて
ハネまわっています。生命力の強いこういう魚を食べていると長生きできるかも
しれませんね ・・・ 。それから、数は多くありませんが 「ハリイカ」 もピクピク
していて旨そうでした。ただ、あると思っていた 「イイダコ」 が意外に少なかった
のは水揚げが無かった為か、それとも、大阪あたりで高く売れるので出稼ぎ?
に行ってしまったのか ・・・ ???

太刀魚(地元では「立魚」)は、もう少なくなり、ミリン干しなどに加工されたものが
売られています。播磨灘で有名な 「アナゴ」 は、高砂・姫路ほどではないですが、
300g以上の 「デンスケ」 と呼ばれている大きなアナゴが “明石ブランド” になって
います。ただ、これも少し季節外れなのか、丸で持っているお店は見当たりません。
「テンバリ(200~250g)」 を開いて焼アナゴとして売っているお店がほとんどで、
明石のBIG3(明石鯛・明石ダコ・アナゴ)は撃沈の季節です。





さて、そんなこんなで商店街をうろうろしていて気づいたのですが、昔より
はるかに明るく垢抜けた商店街になっているではないですか。私個人的には
魚が少なくて寂しい感はあるのですが、それを補うほどのパワーを感じます。
もちろん、写真にもあります商店街の各店舗の上にかざしている鯛のイラスト
入りの行燈(照明)や大漁旗が商店街の活気と統一感を生んでいます。その
繋がりを持った上で、各お店は自店を主張するファサードを用意しています。

当たり前ですが、流行るお店と流行らないお店にはそれなりの理由があります。
新鮮な魚を買いたいお客は、新鮮に見えないお店では買いません。新鮮に見える
お店を探すのです。魚の目利きができるお客は多くありません。でも、二つのお店
のうち、どちらが新鮮な魚を置いていそうかという判断はできるものです。
その違いが結果を決めるということを店側が常に意識できるかどうかです。

「今日はお祝いやから、少々値が張ってもええから“めでたい(鯛)” を買うで!」 と
思っているお客が、暗い店員さんが売っている暗~いお店で買いますか?まず、
買わないでしょう。活気・元気がある兄ちゃん姉ちゃんが売っているお店へ集まる
はずです。同じようにセリに出かけて新鮮な魚を手に入れても売れなければ何の
意味もありません。大きくみれば、商店街全体がそうです。“あの商店街は ・・・”
と思われているサビレた商店街が全国に広がっています。その中で、この明石
「魚の棚商店街」 は元気だと云えます。商店街の管理運営を行なっている方々が
素晴らしいのかもしれません。HPも情報がわかり易くてええ感じですよ。
 ⇒ 
http://www.uonotana.or.jp/

大阪に負けないほどの派手な看板やオブジェ、店先に出している屋台棚は大きく
通路にハミ出し ・・・ 商売っ気を感じます。商店街はこうでなきゃ!!です。
普通、地方の魚市場(商店街)に行く観光客のほとんどがリタイアした年配の方や
慰安旅行で行く場合が多いのですが、特産の 「明石ダコ」 を素材とした 「玉子焼」
や揚げたての 「たこ入り天ぷら」 を売るお店もあり、この商店街には若い層の
グループがこぞってやって来ます。そして、それに負けないで、兄ちゃん姉ちゃん
だけでなく、干しダコや珍味を売っているオッさん、天ぷらやするめを売っている
オバはんたちもすこぶる元気で相乗効果を生んでいます。若いて言えば、味見を
すすめるのはいいのですが、買いたくてもポーションと値段が判りづらいお店が
多いので、“すぐ買える(買いたくなる)” 見せ方(サンプル)は必要だと思います。

最後に、商店街に1軒だけある酒屋(たなか屋)さんを覗きます。地元のお酒
(太陽酒造のお酒もありました)やおすすめのお酒を店先にディスプレーしています。
「魚」 と 「肴」 と 「酒」 の “3S” を買える商店街 ・・・ やっぱ、いいですよね!
ちなみに、ワインも置いてます。何と、このブログで私が紹介したワインもあります。
この酒屋さん、只者ではないはず ・・・ 。

「明石」
今度行くなら、やっぱ夏でしょうか ・・・ 。


明石玉子焼の真髄は?

2008年01月18日 | 楽時々益


【 Q 】 「たこ焼」 ではなく、出汁につけて食べるたこ入りの
     「明石焼」 を本場の明石では何と呼んでいるでしょうか? 
【 A 】 「玉子焼」 です!

 というクイズがあったような ・・・





酒を求めて明石に来たのは良いのですが、「明石だこ」 のシーズンオフ
ともいうべきこの季節に来てしまった為、やはり昼飯に悩んでしまいます。

すみません。途中ですが、
前回の記事で結論を出していなかった、“昔飲んだ 「燗上がりのお酒」” は
「太陽酒造」 さんのお酒ではありませんでした。( 私の舌の記憶が確かなら ・・・ )
実は、もう2箇所ほど蔵元さんを廻ったのですが、行ってみると工場の風情で ・・・
入るのを躊躇ってしまいましたので、結論は次回に持ち越します。それにしても、
ほっこりした気分に浸れた 「太陽酒造」 さんのお酒との出会いはラッキーでした。

さて、話を戻します。昼飯です。
何にしましょうか? ( PC持ってくればよかった ・・・ )
確か、いつもチェックしているグルメブロガーさんが明石で食べた 「玉子焼」 の
お店の情報が手帳にあったはず ・・・ ありました!ありました!
少し離れていますが、明石港(魚の棚)の方へ向かう私にとっては、通り道の
ようです。ここにしましょう。( NAVIがすこぶる快調、迷わずに一発で到着です。 )

幹線道路から少し南へ下がった地域にあります。やたら近隣に神社とお寺が
密集しています。あと数㍍(2筋)も南へ行けば港に出てしまうという細い生活道路
沿い(漁師さんたちがたくさん住んでいそうな住宅地)にあります。どう見ても、
今風の流行のお店ではないです。2階建ての自宅兼店舗(1F前部分)の玄関には
青い暖簾がかかっています。入ってみます。5坪弱ほどでしょうか。
カウンター4席と小上がりの座席(細い方が4名なんとか座れます)が1つあります。
詳しい場所と屋号は控えます。流行っているとか、美味しいとか、評論する前に
同じ業界人として良い意味で疑問と興味が湧くお店です。少し私なりの解説をして
みたくなりました。

私は一人です。( 素で入ると間が持たない雰囲気 ・・・ )
何故か、“何度か来店経験あり!” という雰囲気で入ってみようと思った私は、
玄関の引戸を開ける時、心の中で “ガラ・ガラ・ガラーッ!いける?” と、
一人コントをやっているような顔つきで入ります。店内には老齢(80歳前後)の
夫婦らしき店の女将さんと旦那さん、そして、見るからに漁師であろうおっちゃん
(お持ち帰りのお客さん)が一人います。さすがに、私の不可思議な雰囲気に
“いらっしゃいませ!” の声はなく、“何か(用事ですか)?” と聞かれます。私は、
“(客ですけど)いけますか?” と素に戻った感じで紳士的にお伺いを立てます。
“ああ、どうぞ!いらっしゃいませ!” と、ようやく客として認めて頂いたようです。
漁師のおっちゃんが私に一礼したのは何故かわかりませんが、とにかく、私は
カウンターの右端に腰を下ろします。

女将さんが、“何します?” と声を掛けてくれたのですが、どこにもメニュー
らしきものがありません。カウンターの上に 「 玉子焼 20ヶ 600円 」 という
張り紙が一枚あるだけです。私は一瞬、“何します?” が、空耳?気のせい?
と思いつつ、“すんませ~ん、玉子焼一つ!” と注文してみます。すると、
女将さんが “ハイ!ちょっと待ってくださいね” と漁師のおっちゃんの方を横目で
見てから、私に “おっちゃんの分が焼けたら、やりますから待ってくださいね” と
伝えるように目配せします。私は “ああ、いいですよ(待っています)。” と
返答しながら、やっぱり空耳だったんだと安堵します。

女将さんがメインで焼いています。銅打ち(手打ちの銅版)かどうか見分けられない
ほど年季が入った鉄板(20ヶ用)が3枚あります。一気に60ヶ(3人前)まで焼ける
ようです。通常、明石焼の場合、下駄に移しますので、10ヶ用の鉄板(2×5)を使う
ことが多いのですが、このお店では、たこ焼仕様の20ヶ用の鉄板(4×5)を使って
います。女将さんは強火で焼いています。旦那さんが参戦します。旦那さんは右手
が少し不自由なようで、左手に箸を持ち女将さんとの間合いを取りながら手伝って
います。一方、女将さんは両手に箸(串や千枚通しではなく年季の入った菜箸)を
持ってフルスロットルな動きを見せます。その動きはとても80歳前後の老人には
見えず、“ひょ・ひょっとして ・・・” 某CMの唐沢寿明のように、突然、特殊メイクの
マスクを取るのでは?と、私は想像し、ちょっとだけハラハラします ・・・ ??? 

冗談はさておき、
この二人、只者ではありません。そろそろ焼けて仕上がろうかという段階で
旦那さんはヒラリと後ろを向きお持ち帰りの箱と出汁(ビニール袋に詰めています)
を用意します。ほどなく、女将さんが一枚目の鉄板から下駄(オリジナルの杉の木)
に乗せ替えます。その下駄から持ち帰り用のPPに旦那さんが入れ替えます。
手が不自由なのですが、なかなか素早くこなします。そして、残り二枚も旦那さんの
様子を見てタイミングを計りながら女将さんが手渡します。何と息の合ったコンビ
でしょうか。街場のちょっとしたステーキハウスのパフォーマンスより洗練された感
がお二人にはあります。

さて、次は私の一枚を焼くようです。
鉄板が馴染んでいる(鉄板の温度と油が良い状態)からでしょうか、先ほどより
早く仕上がりました。もちろん、女将さんの手は “フルスロットル” です。旦那さんが
お出汁をぐい飲み(出汁用銚子)に入れて温めています。女将さんが下駄に
乗せたのとほぼ同時にお出汁も仕上がります。( やっぱ、このコンビは絶妙! )
さあ、いただきましょう!

一人前、20ヶあります。
まず、そのまんまで一つ口へ ・・・ 熱くて ハフ~ ハフ~ します。( 私は、猫舌です )
柔らかくて箸で持つのが大変です。食感も柔らかいとしか言いようがありません。
生地の柔らかさは、もちろん、じん粉 が入っているのと、常に空気が入るように
休みなく転がしながら焼いている女将さんの技が成し得たものでしょう。
小さめですが、しっかり地の明石タコも入っていて、味は非常に上品です。

二つ目 ・・・ おっと、出汁の味をみていませんでした。出汁のあたりをみます。
香り的には普通の和だしで、高級(高い)材料は使っていないことはわかりますが、
これまた、有り得ないような “上品で柔らかい味の吸い地” です。私には理解不能。
失礼な言い方ですが、何故、この店で ・・・ この地域で ・・・ この味なのか ・・・
どう味わってもファーストフードの域ではありません。お店自体や立地は別として、
ある意味、和食の世界です。なぜここまで ・・・ 本当にとても疑問です!
( 評価も高く流行っているようなので、私がコメントすべきではないのですが ・・・ )

そのままで5~6個、お出汁につけて3~4個食べたでしょうか。
( 出汁にネギなどの薬味はありません )シンプルで上品でとても美味しいです。
残り10個ほどになった時、私は物足りなさを感じ、小さい頃からの自分の好きな
食べ方で食べてみます。おもむろに玉子焼にソースを刷毛で塗ります。
( ソースは薄めの醤油味に近いものですが用意されています )
その塗った玉子焼を出汁に浸して食べます。この食べ方は邪道かもしれません。
しかし、私は濃い目の甘酸っぱいソースと鰹の香りがする出汁がミックスコラボ
した中に、タコ入りの玉子焼を浮かべて啜るのが好きです。三位一体となった
味わいが何ともいえない至福の時間を感じさせてくれます。

その食べ方で戴くと、不味くはないのですが、すごくバランスが悪く感じます。
もう少し、ソースが甘いとか、出汁が濃いとか、ネギなどのトッピングがあるとか ・・・
一度、出汁を飲み干します。新しい出汁を徳利から注ぎ、カスターセットにある
七味を入れて試してみます。これもイマイチです。やはり、完成された玉子焼と
お出汁の味を消してしまうようなアレンジは、どうやらこのお店ではNGのようです。
数日前、複合ショッピングセンター内のフードコートで食べた たこ焼を思い出します。
たこ焼自体はお世辞にも美味しいと言えるものではありません。しかし、そこに
それぞれ特に美味しいわけでもないソース・マヨネーズ・青ねぎをトッピングする
ことで意外な美人に生まれ変わります。TV番組の「ビフォーアフター」 のようです。
“なんと ・・・” “まるで ・・・” の連発です。脅威のミックスコラボ成功です。業界人の
私としても “目から鱗” です。どこに行っても “おいしい発見” はあるものです。
( 私の勝手な創造や意見はここまでにしておきます。長々申し訳ありません。 )

「美味しい」 や 「旨い」 の定義は難しいものです。( 人は勝手なものです! )
やはり、どういったお客様のどういう動機のどのシチュエーションで提供する
料理(商品)なのかを常にイメージして味を完成させなければ価値満足は上がり
ません。逆に云えば、その想像力と味に対する繊細さを立体的に捉えられる
お客様と料理人はスゴイと云えます。人の “価値満足” は常に高まり、業界には
常に期待が掛かりキリが無いようです。業界人としては、厳しい時代なのかも
しれません。それだけに、前向きに捉えて楽しい気持ちで美味しさを提供する
必要がより高まったとも云えます。結果、チャンスの多い時代かもしれません。

さあ、“ほんまにおいしい!” を発見してみましょう!
業界の皆さん、“ほんまにおいしい!” の研究・開発をお願いします。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 ※ じん粉 】 の解説です。
じん粉(浮き粉)とは小麦粉のでんぷんの事で、ふわふわ感を出すために重要な
役割を果たします。小麦粉でんぷんを精製したものを本浮粉と呼び、さつまいも
でんぷんで代用した物を浮粉と呼びます。じん粉の主な特徴は加熱しても固まらない
事で、和菓子などにも使用されています。片栗粉(じゃがいものでんぷん)やコーン
スターチ(とうもろこしのでんぷん)も同じでんぷんですが、明石焼きには向かず、
じん粉で作る場合と比べると嫌な臭いがでて水になじみにくく焼き加減にムラが
できて味もかなり落ちます。また、じん粉はたこ焼きやお好み焼きを作る際にも
使用されます。片栗粉は本来はユリ科に属するカタクリの根から取ったでんぷんの
事ですが、本物はわずかしか生産されず高価なため、今ではじゃがいものでんぷん
が片栗粉として販売されています。( 明石魚の棚 「白川南店」 さんのHPより )
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


古来伝承の手仕事

2008年01月17日 | 楽時々益


【 太陽酒造のこだわり 】

  純米酒のみを醸造する。
  加水・アルコール添加は行なわない。
  蒸米は甑を用いて直火で蒸す。
  発酵は低温の吟醸造りで行なう。
  火入れは壜燗・冷蔵で保管する。
  全て木槽で搾る。
  本質重視のため華美な包装はしない。

以上、
古来から伝承される手仕事を守り通し本物の日本酒の味を現代に伝える。
                               (リーフレットより抜粋)




今回、明石へ行った最大の目的は 「明石の酒蔵」 を見ることでした。

もう、何年前になるでしょうか ・・・ あの地酒ブームの頃、お正月休みで
実家に帰省する時に、当時、ブームになった淡麗辛口の地酒を数本、親父に
みやげで持って帰りました。しかし、親父は正月ということもあるのですが、
基本的に “日本酒は燗かヒヤ(常温)で!” という人間です。
“冷蔵庫で冷えきった酒を正月から飲めというのか ・・・ ” という顔をされるのが
オチです。

で、私は親父に付き合って熱燗を ・・・ いつもはNBの清酒(○○宗や○○盛)が
定番なのですが、たまたま進物で戴いたお酒をお袋が今正に漬けていたので、
お猪口で一杯。 “なんやこれ!おぉ~ えぇ~ うっまいなあ ・・・!” と思わず声を
上げてしまいました。口に含んだ時の上品な香りと舌触り、喉元を通り過ぎる時に
感じる得も云われぬ広がりのある柔らかさは何だったのか ・・・ 。

もう一度、味わいたい ・・・
重要な問題が一つ ・・・ 銘柄を憶えていません!( ガ~ン! )
印象としては、ひや(常温)で飲むと燗で飲んだ時ほどの特徴がなかった。
いわゆる、「燗上がりする酒」 だったのだと思います。明石の酒だったことは
ハッキリと記憶していますが ・・・ 。
明石市 ・・・ やはり所在地があやふやです。( 困った! )
ということで、とりあえず明石へ向かいます。

まず、一番可能性のある 「太陽酒造」 へ向かいました。今回は愛車の
エス( Taiseimaru 05 )で、名神・阪神・第二神明道路を経由です。ここ最近
調子が上がってきた NAVI も作動。
( 過去、散々コケにされてきたカーナビですが、最近はわりと活躍しています。)
変な話ですが最近、NAVI の言葉数が増えました。以前は案内開始後、
数分何も語らないかと思いきや、突然 “この先直進方向です!” と
自信たっぷりに強い口調 ・・・ 結果は、その先行き止まり!です。“なんでや!”
( さすがに温厚?な私も、そこそこ腹が立ち数ヶ月電源を切ってました!)

通常、無難で大きな道を選択してナビゲートする可能性が高いのですが、
今回は、マニアックというか、ディープというか、とんでもないような地道を
ナビゲートしてきます。( 運転してて久々に腰が浮きました!嫌いではありません )
そんなこんなで、何とか 「太陽酒造」 に到着です。表現は悪いですが、
印象としては、小さくて古ぼけた建物の蔵です。( スミマセン )

もう数メートル南へ行けば海(江井ヶ島海岸)だからか、少し潮の香りがします。
家(蔵)の前の広場に車を止めます。蔵の女将さんでしょうか、先客の若い
(25~6歳くらい)男性の接客中です。その隙に私は建物をデジカメでカシャカシャ
しています。すると、ワン公(古い言い回し?)が、私に近づいてきて吠えます。
( 私に興味が ・・・ 珍しいヤツです! )

“ワン!ワン!ワン!”
何と犬らしい鳴き声でしょうか。最近、街場では小型犬や吠えないように
訓練された犬が多いためか聞かなくなりました。雑種ですが、愛嬌のある犬です。
本当は私、人間以外の生き物は得意ではないのですが、余りにもしつこく鳴く
ので、少し首元を撫でて相手をしてやりました。何と、直ぐにおとなしくなりました。
( やっぱ、この犬は変わりもんかも?)

先客の商談が済み、気さくな女将さんらしき女性から私に声が掛かります。
“何か(お入用ですか)?” 私は、事情を説明した上でおすすめを探ります。
その結果、ぬる燗ならどれでもそこそこはイケルということでしたので、
3種類(4合瓶各1本)買って帰ることにしました。

 ■ 太 陽
   ( 長期熟成特別純米原酒8年古酒 @1.300 )
 ■ たれくち
   ( 純米無濾過生原酒 @1,500 )
 ■ 赤 石
   ( 純米無濾過原酒 @2,000 )

庭先で試飲できるようにテーブルにお酒を用意してくれていましたが、私は
車で行きましたので、キャップを取って香りだけ試匂?します。
( 自家製の 「たまねぎの奈良漬」 もすすめられました ・・・ 私は不得意です )
香りだけなら、やはり 「赤石」 でしょうか。そして、抑え気味の 「たれくち」 。
「太陽」 はお世辞にも “良い香り” とは言えない個性の強いヤツです。

持って帰って試飲してわかったのですが、
この3種、最初に感じた印象より、それぞれ個性的で自己主張もあります。
そして、それぞれにファンがつく可能性のある酒だと私は感じました。
「赤石」 は少し媚びた感じはありますが、シュッとしてモテるナルシストタイプ。
「たれくち」 は素朴ですが、美男(美人)の要素が少し開き始めたお酒です。
「太陽」 は “ごんたくれ” ですが、裏面に優しさを持ち合せた味のあるお酒です。
( 「太陽」 は強い樽香がします。不得意な方が多いと思います。 )





私は、基本的に酒呑みではありません。( “酒好き” は否定しません )
ワインもそうなのですが、どちらかというと、そのお酒の持つ歴史や地域特性、
あるいは文化的な味わいをイメージしながら飲むことが好きなんです。

しかし、ここへきての “燗酒の旨さ” 発見で日本に居て良かった。と思ったり
します。理屈や無くて、先祖代々繋がっている DNA なのでしょうか ・・・ 。
( 人が築いた歴史や努力に、即席もんが簡単に勝てる訳がありません。 )
この時代だからこそ 「古来伝承の手仕事/太陽酒造」 のマニアなファンが
増えるかも ・・・ 。

酒の肴は、
  ● 太刀魚のお造り
  ● 太刀魚の干物(薄い味醂干し)味ポンかけ
  ● 手羽元と大根のあっさり煮
  ● ひじきの煮物
  ● 鰯の生姜煮
  ● その他諸々
でした。

 [ 燗の呼び方 ]
  30° 日向燗 (ひなたかん)
  35° 人肌燗 (ひとはだかん)
  40° ぬる燗 (ぬるかん)
  45° 上   燗 (じょうかん)
  50° 熱   燗 (あつかん)
  55° 飛びきり燗 (とびきりかん)

冬の夜、
数種の地酒を少し燗して呑み比べて楽しむのも乙なものですよ。


“うまいもん” 求めて

2008年01月16日 | 楽時々益


“うまいもん” を求めて日本のヘソあたりを疾走する第五大成丸。





「第五大成丸」 は明石港周辺へ行ってきました。
( ※ 今回は船ではなく、車の 「Taiseimaru 05」 で明石港周辺へ ・・・ )

先日から仕事にも大いに関わるのですが、
 “ お客さんが求めてる 「うまいもん」 ってほんまに何やろか? ”
 “ 何があったら 「うまいもん」 ですって自信もって言えるんやろ?”
という自問自答に苦しんでいます。

大阪のお店(飲食店)が繁盛する大きな要素要因に、
「うまいもん」 の提供があります。これは地方によって言葉は変われど、
“「美味しいもの(美味しい+もの)」 をお客様に提供する” という意味では
全国共通だと思います。もちろん、大阪の場合、それに 「安い」 「早い」
が必ず付け加えられますが ・・・ 。

最近、グルメなブロガーさんたちのサイトを拝見してよく感じるのですが、
「うまい/まずい」 「良い/悪い」 をハッキリ言う方もいらっしゃいますし、
少し控えめに “何分、素人なので間違っているかもしれませんが ・・・ ”
と濁しながら指摘を入れる方もいらっしゃいます。いずれにせよ、業界人
が同じ業界のお店やスタッフの批評や批判は頂けませんが、お客様として
お金を使って飲食されている方々の意見は貴重です。ただし、中には影響を
与えるという意味において業界人を越えている方もいらっしゃいますが ・・・ 。

どちらにせよ、一般の方が飲食業を勘違いしている落とし穴があります。
それは “プロだから知っているはず ・・・” という部分が飲食業界には
意外と欠如しているということです。一般的にですが、飲食業界を取り巻く
労働環境は良いとは言えません。特に、労働時間(逆に休日)が長く(少なく)、
本来、行なわなければならない “うまいもんの追求(追究)や探求(探究)” が 
十分にはできていないお店(会社)が多いのも実情です。

週に2~3度は外食する。あるいはそれ位のペースで飲みに行くという
一般の方も少なくないと思います。さて、贔屓・馴染みのお店を思い出して
みてください ・・・ いつ行っても同じスタッフが出迎えてくれませんか?
・・・ 料理人が毎回違うというお店をたくさん知っていますか?

まあ、そんなお店は少ないと思います。お客様が週に2度外食する(飲みに行く)
というペースなら飲食業の人間はお客様にはかなわないはずです。たぶん、
普通の業界人は週に一回行けるかどうかです。しかも、それは週に一度有るか
無いかの休日に行くしかないのです ・・・ 。

お店(その環境)で得た知識や技術は語れますし発揮はできるのですが、
世間の流れや他店の動きに関して、意外とお客さんほど感じれていない
のが飲食業界のウィークポイントなのです。メディアの発達と共に業界でも
新しい知識や流行というカテゴリーはそれなりに埋めれるようにはなって
きたのですが、やはり、知識ではなく実践・実体験が必要不可欠です。

それ無しに “うまいもん” は語れません。熟練の職人はもちろんですが、
若いスタッフも積極的に自己投資すべきだという自論を私は持っています。
大変ですが、休日には必ず他店で外食をして、その空気を肌で感じて
もらいたいものです。

他店舗に勝った負けたとか、昨年より ・・・ も確かに大事ですが、来店される
お客様に負けることだけは業界として避けなければなりません。私が偉そうに
語ることではなかったのですが、“売ること” を最終目的にしたお店も増えており、
「食」 を豊かに捉え始めたお客様から敬遠される傾向が出始めています。

単純な話ですが、“あの店、雰囲気や企画はええねんけど、イマイチ、
「美味しいもん」 わかってへん(知らん)のとちゃう?” と気付く方が増え始め、
そういう食の本質をわかっている方々がお店から離れることでジワジワ影響を
与えてしまうというお話です。

大阪でも 「安い・早い・旨い」 の “旨い” を重要視する層が若い方まで広がって
いると判断できます。食の安全含め、本当に “うまいもん” に関心が広がって
いるのを感じます。飲食店も、もうその “対応” では遅すぎますし不十分です。
果敢に攻めなければなりません。お客様の一歩先をリードして “うまいもん” を
提案できなければ、お代を戴くことすらできない時代になってきたということを
認識し、“うまいもん” をお客様よりも先に真剣に感じるという努力が必要だと
断定すべきです。あなたのお店の “うまいもん” をお客様は待っていますよ!

『 隗より始めよ!』 ・・・ ということで、
私もあちこち動いて “うまいもんを感じてみる” つもりです。
新たな発見があれば、このブログにて紹介したいと思います。


「 LOST 」 56話まで鑑賞

2008年01月15日 | 造形憧憬


「LOST」 シーズン3 VOL.1・2・3(第50話~第56話) を観ました。





全米で高視聴率をマークしたTVドラマ 「LOST」 を シーズン1 からずっと
観続けています。シーズン1 で完全にハマった私はレンタルが開始されると
借りに行き、その日のうちにすべて観てしまうほどの過食?状態でした。

乱気流に巻き込まれた航空機が無人島に墜落 ・・・ これまでも何度かあった
ストーリー(たとえば、トム・ハンクスの 「キャスト・アウェイ」 など )ですが、
このLOSTは、特定の役者(主役)が完結(脱出)を目指して展開する映画
パターンではなく、複数のキャストそれぞれのキャラクターを織り交ぜながら、
数時間前の行動や過去の経緯などを進行形のストーリーにクリップして
描写することで、キャストの存在価値とストーリーの奥行きを膨らませている
連続TVドラマです。日本のTVドラマにはない構成が新鮮でついつい ・・・

ただ、シーズン2 では、少し突飛な展開(好き嫌いのある味付け)や
間延びした(同じ味に飽きた)感があり、少し気持ちが離れかけたのですが、
シーズン3 のレンタルまでそこそこ待ち時間があり、意外とその間合いが
馴染みのお店に久々に行った時のような “知ってたけど新鮮” な気分に
させてくれました。 「 いよいよサスペンス色が強くなり、急展開を見せるのか !? 」
という言葉にそそられて、どうやら私には、このLOSTが “馴染みのお店” となり、
完結するまではレンタルをし続けるのでしょうね ・・・ 。





 【 シーズン1 : 全25話 】
 【 シーズン2 : 全24話 】
 【 シーズン3 :    7話 】

これまで(シーズン3の途中)56話 を鑑賞。

 【 シーズン3 : 残16話 】
 
 【 シーズン4 : 全 ?話 】



経験が物を云う

2008年01月13日 | 造形憧憬


競りが近づくと市場内に凛とした空気が張り詰める。





若い仲買が “おはようございます!” と挨拶をする。
年長者の仲買が “ああ、おはようさん!” と微笑んで返す。

背筋を丸めて凍えそうな手をアウターのポケットに突っ込んだまま、
銜えタバコで男たちは集まってくる。きれいに並べられた魚を横目で
追いながら所定の場所を目指す。

“経験が物を云う” と表される男たちの戦場では、
今日も威風堂々とした猛者たちが眼を輝かせながらけん制をし合う。
お互いの手の内は読めている。常日頃と違う動きを少しでもすれば
心は見透かされる。ピンと張り詰めた緊張感が白い息となって放たれた。

“よっしゃ、一丁やったろかい!”


Seventy-Seventh Birthday

2008年01月12日 | こんたく堵


親父が 「喜寿(きじゅ)」 を迎えた。





赤いチャンチャンコを着せられてから、更に17年が経過した男に何を
着せればよいのか? 世間一般の 「喜寿」 はどうなのだろう ・・・ ?

うちの親父はすこぶる元気である。どう見ても77歳には見えない。
仕事は公のものが多く年齢的に限定されるとはいえ、まだ現役である。
酒をよく呑み、飯もよく喰う。そして、背筋がピンと伸びて姿勢が良い。

昔から摂生していたわけでない。逆に、無茶をしていた時代もあった。
ただ、息子の私から見て誇れるのは、“常に信念を持って生きてきた男”
だということ。

特に、仕事に関しては
誰に何と言われようと自分の考えは一歩も引かない頑固な職人である。
ただ、昔気質の視野の狭い職人ではない。昭和1ケタ生まれの男にしては、
頭が柔軟でアイデアマンでもある。新しいものへトライする姿勢と行動力、
リベラルなものの見方に関しては若者に負けない頑固者であるということだ。

親父に反発し、“絶対にこんな生き方だけはしたくない!” と思っていた
自分が、どんどん親父の生き方に近づいている。もう今さら否定はしない。
素直に生きればいいと思えるようになった。そう思えるようになってから
近い存在に感じるようになった。ずっとずっと遠い存在であった親父を ・・・ 。


えべっさん(十日戎)でっせ!

2008年01月11日 | 楽時々益


♪♪ 商~売~繁~盛~ で 笹もってこい!♪♪





十日えびす 「本戎」 に行ってきました。
飲食業界で初めて店長になって以降、毎年えべっさんに行ってます。
もう20年になります ・・・ 皆勤賞です!(そろそろええことありませんかね?)

人気は、大阪では 「今宮えびす」 、お隣の兵庫県では 「西宮えびす」 でしょうか。
( 今宮が有名ですが、西宮の方が本家なんですよ! えびす神社の総社です )
しかし、私はちょっとマイナー?な 「茨木神社」 のえべっさんへ毎年通ってます。
自宅から近いのもあるのですが、こじんまりしててええ雰囲気が出てるこの神社が
妙に気に入ってます。神社の人や的屋の兄ちゃんたちを除いては、地域のフツー
の方々がたくさん運営に参加しているのも、商売っ気が無うて素朴でええ感じです。
( まあ、福娘の皆さんまで素朴やのうてもええんですけど! ・・・ ??? )

“「商売繁盛」 のご利益に与っとこ!” と思って行ったのに、
“逆に、ええ商売されてしもたわ ・・・ ” となってしまう神社もあったりします。
まあ、ある意味、商売はやったもん勝ちですから仕方ありませんが ・・・ 。
( ワシはオッさんやオバはんには負けへんでーっ! )

ほんまは、空いてて残り福のある 「残り戎」 に行きたかったんですが、
どうやら明日は雨模様のようなので、急遽、今日行きました。やっぱ人・人・人!
笹を買って、吉兆つけてもらうんですけど、言い方一つでおっちゃんの吉兆の
付け方が変わります。当然ですが、混んでて次の人が後ろに待ってると、
おっちゃんもちょっと焦ります ・・・ 結果、少なめになったりもします。私は、
いつも陽気そうで、もうすでに酒がちょっと入っているマイペースなおっちゃんの
前に立って吉兆をつけてもらうようにしてます。

昔は、客の言い値で見繕って(ある意味、お客さんを見ながら)付けていましたが、
今は目安で 三千円・五千円・一万円 などと分けて吉兆の前に書いてあります。
( 付ける方と付けてもらう方の感覚の違いでのトラブル防止? )
陽気なおっちゃんが、真ん中の五千円の吉兆がある辺りで “なんぼ付けとこ?”
と聞いてきます。もちろん、“五千円くらい付けといたら”  という暗黙の誘いです。
私は五千円の吉兆の枠辺りを指差して、“おっちゃん任せるわ ・・・ 三千円で!”
・・・ おっちゃんの顔が一瞬こわばります。が、直ぐに笑いに変わります。
“よっしゃ、(五千円を指差して)三千円な!まかしとき!”
これで、だいたい四千円くらいの吉兆にはなります。( ちょい、私の勝ち!? )

まあ、神社で商売してもしゃーないんですけど、
これも楽しみの一つということで許してもらいましょ!
“事故無く、怪我無く、病気無く、商売繁盛しますように!”

『 春夏冬二升五合 』


アルバイトアンクル 【 鳥取大山⑤ 】

2008年01月06日 | 昭和懐古

山の春もそこまで来ています。

とうとうアルバイトは私一人になってしまいました。日々の仕事をこれまでより丁寧に行なっている気がします。




S嬢は学校があり、冬休み終了後に一度下山したのですが、どうしても大山(この旅館)と完全に縁は切れず、実家の奈良と学校のある京都、そして、この旅館のある大山を掛け持ち移動する生活を始めました ・・・ 。
( この山とこの旅館とこの人々に完全にハマっています!)

多い時には男8名(女子を入れると12~13名)が一緒に寝起きをしたアルバイト部屋。今は私一人だけで、無駄に広くて淋しく感じます。反面、ゆっくりと時間が流れていることがわかります。

この山に来た目的でもあった “自分を見詰め直す” ことができる環境になってきたのかもしれません。昼の休憩になると大女将がお抹茶を入れて誘ってくれます。

若女将から “これからどうするん?” と聞かれます。“今、考えてます。” と答える私。“決まるまでここにおればいいよ” と若女将から声を掛けて戴きました。ありがたい言葉でした。( この言葉は一生忘れません。 )

この山に来て、自分でも知らなかった(気付かなかった)自分の側面を見たような気がします。意外と自分の正面というのは他人から見えている部分であって、その他人がこう見てるのではないか ・・・ という客観的な自分像なのかもしれません。

だから、自分で捉えることができた側面の方が素直な自分なのかもしれません。自分に素直になれたこの時間は貴重でした。

おばちゃんたちからもたくさん声を掛けてもらいました。たぶん、おばちゃんたちからすれば、私が自分たちの孫と同世代で心配だったのでしょう。
下山しても時々顔を出すことを約束しました。

私も S嬢 と同様に、この大山(旅館や人々)とは縁が切れそうにありません。庭から参道に出て麓を眺めると、いつの間にやら春の景色に変わっていました。暦の上でしか季節を区切ることができない都会では絶対に味わえない季節の移ろいです。一週間後、下山することにしました。

週末がやってきました。まずは、ゴジラさんたちに報告です。“山を下ります。色々ありがとうございました!” と私から声をかけました。すると、O氏 が、“K氏、ご苦労さん!” と言って写真の 「スイスアーミーナイフ」を私にプレゼントしてくれました。

ゴジラさんたちは、毎年やってくるアルバイトの精勤に対して記念品を贈っているようで、今年は 「THANKS!」 とプリントされた 「オリジナルトレーナー(メンバー全員の名前入り)」 が贈られました。

そして、そのアルバイトのうち、「ベストアルバイト賞」 というのがあり、もう一品記念品を贈っている(毎年あるとは限らないそうですが ・・・)そうです。その今年の 「ベストアルバイト賞」 を私が戴きました。

“ありがとうございます!”( アーミーナイフの裏面には “G” の刻印が ・・・!)それ以外にも、メンバーご愛用のキャップやサングラスも特別に戴きました。

お別れです!旅館の皆さんに挨拶をしていると、アツいものが込み上げてきました。涙もろい性格ですので、ちゃんと皆さんの顔を見ることができませんでした。“ありがとうございました!また必ず来ます!” という言葉しか言えず ・・・ 。

岡山まで O氏 が送ってくれるというので、車に便乗されて戴きました。結局、O氏 の自宅に一泊することに ・・・ 。夜中まで色々語り合いました。O氏 は、自宅で寝る時もシュラフです。私も一つ借りてシュラフで寝ます。

朝、目が覚めて私が起きようとすると、O氏 が目を瞑ったまま私に “直ぐに起きたらいかん!10分ほど寝袋の中で幸せを確認しないと ・・・ ” と言いました。私は言われたとおり “幸せの確認” をしました。自分の幸せより、人への “感謝” が脳裏に浮かんできました。

とりあえず、実家へ2~3日帰って、両親に “感謝” を表したあと、大阪に出ることにしました。この数ヶ月で出逢った全ての人と起こった全ての出来事に “感謝” です。

ありがとう! THANKS!


■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山① 】
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山② 】
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山③ 】
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山④ 】
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山⑤ 】